その頃の留美生
「めっちゃ忙しいわぁ…はぁ...」
必要案件をパソコンに高速で打ち込んでいく。勿論、決済印はリオンの仕事なのでリオンにもやらせているが…山の様な仕事の量に辟易した。
「グルル♡」
出汁巻き卵は私の膝に座り腹に顔を押し付けてくる。そんなに私の腹が好きなのか…
出汁巻き卵を撫でながら私は交易の利益を見直した。
「う~ん、東国から絹と茶器、絵画を輸入して売りさばくかぁ。原価がちょい高めやから高級品の売り出しとして売るのも良えし、絹はドレスに仕立てて売るんでも良えな♡童話も筆写師に複製して貰って仕事を作るんも良えなぁ。」
私は金儲けを企てるべく色々と妄想を膨らませるのだった。
MINELで流行を作るべく私は自分の配下の交易商に東国から絹と茶器、絵画を安く購入するように念を押した。ついでに塩、胡椒、砂糖に美味しい乾パンやふわふわパンをアイテムボックスに突っ込んで売り込んで来いと押し付けておく。
非道と言うなかれ!MINELはお金がカツカツなのだ!ただでさえ人件費と維持費にお金がすっ飛んで行くのだから仕方がない。リオンの交易もたまに見るがそこそこ順調と言った感じだ。赤字にならないだけマシである。
忙しくしている私の下に
「失礼します。留美生様、リオン様に討伐依頼が来てます。」
シュリが報告に来た。
「えー面倒やなぁ。」
私は報告書を片手に内容に目を通した。
内容は高位モンスターが住み着いた森のモンスター討伐を依頼されたのだ。報酬は白金貨3枚と美味しい。
「シュリ、殿下呼んできてくれへん?」
私はシュリにリオンを呼びに行かせレベリングも兼ねて兵士を護衛(笑)として同伴させようと思う。
「留美生、何だ?」
ヒョコっと顔を出したリオンに
「リオンにご指名やで♡久々のブートキャンプや♡フェネル領の死の森で高位モンスターが住み着いたらしい。報酬は白金貨3枚やで!モンスター討伐を頑張ろうな♡」
お銭々(おぜぜ)、お銭々(おぜぜ)と歌い出した私に
「俺じゃなくてお前がしろよ。」
と言ってきたので
「リオンに来た正式な依頼じゃ!!PVも作成するんやから文句言わずに働けっ!解放軍は万年金欠なんやからなっ!」
バッサリと切り捨てればリオンが苦虫を潰した。
「PVって盛り過ぎだろっ!!あんなの俺じゃねーわっ」
格好良く映し出されたPVにケチ付けんじゃねーと睨めば
「毎回俺を拝みに来る奴がいるんだぞっ!気が抜けねぇー」
グチグチと文句を零す。
「庶民王子なんざ却下や!カリスマがあって、頼れて、英雄王になる王子像なんやで!猫被ってにゃーんと鳴いとけっ」
「英雄王ってのが柄じゃねーんだよっ!」
心からの訴えをするリオンをガン無視して私は
「レベリングの人選はこっちで手配しとくさかい、お前は格好良い頼れる軍主を演じてこい!勿論、護衛ぐらいは付けたるさかい安心せい。」
機嫌が氷点下になったリオンを執務室から追い出し、早速ブートキャンプをする部隊とリオンの護衛を選出するのだった。




