姉への定時連絡
リオンの装飾品である腕輪を作ってたら失敗作が出来上がった。姉に絶対に殴られると思ったので、早速姉に失敗作をハルモニアの国王に交渉材料として使うように連絡を入れる事にした。
因みに出来た代物は王の威光で、付与スキルは大回復、豪運+1000、バステ回避と予想していた物とは全然違う物が出来上がったのだ。
<姉よ、ハルモニア王のごますり用の腕輪フォルダに入れとくから交渉に使ってや。>
<良えんか?結構な素材使ってたと思うんやけど。>
<良えねん。ハルモニアの協力は必須やからな。リオンの方はどうや?食われてへんやろな?>
<あぁ…まぁ、何や、今のところは大丈夫やで。>
歯切れの悪い姉の言葉に、あの庶民王子目っ!と毒づいたのは仕方ないと思って欲しい。
こっちはワウルと連絡を取り合ってスコッティ領に流言を流して意識改革をさせに行っている。
ワウルの情報では、日本の百姓一揆とまではいいかないが、不満は溜まっているそうだ。決起するのも時間の問題だとか…姉に武器の横流しを許可して貰いたい所であるが、武器商人じゃないので最低でも食料を横流ししたい。
<姉、スコッティ領の奴らに一揆を起こして欲しいから食料と水を横流ししても良えか?>
<う~ん……必要なんか?>
<リオンの名前で横流しするさかい、効果はそれなりにあるで!>
<左の領も爆弾抱えているさかいな。そっちもスコッティ領の始末が終わったら介入しようと思ってるさかいな。それからグランドール領も手中に収めたいしな。>
<その辺は留美生の判断に任せるわ。>
<りょ、じゃあ、そっちも頑張ってなー>
ブチっと念話を切った。早速物資の手配をしなければ!!
私はワウルに対して念話した。
<ワウル、今良えか?>
<何すかー>
<スコッティ領の奴等にリオンからの差し入れとしてメディションホームのMINNELのフォルダから食料を出して配って良えで!ちゃんとリオン殿下からの応援物資って触れ回るんやで!あと、水魔法使える使える子がおるやろ?その子に水を出して貰うようにな。>
<え?そんな事して良いんですか?>
<良えよ。姉の許可は得ているからな!お酒も少しなら持って行って良えで!お酒は私の酒フォルダに入ってあるで。持ち出しOKなんはアクアビットだけやからな!!それ以外の酒には手を出すなよ。>
<うぃっす!>
<子供達はどうや?上手く使えてるか?>
見習い諜報員として送った子供達の様子を聞けば
<大丈夫っす。子供だからか、割と町の者と馴染んでますよ。>
活躍をしているようだ。
<じゃあ、その調子で頑張ってな。>
<うぃっす>
ワウルの返事を聞いて私は念話を切るのであった。
さて話は変わるが、サイエス人は食に執着し過ぎだと思う。
ご飯は勿論、甘味と酒に対する執着心はどこから湧いて出て来るのか?と問いたい。
久しぶりに町の調理場でお菓子作りをしようとしてたら
「留美生様、お菓子を作るの?」
「私、おはぎロールが食べたい!」
「えーアイスクリームが良いよ!」
「チーズケーキ」
etcと色々と注文が殺到した。
「水羊羹にしようと思ったんだけど…」
「あぁ、レン様が飼ってるキヨちゃんの大好物!」
モンスター扱いしないだけマシと言えば良いのか、それとも甘い物大好き独り占めなキヨちゃんの食意地に溜息を吐けば良いのか迷った。
「皆のリクエストは今度なー今回は水羊羹で良えか?」
一応、リクエストは聞く態度を示し、今回は私が食べたい水羊羹を推奨してみる。
子供達はあっさりとOKを出し、手伝いに回ってくれたのだった。
水羊羹にも何種類かあり、塩と梅を作る事にした。
子供達は要領良く手伝いをし、且つ味見をちゃっかりと要求してくるのが凄い。
私は手早く水羊羹を作り、後は冷やすだけとなった段階で氷魔法を使える人材をGETして水羊羹を冷やす作業を手伝って貰うのであった。勿論駄賃として水羊羹を二種類要求されたのは言うまでもない。
こうして出来上がった水羊羹は物の数分で町の者達の腹に納まったのであった。




