無賃馬2号
アンナの無賃馬は姉だけでなく、私もターゲットになっていたようだ。無念…
「留美生様はボトルの作成をお願いします。あと無駄に作った作品を査定しますので全部出して下さい!」
鬼の微笑みでグイグイと来ないで欲しい。
私は渋々とこれまで作った作品全てをアンナに渡してボトル作成に励むのであった。
一万個をガツガツと作っている間に姉が怒り狂って紅唐白ちゃんを刺客として差し向けようとしたところを、アンナにボコられて書類を山積みにされているのは知らないことである。
私はボトルもそうだが、お守りの在庫も少なくなっているので在庫補充の為にこっちも頑張って作るのである。
この作成作業が終わったらベリック達に巫女部隊のブートキャンプをする計画を練らねばならない。
あっちにいる巫女部隊は、本当に突貫工事で作ったようなものである。ハッキリ言って弱い。応用も効かないし、所作のイロハも付け焼刃であった。
2人づつペアでこっちの研修に突っ込むのが一番良いかもしれない。何せ神薙・巫女部隊はヒーラーも兼ねているからだ。
決して私が前衛的物理ヒーラーだからじゃないからね!!
私はガツガツと課せられたノルマを消化していくのであった。
仕事が一段落終わって私は調理場に来ている。
身体がガチガチになっていた。あー単純作業って結構腰に来るんだよねー何か運動補助アイテムみたいなのを作ろうかなぁ?
そんな事を思いながら私は夕飯の用意を始めた。
「今日のご飯は何だ?」
庶民王子リオンに私は
「今日は日本酒で一杯したいねん。せやから馬刺しと牛肉のユッケに肉じゃが、ワカメのお吸い物、ホウレンソウの胡麻和えやな。」
私が食べたい物を並べる。
「酒受けは柿ピーやで!日本酒に柿ピーは最強の合わせ技や♡」
大吟醸の飲み比べシリーズで迎え撃つ!久々に安く手に入るメール通知があったので私は早速ポチった。
私はリオンをシッシと台所から追い出しご飯を作るのに勤しむのであった。
料理が出来上がった後、姉が鬼のような顔をしたので私は大吟醸シリーズで迎え撃った。お説教するなら酒なし宣言をしたら扇の舞に膝を負ったのであった。しかしアンナは酒の前でもガミガミと雷を落とし、ボトルとお守り各種1万個作成する事を誓わされた。鬼だ!!
「私は花自慢が一番美味いと思うわぁ」
馬刺しを突きつつ日本酒を飲む。これぞ神の至福かって話やね!
「そうか?私は扇の舞が一番やね!お、このユッケ美味い!」
姉はユッケを突きながら扇の舞を飲んでいる。
「どれも美味しいですよ。今日の気分なら大般若ですね。」
アンナの言葉に
「それって私への嫌味かいな!?」
ギャンギャンと噛みつくと
「そうですよ!あんな売れない物ばっかり作って!もっと真面な物を作って下さい!此処にいる間は頑張って馬車馬のように働いて貰いますからね。」
私と姉を無賃馬と言い放った。
飲んでる日本酒がショッペ―と思いつつ隣にいるリオンを見たら固まっていた。
「どうしたん?食べてへんやん。」
私の問い掛けにリオンは
「な、生物じゃねーか!?」
発狂した。
何を言ってんだコイツとばかりにリオンに視線が集中する。
「生で食べるから美味しいんやん。残さず食え!」
私は箸で馬刺しをタレに付けリオンの口の中に突っ込んだ。
ウグーウグーと吐きそうにしていた。
「ほれごっくんや!」
飲み込むまで口閉ざすでぇ!とばかりに脅せば飲み込んだ。涙目である。
「美味かったやろ!?」
ニヤって笑えばリオンが
「死ぬかと思った…味なんか分からん。」
と零したので私よりも飲兵衛な姉が良い笑顔でユッケや馬刺しをリオンに食べさせている。
「お前これから皇帝になるんやで!皇帝になったら色々な物を食べるんや。接待の時に海産物を生で出される事もある。余裕をぶっこいて食えなきゃ皇帝の仕事は務まらんわっ!あと、酒も相手を潰すぐらいの構えで飲め!これは水や!神の水!食うて飲めやー」
アルハラとモラハラを繰り返すおっさん化した姉を尻目に私は自分の分を確保してチビチビと酒を飲みながら食事をするのであった。




