帝都へ向けて
「妹、リオンのこと呼び捨てはあかんやろう」
姉の溜息に私は、うへぇとなった。
「これから軍主になって、制覇したら一国の主になるからな。呼び捨てはあかんやろう」
「前々から思っていましたが、王子を呼び捨てにする人なんていませんよ」
ハァと溜息を吐くゲルドに、
「どういう経緯でハルモニアに来たか知らんが、亡命したんなら身分はないものやろう」
と私が突っ込みを入れる。
「留美生のいう通りやな。殿下で統一しとくか」
姉の無難な提案にリオンが
「様付けで呼んでも良いんだぜ」
ニヤニヤと姉を見ている。あ、コイツ墓穴掘ったな。
姉が良い笑顔で
「リオンサマ~、殿を務めて敵をいなしてきて~」
様付けで呼んだら、両腕をさすっている。アホやな。
「止めろ。キモイ」
「自分から様付けで呼んでも良いって言ったやん。希望が叶ったやろう?」
リオンをからかって満足した姉が
「殿は冗談として、殿下で統一しておくか。それなら体裁も取れるやろう」
「公式の場で呼び捨ては止めて下さいね!」
ゲルドに思いっ切り釘を刺された。あいつの中では物凄く信用がないんだな、そんなヘマはしない。
「せんわ。まあ、リオンリオンと呼んでたらボロが出るから殿下呼びに直すわ。というわけで、殿下これから本当の戦場に向かって墓場に片足突っ込みながら勝ちを取りに行くで」
「軍の名前はどうします?」
「軍名ねぇ……。殿下、何か思いつくのあるか?」
「解放軍で良いんじゃないか?」
リオン、ネーミングセンス無いな。一応、現状の国を解放して新しく国造りするから有りなんだろうけど…もっとマシな名前にして欲しかったわ。
「よし、じゃあ解放軍始動やな。まずは、ワウルの情報を整理し仲間になってくれる同志を集めつつ、グウェン城を手に入れる。グウェン城攻略は殿下が率先して動いてや。一個小隊分で制圧せい」
「それは無理なんじゃ……」
「湖と付近の魔物はサクッとレベル上げも兼ねて軍事演習で一掃する予定やから。その後、根城にする城の制圧は当事者本人の力を示さんと納得せんやろう。それとも、殿下をお飾りにするつもりか?」
姉よ、リオンをお飾りにするつもりは無いってことか…交易とかも色々とやらせるんだろうなぁ。これから難問が降り注ぐリオンに私はそっと手を合わせた。
「強化合宿ブートキャンプなら丁度良いかもしれませんね。どれくらいのレベルの魔物モンスターが出てくるのか楽しみです」
レナが無邪気に答えている。
わぁ…段々脳筋部隊が増えているような気がする。
「非戦闘員もせめて敵をいなすくらいには強くなって貰わないといけませんね。軽く揉みますか?」
「ニックの言い分は最もですね」
うへぇ、地獄の新兵教育をするのかと思うと練る策も少数精鋭での策を組みやすい。
ふむ、これは新兵教育を強化して、第一王子、第二王子の近衛を叩き潰す方が早いか…
この情勢で最早、帝国に志願する兵士はいないだろう。徴収兵か両陣営の私兵になるか…
「そんな無駄口叩いてんと、サクサク歩いて今日中には帝国入りすんで!」
姉の言葉で現実に引き戻された。帝国入りも良えけど
「内戦一歩手前ってことは、食料も少ないんとちゃう?」
現地で食料調達がどこまで出来るか不透明だ。飢饉の噂があるので、現地で食料を調達は難しいだろう。まぁ、その辺は姉に任せるか…
私達は無駄口を叩きながらロッソ山を越えて帝国と共和国の国境線にあるアウトプット町に着いたのだった。




