手を取り合って逃げよう
無賃馬として馬車馬のように働かされて私と姉は限界に来てます。
私は毎日毎日の如くボトルや何やとコピー量産しています。もう、飽きました。
「用事は済んだし、アウトプットに戻りたい……」
「私も同じく。アンナに良いように扱き使われている気がする……」
2人して大きな溜息を吐いた。
「なあ、妹よ」
「何、姉よ」
「逃亡しね? ここに居たらタダ働きさせられるやん。必要最低限な事はしたし、撤収してスコッティ領の掌握に向かった方が良えと思うんやけど。私らの精神衛生面的に」
「そうやね。アベルくんとリオン回収して、サクッと撤収するか。即効性の睡眠薬作って、酒に混ぜて飲ませようや」
ふふふ、これで鬼も退治出来るで!私の提案に
「睡眠薬を服用した状態で酒を飲んだら、最悪死ぬから却下で」
姉が待ったを掛けた。
「アンナなら死なんと思うけどな~」
アンナならお銭々(ぜぜ)の為なら死の淵からでも生き返って来そうである。
「逆にお茶なら睡眠薬の効果を落ちにくいって聞いたことあるから、新作のハーブティーとでも言って飲ませよう!」
姉のアイディアに金絡みなら絶対味見くらいするだろうと見当をつけた。
ひと舐めしたら、速攻眠れる薬を作って欲しいものである。
「よし、じゃあ睡眠薬作って! アンナは、こっちに注意を向けさせるわ」
「任せた」
私はアンナに言われたボトルの生産をしつつ、入手が難しい紅茶の葉を選りすぐるのであった。
薬を持ったお茶を出したが、一瞬目を離した隙にすり替えられて見事自爆しました。
目を覚ましたら鬼の形相のアンナがいた。そして私は亀甲縛りをされて正座させられてます。
アンナにギチギチと縛られパシーン、パシーンと良い音を出すハリセンでゲロるまでシバかれ続けた。涙目である。
「……私に薬を盛ってどうするつもりだったんでしょうね?」
姉が私を見てガクっと頭を垂れた。ゴメン、姉よ…ゲロりました。「だって、Cremaの仕事までさせるんやもん! いい加減戻りたいもん」
姉がうわーんと泣き真似をしたら、
「キモイ」
と一刀両断された。
まぁ、そうなるわな。
「戻るなら一言仰れば宜しいでしょう」
「言って直ぐに戻してくれないやん」
「人材の派遣などの手続きも終わってません。何当たり前なことを言っているんですか」
「うぐっ」
「本来なら敵に塩を送る真似などしません。私に商会を押し付けて、新しく商会設立して! どうせ、また人を見つけて押し付けるつもりでしょう」
「人材が育てば後任に押し付けて、左団扇で順風満帆な人生を……」
「送る気ないくせに何言ってるんですか。まあ、爆睡君1号は、敵の無効化させるには悪くない代物です。量産お願いします」
姉とアンナの言い合いに私はボーっと意識を飛ばすのであった。亀甲縛りのまま気絶をした痴女として名を遺すのである。無念…




