人材を物色せよ
腕自慢大会が白熱している中で私と姉は良い人材をスカウトすべく活動していた。
「スキル的にメアリー・スー、マーテル、エクスの三名が大穴やな。」
私の呟きに姉が
「ほんまにな。エクスは初戦敗退やけどレアスキルのオリオン所持者やしな。勝った奴はレベルの差のゴリ押しってやつやなぁ。」
欲しいと呟くのだった。レアスキル:オリオンとは味方の物理、魔法の両方を回避率100%にするスキルだ。ブートキャンプには役立つだろう。
「取り合えずエクスを先に勧誘してみるか?」
私は姉に尋ねると姉は頷いた。
エクスを探すべく私達は会場をウロウロとする。時間がかかるかな?って思っていたが、向こうから獲物がやってきた。ラッキー。
「あ、あの…レン様と留美生様でしょうか?」
もじもじとするエクスに私達は顔を合わせた。姉はニヤニヤしている。鴨葱だと思っているのだろう。
「あんたエクスって人やろ?」
姉の言葉にエクスが恥ずかしそうに
「はい…」
返事をした。
「私等もあんたに話があってん。此処やとなんやしMINELで喫茶店開いてるから移動しよか。」
姉の誘いにエクスは何の疑いもなくついて来る。
MINELの喫茶店で私達は早速ケーキセットを頼んだ。
「エクスは頼まへんの?」
エクスだけ何も頼まないので聞いてみたら
「あの…お金がないんです。」
世知辛い言葉にしょっぺー顔になった。
姉が憐れんで
「私が御馳走するから何でも好きな物を食べて良えで!」
エクスの眼がキラキラと輝く。エクスはメニュー表にあるのを片っ端から頼んでいった。姉が固まっているが気にしてない様子。
ズラっと並んだ料理の数々に胸やけがしそうである。
「エクス本当に食べれるんか?」
姉の言葉に
「全然大丈夫です!!」
スプーン片手にキリっとした顔をするも全部台無しだ。
エクスは、その細い身体から想像出来ないぐらいにガツガツと喫茶店のメニューを食い荒らした。姉が奢るといった手前マジで涙目になっている。
「美味しい、美味しいです!!」
美味しいと言いながら食べまくるエクスに姉が
「食べながらで良えから聞いて欲しいんやけど。」
話を切り出した。
「んっ…んぅくっ、はい何でしょう?」
居住いを正すエクスに姉は
「私等に雇われへんか?」
ズバっと要件を切り出したら
「えぇえええ!!僕何かで良いんですかぁ!?」
凄く喰い付いてきた。姉はアクスの様子にドン引きである。
「月給金貨20枚で手当てなどが付くさかい仕事をすれば給与も上がっていくで。新しいスキルを身に着ければスキル手当も出るしなぁ。」
最初は地獄のブートキャンプをせんといけんけどな!!
姉の説明に喰い付くエクスに
「装備品とかは此方で用意する。でもな、内乱に身を置くことになるのも理解してな。」
断りを入れておいた。
だって戦争要員としてエクスのスキルは凄く美味しいのだ。立派にレベル上げをしたらある意味最強になるかもしれない。エスクのレベルは最低でも200は欲しいものだ。
「それは大丈夫ですよ。僕は元々レン様達に雇われたかったので良かったです。内乱も馬鹿王子達の仕業って知ってますし、リオン様に憧れてるんです!」
キラキラとした眼差しを向けるエクスに夢崩れるんじゃね?と真剣に思った。確かに情報操作をしてリオン格好良いと仕立てたのは私だが、ここまで信者が爆誕するとは思わなかった。せいぜいリオンには外面だけ頑張って取り繕えと言っておこうと思う。
「じゃあ、エクスはリオンの傘下に入って頑張るって事で良えんやな?」
姉の確認に元気良く返事をするエクス。
私は書類を取り出してエクスにサインをさせた。後はエクスの居住区を地図に書いて鍵を渡して解散したのであった。




