姦し三人娘
パナコッタ領の制圧も間近に迫っている私です。姉め、こんな手錠をかけやがって…ブチ殺す!!
私はどっか行った姉に念話で
《糞ったれぇー何処にいんねん!!?》
ギャースと吠えた。
《何ね、五月蠅いわっ!》
《私を弱体化しよって早よ解けや!!》
《嫌や、てかダンジョン攻略で忙しいねんっ! 王都のダンジョンがスタンビート手前で、指名依頼受けてる最中じゃ。しかも! クレクレ乞食パーティに絡まれて、危うくアベルくんが激おこになるかもしれん危機的状況やったんやで。お前もクインテット連れて合流しろ。姉命令じゃ! そしたら、パンジーに解いて貰うようにお願いしたるわ!!》
クレクレ乞食辺りで姉の声のトーンがガチでヤバくなったので私は会話を方向転換させた。
《もう後は詰めだけでパナコッタ領が攻略できるさかい、姦し三人娘の一人を貸してーや。三人でも良えで?》
《えー、そっちで目ぼしい奴に適当に投げれば良えやん》
《そうしたいのも山々なんやけどな、そんな人材居らへんで!あと向こうに送る人材のレベル上げをしとこうと思ってな。水魔法が得意なのと、ティムクインテットが作った荒野だろうが土地が回復するでぇ!の宝珠を使って土壌の回復をして復興せなあかんしな。》
《ちょっ、そのチートな宝珠は何や!?てかネーミングセンスねーなっ!!どこでその素材を使ったんや!?》
怒鳴る姉に私は
《うちの素材っていうか、廃棄された素材で作りってたで。最近、ロックが掛かってて素材に手が出せへんから廃棄された素材で作れば良えよね!って好き勝手しとるわ。まぁ、良えんちゃう?》
誰の損にもなってへんねんし、良えんとちゃう?と言えば姉は黙った。何か言いたそうにしているのがヒシヒシと伝わるのだが、ゴミで作られた作品と言われれば黙るしかなかったのだろう。私も黙った口やしな。
《姦しの一人を貸したるさかい、クインテットを連れて合流しろ!》
《分かった。じゃあ、借りて引継ぎが終わったらそっちに合流しに行くわ。》
《早めに頼むで!!》
《へいへい。》
私は念話を切り、パンジーに念話する事にした。
《もしもしパンジー、サエルの町に行きたいから開けてくれー》
《はい、分かりました。でもレン様の許可は取ってらっしゃるんですか?》
《姉からの命令やから大丈夫やで!ついでに手錠の呪いも解いて貰えって。何か知ってる?》
私の言葉にパンジーが
《あぁ、レン様がそこまで言ってるなら本当ですね。呪いは大丈夫ですよ。》
何やら意味深に呟いた。何か嫌な予感しかしない。
《今から向かうさかい、宜しく頼むわ。》
そう言って私は念話を切り、簡単な引継ぎ事項を書類にまとめ軍師候補を迎えに行くのであった。
姉、殺す!ぶっちゅーが呪いを解く方法って何じゃそら!?相手は同性に限るってどんなけ鬼なんだっ!!こんな糞仕様にしたのは誰だっ!?ってうちのクインテットか…何だか悲しくなってきた。これがコピーだから本物だったらどんな仕様なのか気になるが、私の精神衛生の為に確認するのは辞めた。
「久しぶりやな、リオン。」
私の挨拶にリオンは
「久しぶり。というか、お役御免になったのか?」
酷い言い草である。
「ちゃうわっ!あんた所の軍師候補三人娘の内の一人を借りに来たんや。丁度、占領出来たんやし一人貸して貰おうと思ってな。」
「別に良いが、お前と連絡が付かないとレンが怒っていたぞ。大丈夫なのか?」
「大丈夫やなかったで。こっちが戦略の指示出してる時に色々とやってくれたしな。パナコッタも詰めに入っとるし、底抜けのアホやない限りは占領出来るで!占領したらパナコッタの隣の領のグランマリンを攻め落して貿易に励むで!!これで軍資金の確保が出来るわっ♪」
アーハハハハハと高笑いする私にドン引きするリオン。
「交易は誰がするんだ?」
リオンの言葉に私はニヤーっと笑って
「殿下に決まってるじゃん。」
お前がするんだよーと告げるとリオンが猛反対した。
「交易もしたことないのに無理に決まってるだろう!!」
ギャースかと文句を言うリオンに
「馬鹿め。交易で得られるのは金だけじゃないんだぞ。情報も流れてくる。それに交易で値段を操作することも出来るんだ。交易のイロハなら教えたるさかい勉強せい。今後、国が軌道に乗ったら交易で金を稼ぐ時に足元見られてぼったくりされる事がないようにするんや!勉強しー」
私の言葉にリオンはぐうの音も出なかったようだ。ザマー
「で、姦し三人娘は今どこなん?」
「執務室にいるぜ。」
「じゃあ、行ってくるわ。」
私はお土産とばかりにリオンの新しい衣装を渡して執務室に向かった。
「たーのーもー」
執務室の扉を開ければ三人娘がいた。
「あら留美生様、お久しぶりです。」
「元気にしてました?」
「こっちはレン様の活躍でほぼ仕事がありませんでしたよ。」
三人共言いたい放題である。私は当初の要件を済ませる為に
「この中で誰か一人をパナコッタに行って欲しいねん。特別手当出すで!1日に金貨5枚や!」
自腹だが特別手当を出すといえば三人が一斉に手を挙げた。
「此処は私が行くのが筋です!成績も一番優秀でしたし!」
「それは一番最初でしょ。パナコッタは危険な所です。だから身の危険も考えて護身術が一番の私が!」
「いえいえ、此処は総合的に優秀な私が行くべきです!」
シュリ、アリス、レイラの順で醜い争いが勃発した。
結局は軍略シュミレーションゲームで1位になったアリスが行くことになった。
私はアリスを連れてアウトプットの町に戻り、彼女にパナコッタの内乱の子細と軍略の引継ぎをしてサクっとパナコッタに送るのであった。
後にパナコッタでアリスは敵味方からえげつない軍略で勝利を捥ぎ取ったのである。




