ワウルの受難
「あの女性は俺を過労死させる気だろうか?」
念話がブチっと一方的に切れた事に俺は溜息を吐いた。
姐さんが保護した子供二人がこっちのアジトに向かっているとの事だ。彼女が寄こす相手なのだから何かしら特技はあるのだろうが、大丈夫だろうか?
一緒に同行を押し付けられた子供達も癖があって手古摺ったからなぁ。
「ワウルさん、どうかしたんっスか?」
ミオの問いかけに
「仲間が二人後で合流する。俺達は根回しをするぞ!」
ワウルはミオ達を連れて次の拠点を目指すのだった。
一応、こっちに合流する子供達の為にメモも残しておく。
パナコッタ領は物資・武器・水・食料などを全て取り上げられている。また、パナコッタ領の領主トド・ゲス・パナコッタは馬鹿ではあるが無能ではないようだ。奴隷の使い方や躾け方は理解していた。
「ファナン殿、どれだけ集められましたか?」
「こっちは30人程度だな。」
「少ないな…やはり必要最低限の保障があるから仲間になる奴は少ないか……」
これで勝てるのか?と思ってしまうも、一番策略を練るのが巧い留美生姐さんが大丈夫って言うなら大丈夫だと信じたい。
俺には信じるしか出来ないからな。
「あの二人が王子になれば、国全土が奴隷産出地になるんだがなぁ。ファナン殿、奴隷達にアーラマンユ教会がこの内乱に介入し、奴隷出産地になる旨と最低限の保障である食料などの物資廃止になる。」
「マジか!?」
ファナンの驚きに
「まぁな。裏情報だが、教会側が勇者召喚をしようとしている。この国は云わば呪われている為に精霊に呪われた大地となった。第三王子リオン殿下は大精霊の怒りを買ってない。あとで合流する奴等に召喚者がいる。勇者召喚の失敗作らしく奴隷に落とされた者達だ。詳しい事は彼等が到着してから話す。少しでも危機感がありそうな奴等に噂を流してくれ。」
俺はファナンに依頼をする。
ファナンは俺の依頼に承諾を示した。
密談も危ない橋を渡っている為、早々と解散をするのであった。
俺達は噂の調整や物資の配達などをして根城に戻るのであった。




