マーテルを説得する
私達はエクス勧誘に成功した後、試合を観戦しに行った。結構な盛り上がりを見せている。目を付けていたメアリー・スーとマーテルがこのまま行けば決勝戦でぶつかるようだ。
「どっちが勝つかなぁ!?レベル的にはマーテルだろうけど、姉はどっちだと思う?」
私の問いかけに姉が
「スキル的にはメアリー・スーやと思うわ。次が決勝戦やし声を掛けに行ってくる。」
人材ゲットと歌いながら紅唐白を頭に乗せて二人の元に行こうとする姉に
「私も行きたい。」
後ろからついて行ことにした。
「どっちから声を掛ける?」
「マーテル」
私達はマーテルの控室へと向かった。
控室にいるマーテルに声を掛け入室する。軽食を食べているマーテルに
「急にお邪魔してごめんな。」
謝罪をしておく。食事中に押し掛けてしまったもんな。
「いえ、大丈夫ですよ。レン様と留美生様ですよね?急にどうされたんですか?」
胡散臭い目で見られて傷心するぜ。
姉はマーテルの視線も気にせずに
「うん、実はな勧誘しに来てん。」
えへ♡と笑う姉にオエっと吐きそうになる私。テメーがか可愛い子ぶってもキモイんだよっ!!
お腹が空いたのか紅唐白がマーテルに飯をクレクレしていた。
姉を見るとアチャーとした顔をしている。私?私はチベスナになったよ。ダメ神使でも威厳を持って欲しいものだ。やっぱり姉が教育者だからあぁなったのか?
マーテルも困り顔でご飯を紅唐白に分けている。申し訳なさでいっぱいだ。私はマーテルにお弁当を出して
「紅唐白がごめんなぁ。これお詫びとして受け取ってな。」
マーテルに手渡した。マーテルは
「そんな大丈夫ですよ。この子も可愛いし!」
狂暴紅唐白を可愛いという始末。姉は紅唐白を褒められた事によって
「せやろ!キヨちゃんは世界一可愛いねん♡」
ベラベラと自慢する始末。本題に入れよと腰をゴスっと蹴ったら姉が鬼の形相をして私を睨みつけた。
「用事があるんとちゃうの!」
と私が言えば姉はマーテルに向かって
「せやった!マーテルにお願いがあんねん。」
マーテルを拝み倒すように
「スカウトされてくれへんか!?一生のお願いやぁ!!」
一緒に仕事をしようと勧誘する姉とは対照的に困惑するマーテル。ついに土下座までし出した姉にドン引きする私。カオスである。
「えっと…ごめんなさい。」
あっさりと振られた姉はなおも
「何でなん!?お給料も弾むで!?衣食住や福利厚生もしっかりしとるし駄目?」
半場泣き落としに掛かった。
「魅力的なんですが、私には使命があるので…」
困った顔でお断りするマーテルに姉の目がギラっとなる。
「使命やったら私等が協力するで!!何、私等に任せればチャッチャと終わるわ!」
アーハハハハハと高笑いする姉。私は飽きれた目を姉に向け、マーテルに
「姉の突拍子のない事を言ってるけど、私達が力になれば用事も直ぐに終わると思うで。此方には戦力は勿論、情報収集する偵察部隊もおるし、勿論装備品や武器も支給する上で給与もあるさかいお得やと思うけどどうやろう?」
私は提案をしてみた。
マーテルはやはり申し訳なさそうな顔で
「すみません…とても魅力的な話ではあるんですが、使命優先なので…」
お断りされた。
マーテルのお断りの言葉に納得できなかった姉は
「じゃあ、使命ってなんなん?聞かへんと納得できへん!!」
うわーんと泣き落としにかかる姉をしょっぺー顔してみる私。マーテルも困り顔だ。姉は徐々に駄々をこね始め
「絶っ対に諦めへんで!私の仲間になってーな!絶対に損はさせへんもんっ」
マーテルにしがみ付く始末だった。
私は姉の頭をハリセンで叩き
「姉は落ち着き。マーテル、姉はしつこいで?このままやと姉に付き纏われるさかい、使命を教えてくれへん?」
私はマーテルに使命の内容を聞く。マーテルも姉のストーカ化が嫌なのか少し考えた後に
「私の使命は魔王を退治する事です。この大会に出たのも軍資金を集める為だったりします。」
説明をしてくれた。
どこの勇者だよっと思うが、魔王退治しに行くにしても軍資金って自腹なん??
「教会は軍資金を出してくれへんの?」
私の素朴な疑問にマーテルが
「教会は出してくれません。本当は出して欲しいんですけど…」
世知辛い事を言い出した。
流石金の亡者やな。姉は教会と聞いて青筋を立てとる。殺気が漏れそうなのでもう一発ハリセンで殴っておいた。冷静になれ姉よ。
紅唐白はマーテルの弁当を食べて満足したのか姉の頭に鎮座している。
「魔王退治かぁ…退治する必要があるんかね?」
つい出た私の疑問に
「魔王は悪い存在ですよ。退治した方が良くないですか?」
マーテルの言葉に教会の思想に染まってる?と思った。
「人類を滅亡させるとかの悪意があるなら退治は必要やと思うけど、今の魔王は別に人を襲ってるわけでもあらへんし寧ろバランサーとして君臨してると思うで?退治したら魔王の配下が活発になると思うんやけど…」
私の意見にマーテルが考え出した。姉が追撃のように
「戦闘になる前に魔王と話し合えば良えやん。金銭面とかのバックアップはするさかい、私達の仲間になってーや!」
仲間になってクレクレを発動させる。
マーテルも軍資金のバックアップは魅力的に感じたのか
「う~ん…魔王を見極めてから仲間になるでも良いですか?」
先ほどと違って色良い返事をくれた。
「全然良えで!!私等が全面的にバックアップしたるさかいな!勿論、討伐の人材も派遣したるで!一人だけやと心細いやろ!?」
高笑いする姉にドン引きする私。以外と図太いのかマーテルは姉の奇行に対してもニコニコとしているのだった。こうしてマーテルと条件付きで引き込む事に成功したのだった。




