第一回リオン主催腕自慢大会・前
ニープの街が復興で整ってきた頃、リオン名義で腕自慢大会を催す事にした。
簡易ではあるが私監修で闘技場を突貫工事で作った。審判や実況など手の空いた者を投入する。バイト代も弾んだので結構繁盛しているようだ。
MINEL主催の賭けをする者や食事に食らいつく者と様々である。
「景気が良えなぁ~私も参加したかったわぁ♡」
姉が参加したい!!と言っているのに対し、私は無言を貫き通した。
「取り合えず、リオンが開会式と閉会式の言葉を言ってや。紅唐白と姉はリオンの護衛な。良え人材がおったら後でスカウトしに行って良えで。あと姉、親善試合でチルドルとグエンっておっさんとの対戦前に誓約させるんやで!!チルドルが強すぎてポックリせんようにしぃひんといけんしな。」
私の言葉に姉が
「サックリ逝ったら良えやん。」
バッサリ切り捨てた。
「あほか!!第一回リオン主催のお祭りやで!血塗れにしてどうすんねんっ!」
お馬鹿な姉の頭をパシコーンと叩き私は具体的な進行と台詞や景品などを用意しておいた。因みに参加は銅貨5枚で参加出来る。参加証として水魔法のお守りチャームが貰える仕様になっている。どんな過酷な場所にいても飲み水は確保できるというチャームだ。
「そうそう、ポップコーンが繁盛しててな。バターと塩とチョコレートがあるで!林檎の発泡酒が美味い事できてなぁ♡これが終わったら酒自慢大会も良えなぁ♡♡」
姉は早々に観戦気分である。
MINELで出しているポップコーンバケットと林檎の発泡酒を片手に試合前から盛り上がっていた。
「取り合えず開会式はちゃんと頼むで!!」
私は姉とリオンに釘を刺して会場側に向かうのだった。
仕込んだかいがあったのか、リオンの演技は上々だ。姉も見た目は淑やかそうに座っているように見えた。見えるだけだが…
リオンの合図でチルドルとグエンのおっさんの親善試合が始まった。瞬殺されるグエンに私はいちゃもんを付けてくるだろうと予想している。またグエンのおっさんを精神的にボロボロにしてアトラマント帝国から追放してやろうと思ったのだ。
「これは八百長だっ!!俺があんな子供に負けるわけがないっ!!」
ギャンギャンと喚くグエンのおっさんに
「おや~ぁあ?宣誓の誓約があるのに八百長なんて出来るわけないだろ。馬鹿じゃないの。」
キッパリと私が言い捨てれば
「何だとぉおっ!俺はっグッハっ....」
ゴロゴロとグエンが吹っ飛び壁に激突して気を失っていた。勿論、私は何もしてない。
般若の顔をした姉が仁王立ちで立っていた。紅唐白は姉の頭の上にスピスピと寝ているので威厳もへったくれもない。
「ん?何でコイツが此処におんねん。敗北者はアトラマント帝国追放やん。あ、罰金支払いが済んでへんとか?」
金を踏み倒すきかア”アァンと威嚇する姉に
「違う、八百長やって喚いて踏み倒しするつもりや。」
適当に弁解をしてやれば姉が激怒した。
「へぇええ....」
地獄の門番も逃げ出すような殺気と低っい声に周囲の人間含めてビビるが、紅唐白だけはスーカスカと姉の頭の上で腹を出して眠っている。姉よ、どういう教育をしているだ!!
姉は良え笑顔でグエンのおっさんをタコ殴りにして返り血を浴びていた。瀕死になればヒールで回復し、殴るの繰り返し。姉の所業が腕自慢大会が終わった頃には私の仕業として噂として広まったのは解せない事だった。




