配給開始
ゲルド経由で村長に人員確保をお願いしたら、村全員が集まりました!
チビッ子達も集まった。
皆が骨皮筋子なので太らせないとあかんなぁと溜息が出る。
「よし、先ずは食事と水分補給からやな! 碌なもん食べてへんやろうから、最初は粥から始めって2日目には様子見つつ固形食へ移行。順調に食事が出来たら1週間後から働いて貰うで」
「え? でも、お金が……」
マーライオンじゃないんだし、お金は取らへんで!
「要らん要らん。今回の仕事は身体が基本や。今にもくたばりそうな身体で働いて、身体を壊したら元も子もあらへんやん。1週間は賃金発生せんからな。仕事だと思って飯は食え。お残しは許さん。以上」
「おお……ありがとう。ありがとう御座います」
姉が拝まれてるわ。
どこの教主だよw。
「これも太陽神のお導きやからな。困っとる人を助けんかったら、私がお天道様に叱られるわ。困った人が居たら助けたり。後、感謝するなら私をここに連れてきた殿下にし。殿下が、この国を憂いてお戻りにならんかったら私はここにおらん」
姉よ、さり気なく太陽信仰を吹き込みつつ、功績をリオンに擦り付けた。
拝まれたリオンは姉を無言で見ているぞ。
リオンの視線を姉はキッパリと無視して
「飲み水は配るから1日飲める分だけの入れ物を持ってき。神社が建つ当面は、水は配給したる。後、余力がある人の中で調理できる人は留美生について行って粥作りや。作る前にCleaningで身体を綺麗にしてや。まずは、これを飲んでからな」
粉ポカリを寸胴に入れて水で溶かしたものをお玉で掬ってコップに入れて手渡す。
「これは?」
「栄養ドリンク」
身体に必要な成分が入った万能ドリンクだ。
味の良し悪しは人によるので、苦情は受付けない。!
「じゃあ、調理が出来て動けそうな人は留美生のところへ行って。その他の人は、水を配給するから入れ物持っといで~」
姉の言葉に従う村人たち。
私は調理が出来る人を連れて仮設調理場へ向かった。
十七人の女性と私が集めたチビッ子達で先ずは野菜を洗う所から始めた。
全ての野菜を洗い終えて、ジャガイモ、人参などの皮を剥く。
「留美生様、皮剥けました。」
「人参をすり下ろして」
私の指示に大量の人参をすり下ろす女性達。
「留美生お姉ちゃん、玉ねぎの皮剥けたよ。」
チビッ子達の声に
「ありがとうなぁ。これ細かくみじん切りお願いするわ。」
隣の女性達に玉ねぎのみじん切りをお願いした。
私は鍋の底にトマトを敷き詰める。
みじん切りした玉ねぎをカラメル色になるまでバターで炒め、すり下ろした人参を一緒に鍋に放り込んだ。
私は野菜スープの寸胴とは別に主食であるお粥を作る事にした。
絹ごし豆腐を裏漉しし、胡麻を擦っておく。
「これはどうするのですか?」
町の女性の問いに
「これ?喰う。あぁ、今は少しでも少しでも栄養を取って欲しいからな。」
米の半分を賄って貰うものだ。
「七分粥が妥当かなぁ。」
私は昆布で出汁を取った湯で米と裏漉しした豆腐を入れてコトコトと煮込んだ。
粥とスープを交互に見ながら出来上がりを待った。
粥が出来上がり、姉は水魔法で作った真水を配給していった。
「水魔法の水って飲めるんですか?」
心配そうに聞いてくる村人に、姉は作り出した水の一部を取出して飲んだ。
「ただの真水やから問題ないで。神社が建ったら雨ごいして雨を降らすから干ばつとはおさらばや! 太陽神の神の使いがおるからな」
姉の肩に居座る紅唐白を拝む人々。
「粥が出来たから、まずは飯を食ってから水の配給を続けるで。飯の時に飲み水が欲しければ、そこにある寸胴に入っているから勝手に注いで飲みや」
並ぶ彼らに粥とスープを手渡していく。
途中、横入しようとした馬鹿は後ろに回るように注意をした。
「お代わりは沢山あるけど、腹いっぱい食べたらしんどくなるから少しお腹が空くかなくらいで止めときや」
姉の忠告は絶対に無視されるだろうなぁと思った。
大量に作っているとはいえ、不足したらどうしようと一瞬頭を過る。
大丈夫だと思うが、彼らの食いっぷりにドン引くわ。
水の配給も終わり、何やかんやしている内に、あっという間に夜になった。




