元奴隷三人娘
三人娘を私に押し付けて逃亡した姉に溜息を吐いた。
「私は不本意やけど、今日からアンタ等を教育する留美生やで。宜しくな。」
私は三人娘に向かって自己紹介をして貰う。
金髪ボインちゃんが
「私はシュリと言います。特技は暗記と並列思考と土魔法が得意です。どこまでもついて行きます、留美生様、宜しくお願いします。」
ペコリとお辞儀した。うむ、礼儀正しいな。
黒髪パッツン絶壁ちゃんが続いて自己紹介した。
「私はアリスです。特技は暗記と足し算で水と火と無属性の魔法が使えます。お勉強頑張ってするので宜しくお願いします、留美生様!」
最後に赤茶の桃ちゃんが
「あの、私はレイラです。特技は暗記と暗算です。魔法は生活魔法だけです。留美生様のお役に立てるよう頑張ります。」
おどおどして自己紹介してくれた。
「じゃあ、今日は一日の流れと給与とかの基本な事について説明させて貰うな。あと服・小物などの必要品は私から支給するから安心せい。まず一日の流れやけど、朝は9時までに起きて身支度を整えてや。9時から朝ごはんやから食いっぱぐれてもご飯は作らへんからな。次にご飯が終わったらお昼まで勉強や。お昼ご飯は12時やからね。昼飯が終わったら夕飯まで身体強化するで!18時に夕飯や。その後は自由時間やから好きにして良えよ。此処までで質問はあるか?」
三人娘に確認したところ、理解しているようなので、私は給与の話に移行した。
「次は給与についてな。月給で金貨20枚、特定のスキルや役職に対して手当が付く。所帯持って子供が生まれたら子供手当が支給あるし、各種手当が支給されるから安心して良えよ。ほぼ無償で病気や怪我しても治したるからな!」
ニコニコと笑顔で説明したら
「あの、私達も金貨20枚も貰えるんですか?」
シュリの質問に
「固定給やしな。それにアンタ等は奴隷やない、従業員や。そこだけは間違えてくれるなよ!」
キッパリと従業員という事を念押ししといた。奴隷だと思われるのは厄介この上ないからな。
「ほんじゃ、次に当面の服・防具・武器を出すからこっち来て~」
私は大広間に鎮座している円卓に三人娘を連れて来る。メディションホームのフォルダから試作品の服、防具、武器、小物入れ他を出していく。
円卓がミッチリしてきたので私は彼女達に振り向くと、三人娘は唖然とした顔をするのであった。解せぬぅ。
「必要な分の服になるから、着ないのは除けて良えで。防具・武器は初心者でも使えるから安心してな。小物は欲しいのがあれば好きなのを持って行って良えで!化粧品などは姉から貰えば良えよ。お金は掛からへんから安心してな。あと最後に数日後にアイテムボックスを各自に支給するさかいなー。説明はこんなもんかな?分からへんことあったら姉か、私に聞きに来たら良えで。」
私は彼女達が選び終わるのをソファーでゴロゴロしながら待つのであった。
姉が買ってきた元奴隷三人組の教育をしている留美生です。
「姉、今日こそお前に囲碁と将棋を教えたるわ!」
姉の首根っこをガシっと掴み囲碁盤の前に座らせた。
「先ず囲碁からにしよか。」
「え?知らんで。興味ないもん。」
姉はキッパリと囲碁の指し方を知らへんと言いおった。
姉の言葉にブチィっと切れた私は
「何で、知らへんのに買ってくるんや!!アホかっ!?昼飯抜きやっ!!」
昼飯抜きの刑を発令する。姉は発狂して
「嫌や!イヤー何で昼飯抜かれへんとあかんの!?」
ギャンギャンと喚く、喚く。
「将棋盤や囲碁盤まで買いおって!磁石式の簡易な奴じゃなくて本格的なん買ってきたら指すぐらい出来ると思うやろ!馬鹿の見本として私とお前対戦をしようと思ってたのにぃ!!お金の無駄やないけっ!囲碁盤とか買わずにネット対戦出来る無料アプリがあるんやからそっちで教えたら良かったわ。」
お金が…とおいおいと嘆く私に
「こ、こういうのは形から入るんやで!?」
何とも頓珍漢な事を言う姉。
「形だけなんて意味ないわっ!お前、死ぬ気で覚えろよぉおお」
ギャオウと怒鳴り、姉に囲碁の指し方を教えて午前中は終了となった。姉め、軍師教育の足を引っ張りやがるな。
午後になって姉の引率で三人娘は身体強化のための修行を始めるのであった。
私は姉を含めて軍師教育課程を煮詰め直し、翌日から新しい軍師教育課程改を実行するのである。
姉が強制的に勉強することになってヒンヒン嘆き、イスハパンに追加で防具を要求して、私が激怒するのは時間の問題であったのだった。




