ACT18 姉は私をティムしている事を忘れていました
「ちょっと業務用スーパーと100円ショップに行ってくるわ」
宥子の突拍子もない言葉に
「何しに?」
と尋ねると
「商業ギルドで砂糖・塩・胡椒の取引があるから」
「OK! いってら」
グッと親指を立てて送り出してあげた。お金になるなら頑張ってくれ! 私は手伝わんが!
宥子が買い物に行ってる間に私はC-4ことプラスチック爆弾を作っている。毒なので舐めると死にます。火炎瓶でも良いかなって思うけど、今後はレベルの高いモンスターも相手取る事になるから火力の高い爆弾を作っておく事にした。キングホーネットみたいな奴なら一発で爆破出来る代物だ。
私がプラスチック爆弾を作成して二個目になった頃に宥子がヒィヒィと言いながら帰って
「ただいま……。疲れたよ」
ぐったりした宥子に
「たかだか5分の距離じゃん。何言ってんの」
と鼻で笑ってやれば逆切れして
「容子も、やってみたら? 私の気持ちが分かるよ!」
キャンキャンと叫び出したが
「嫌だ。面倒臭い」
一刀両断してやった。
ガクっと肩を落とした宥子は
「これから袋に詰めていくから、作業の邪魔しないでね」
塩などを詰める作業に入った。
「はいはい」
「サクラのご飯がまだだったから、あげてくれる? あげすぎは厳禁だからね」
サクラちゃんのお世話を任されたので全力で構ってあげなければ!
ぷるぷるモチモチのサクラちゃんに私はメロメロしながらお饅頭をあげたり、金平糖をあげたりとしていた。サクラちゃん結構食べるので餌の遣り甲斐がある。宥子の忠告はお空の彼方であった。
餌を食べ終えたサクラちゃんを構ってやりつつ私はリュックの作成に入っていた。前回、タガーケースと一緒にリュックも切る所まで出来ているので後は縫うだけである。此方は特にビジューを付ける必要がないので時間はそんなに掛からずに完成した。
「いやっふぅーーーーーーー出来たぜぃ!!!どうせ宥子に横取りされそうだし、私はビジューを鏤めたバージョンのにしてやる。」
うひひと笑って辺りを見回すと誰もいない。先ほどまで宥子がいたのにサクラちゃんと一緒になって居ない。
リビングに戻ってみるとメモがテーブルの上に置いてあった。
【サイエスへ行ってくるね。】
はぁ~~ん!!何テメェ勝手にサクラちゃんとサイエスに行ってるんじゃゴラァ!!
数秒のコール音の後、私は思いの丈を宥子にぶちまけた。
「何で置いていくのよ、馬鹿! 声掛けてくれても良いじゃん」
「声掛けたのに無視スルーしたのは、お前じゃん。明日、商談があるからサイエスで泊っていくわ」
帰って来ないという非情な事を言い出したので
「は? 私もそっちに行くから帰ってこい」
私も連れてけコールをした。宥子はきっぱりと
「無理<キリ>!」
と言いやがった。
「ドケチッ」
ケチケチどケチ野郎!!こうなったら私がサイエスに乗り込んでやるわ!!
「私も行くもん」
「いや、無理くね?」
「さっき行けたんだから、行けるはず!」
ブチっと宥子との電話を切って私はサイエスに繋がれと念じながら玄関のドアをオープンしたら宥子が目の前に居た。
「……これちゃった」
やればできる子じゃん。サイエスに来れたわ!私ビックリぽん。
「……来ちゃったね」
本当に来やがったとばかりの宥子にサイエスに私が来れる条件を検証した結果、判明したのが宥子がサイエスに居る状態なら契約されている私も玄関の扉をくぐって来られると言う事だ。
宥子は商業ギルドへ行くというので、私は街の散策に出かける事にした。その際、宥子にトラブルを起こすなと再三釘を刺され不貞腐れたのは言うまでもない。
私は子供じゃねーんだから放っておいてよね。




