反逆のエミル&出汁巻き卵
姉を貸し出して数日、一時帰宅が許されて姉が帰宅したようだ。紅唐白は久々に姉と一緒にイチャイチャしたかったようで姉にベッタリとくっ付いている。
姉は目の下にガッツリ隈を作っており遊びたい紅唐白を撫でながら
「キヨちゃん、ちょっと寝かせてなぁ~」
紅唐白を抱っこしながら寝室に向かって行った。
私はというと決済の書類をしてますが何か??
出汁巻き卵が私の膝から降りてどっかに行ってしまった。フリーダムである。姉がティムする奴等はフリーダムが多いし癖のあるのばっかりだ。ある意味個性のぶつかり合いというか爆発物である。
私は出汁巻き卵を見送って書類整理を頑張っていたが、後に放逐せずにきちんと指導しとけば良かったと後悔するのである。
出汁巻き卵はエミルと合流し、何やら内緒話をしているようだ。私は出汁巻き卵がエミルと意思疎通が出来るとは全然、全く、これっぽっちも知らなかったので悪巧みする彼等を諫める者は誰もいなかった。
「これでレンの物を売り払う!」
ムンと山賊の手を見せるエミルに
「キュルルゥ」
やっちまえーとばかりに尻尾を左右にフリフリする出汁巻き卵。
エミルは山賊の手で姉の寝室の鍵を開け侵入した。心地良くグースカ寝る姉と紅唐白を確認した後、姉のフォルダーをターゲットにして山賊の手でお宝を掻き出し始めた。
私も姉も山賊の手をこんな用途で使用するものではない概念を持ってたので、まさかロック無効でお宝を掻き出されるとは思わなかったのだ。
掻き出している内にエミルも出汁巻き卵も面白くなったのか、共有フォルダまでひっちゃかめっちゃかに掻き出した。エミルに至ってはキラキラする物や綺麗な物、着物などを着たり飾ったりとやりたい放題である。
出汁巻き卵は姉のフォルダにあったお蛇様に献上する為の食べ物を食い散らかしている有様だ。そんな彼等が気配を殺すことなく、キャッキャウフフとしてたら姉も紅唐白も起きるわけで
「嫌ァアアアアア”!!何やってんのお前等ァアアアアアアアアアアっ!!?」
寝起きのスゲー汚い高音で発狂した。
「留美生ぁああ!!」
鬼の形相な上、寝間着姿で私のいる執務室に突進してきた姉に
「何やうっせーな。起きたなら仕事しーや。」
ほれ書類とばかりに姉の席に書類を置いたら
「うっせー!!今日は休みじゃボケっ!!てかあの馬鹿コンビに何ちゅー教育をしとんねんっ!!!」
文句を言い、私に魔法を使おうとしてきたので
「シールドで跳ね返されるで。」
と答えたら遅かったのか姉がプスプスと焼けていた。人の話は最後まで聞けよな、と呆れたのは仕方がない。
「減俸やっ!減俸にしてやるーっ!!」
と喚く姉に私は冷静に
「お前それを言い出して自分の給与も減俸にされたん忘れたんか?ボケんの早くないか?」
切り返したらガーンとした顔をしてワロタ。
「馬鹿コンビってなんなん?」
全く話が理解できない私は姉に事情を聞く事にした。
「出汁巻き卵とエミルやっ!あいつ等、山賊の手を使ってロックしてある私と共有のフォルダをこじ開けてひっちゃかめっちゃかしてるんやで!!」
キィイイイと悲鳴を上げる姉に私は唖然とした。
「マジか…」
姉のフォルダはどうでも良いが共有フォルダは駄目だ。あそこには貴重なアイテムが沢山入ってるのだ。私は一目散に姉の部屋に向かった。
私が姉の部屋で見た惨劇に崩れ落ちる事になるのだった。




