痩せた大地
姉が元大衆食堂と土地を買ったと報告されたので手直しが必要か確認する為にイスハパンを連れて見に行くことにした。
先ずは元大衆食堂を見に行った。
「ボロいな…」
「建て直した方が良くないか?」
「せやね…これは酷い」
見れば朽ちた元大衆食堂に手直して住めるとは思えない。瓦解して終了のお知らせが見えるようだ。
「自宅になるんやし、お洒落にログハウス風にしよか。」
「階数は3階だな。」
「せやね、技術的にな。」
デザインは後で姉に確認して貰ったら良いだろう。
後は神社の土地を確認せんとな。
干ばつで干上がっている大地に私は溜息を吐いた。
神社を建てるにせよ、木々が育ってくれんとなぁ。
「わぁ…」
「これは酷い」
ぺんぺん草一つも生えてない土地。
「神社には景観も大事だからなぁ。」
「だよな、レン様が嘆くな…」
姉が嘆くかどうかは分らないが、この干ばつをどうにかしないとダメだろう。
「土の土壌も痩せているし、出汁巻き卵に頼むのもありか…」
「何とか出来るのか?」
イスハパンの言葉に
「干ばつは姉が何とかするだろうし、土壌は出汁巻き卵に頑張って貰おう。」
他力本願な事を言っておいた。
私一個人ではどうにもならんしな。
私達はブラブラと歩いていると小さい子供が倒れていた。
「大丈夫か?」
イスハパンが子供を抱き起こすと、カサカサの唇から
「み、水…」
水を乞う言葉が出た。
痩せ細った身体は見てて痛々しい。
「一人助けたらまた一人と増えるんだけど…ね。」
見捨てるという選択肢はない。
もし見捨ててしまえば、リオンが上げる名声に傷が付いてしまう。かと言って今、大勢の人が助けを求めて押し寄せたら困る。
「イスハパン、その子を木陰に連れてきて。」
「分かった。でも大丈夫なのか?」
「姉のことか?まぁ、孤児の子供とかも集めたいと思ってたし、この子を助けて子供のネットワークを利用させて貰う。」
私は子供にレモン水を与える。
レモン水を一気飲みする子供に
「ゆっくりと飲め。身体に悪いで。」
注意するも子供は私の言葉は聞いてないようだった。
子供はお腹も減っているだろうと判断し、私はアサリのクラムチャウダーを渡し食べさせる。
「んっぐ、もぐっ…」
子供は無心でクラムチャウダーを食べている。
「お姉ちゃん、お兄ちゃん、ありがとう。」
ペロっと食べた子供の顔色は若干良くなっていた。
「別に良えよ。他の子にも食べさせてあげたいと思うか?」
子供を見ると
「食べれるの?」
「私と約束してくれればご飯が食べれるぞ?」
「どんな事?」
キラキラと期待の目をして私を見ている。
「ん?この食料はな第三王子リオン様の物だ。この干ばつもリオン様の仲間が力を貸してくれる。リオン様に力を貸してくれそうな友達に声を掛けて欲しい。出来るか?」
「そんな事で良いの?」
「あぁ、リオン様は一人でも多くの仲間が欲しいからな。明日もあの空き地に居るから友達を連れて来れるか?」
「分かった、お姉ちゃん。」
「もう少し休んで家に帰りな。私らは町を見回って帰るから。」
そう言って子供を置き去りにして宿に戻るのであった。




