いざ公爵領へ
公爵領に入る前に検問で止められた。
まあ、巫女装束と浄衣を身に着けた男女60名+αを見たら止めたくなるわな。
「公爵夫人自らの依頼で参りました。こちらが紹介状です」
姉が懐に入れていた書状を見せると相手の顔色が、サッと顔が青くなっている。
どうでも良いが面倒臭ぇでござる。
「Cremaのレン様一行ですね。ようこそ、ミスト領へ」
サッと左腕を胸の前に持って来て、ミスト流の敬礼をされた。
「短い間ですがお邪魔します。皆、サクサク検査受けて出口で集合な」
軍隊のように整列する皆に声を掛ける姉に門番が冷や汗を掻いて断っていた。
「身元は公爵様が保証して下さっておりますので、そのままお入り下さい」
「分かりました。お言葉に甘えて通らせて貰います」
戦闘メイド含め総勢60名+αが検問を潜り、無事ミスト領内に入った。
「取敢えず、ここから二手に分かれるで。アンナは、私とミスト領主の館へ出向くで。留美生は、リサイクルに出された館近くまで行って待機。事前に調査しといて、こっちで話が固まり次第、合流して行動を開始するからな。ティムカルテットと白朱も留美生に同行してや。ただし、勝手な行動はとらへんこと! ティムカルテットが暴走したら留美生は給料3ヵ月カットの刑やからな」
「何で私が給料3ヵ月カットされなあかんねん!!」
横暴やと声を上げると
「ティムカルテットと白朱の監視は、お前の管轄やろうが。しっかり監視しとけ」
屁理屈コネ出した。
「じゃあ、イザベラの痛車はお前の管轄やんか! お前は給与3ヵ月カットじゃ」
イザベラの痛車は許してへんで!とギっと睨めば
「んなわけあるか! イザベラには痛車について、この件が終わったら事情聴取した上でどうするか決める」
言い訳して逃げおった。
絶対に給与カットしたる!!
「私と2人だけは見栄えが悪いので、10名ほど連れて行きましょう」
「うーん、じゃあ下から低レベル10人はレベル上げを並行して移動すんで」
アンナと姉がミスト領主の館へ連れて行くのを選別していた所に
「俺もそっちに行きたい」
リオンが、自分も加えてくれと直訴してきた。
珍しいとは思ったが正直、面倒臭いので姉に全部放り投げておく。
「留美生、リオンは最低限の礼儀作法は習得してんの?」
「ん? 礼儀作法と読み書き、算術は完璧に出来てるで」
「じゃあ、リオンも来てええで。アンナ、リオン含めて10名絞って」
「分かりました」
姉はアンナが選抜した9名とリオンを連れてミスト領主の館へ向かった。
「諸君、今から最終試験手前まで行で!人数は5部隊に分かれてやーバスを出すさかいそれに乗ったら出発や!」
軍隊宜しく物の一分も経たない内に5部隊に分かれてバスに乗車しよった。
「うち思うんやけどな、いつから軍隊になったんやろうって思うねん。育て方間違ったんかなぁ?」
ポツリと呟くと
「あれだけ選抜メンバー作り上げといて今更っすか」
呆れたようにこっちを見るボブに頷く初期メンバー。段々私の扱い雑になってないか?
「だって気引き締めへんと死ぬで?あんた等だって地獄のブートキャンプやったやん。」
「いやいや、俺等の時も大概酷かったっすけどね、あの号令なんっすか?どこかの軍隊作ってるんやと思うっしょ!!」
「号令って、死ぬから気を引き締めろよって意味やん。」
「この戦いで自分が無能であると理解出来ない者は魔物によって間引かれるってどんだけなんすか!!?」
ギャンギャン喚くボブに
「そんな事言ったか?」
と聞けば言ったと吠えられた。仕方ないじゃん、強化合宿は命がけなんだから!集まってくる奴って脳筋が多いのか戦闘狂なのかは知らんが釣られちゃうんだよ。
「最低でも使えるレベルにはなっているんだし、良しとするわ。戦争の二文字は無くならへんやろうけど、拠点としてる国が亡びるんは忍びないしなぁ。上がまともやなかったら速攻国捨てるけどな。泥船には乗るつもりはないさかいな!」




