表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

『マクバ』ー平安槍術ー

作者: セロリア
掲載日:2018/07/13

京都。


歴史ある名家。


の隣に位置する普通のプラモデル家。


ここのお座敷の屋根裏の神棚に、一本の槍がある。


代々家長しか手入れが出来ず、年に4回手入れの行事がある。


隣の名家を支え、守るのが習わしである。


平安時代、短槍部隊があり、名前をマクバと呼ぶ。


マクバ槍術。


この槍術の師範がついた国が栄え、敵は滅ぶと言われており、実際に、マクバ槍術は究極の殺人術として、裏の世界では知らぬ者は居なかった。


マクバ一族は独自の鉄と銅の調合技術を持ち、伝説によれば、柄で銃弾を弾いて戦ったという。


柄は縦に穴が開いており、軽量化がされており、強い力が加わると柔らかい部分と強い部分の捻れを生み出し、折れないようになっているという。


名家の跡取りは男14歳。


プラモデル家の跡取りは男14歳。


どちらもイケメン寄りのフツメン。


名家。


宗縁六道 (そうえん、りくどう)


彼女が居て、文武両道、容姿端麗、ガタイが良く、身長173cm、槍、空手、弓、剣道、柔道、どれも平均以上にこなす強者。

最近はグラウンドにハマッているらしい。


一方。


プラモデル家。


的波流刃 (まとば るば)


身長165、彼女無し、独りが好き、歌が上手い、運動は面倒臭い、槍もその他、駄目、パズルゲーム、クロスワード、囲碁、将棋が好きで甘党、痩せている。そして何より優しい。いや、優し過ぎる。




5年前。


名家の道場。


六道と流刃が親達の興味本位で対決させられた。


六道父「始め」


流刃父「・・」


六道「手加減してやるよ」白い歯がキラン。


流刃「・・(は~、っち、面倒臭いなあ・・)」


六道は体をゆさゆさしながら窺う。


流刃は静かに適当に構え、うざそうに自然体。


六道父「!ほう・・」 緊張してない流刃を見直す。


流刃父は・・険しい顔で腕組みし、細い目を更に細くしている。


六道「し!し!し!」 跳び跳ねながら、仕掛ける。


流刃は柄でカンカン弾き、円の動き。


イラついた六道が力を強め、引き溜め大振り準備、流刃は足を交差。


大振り。


かわして、柄を手の中で滑らせ短く持ちかえ、六道の背中に突き刺した。


六道父は見ていた筈だが、無視。


流刃父は一瞬六道父を見たが、また居直る。


六道「はあはあ、もうそろそろ本気で行くかなあ?」 ブンブン振り回す。


流刃「(早く帰りたいなあ)」 静かに構え。


六道「ふすー、いやあ~!」 足を狙い、執拗に頭、足を交互に攻める。


流刃「(セオリー過ぎだろ)」 頭を狙われ、ガード、そのまま短く持ち替えながら前に出る。


六道の槍の刃の間合いの内側の為に流刃にとっては安全圏。


柄を使い押し返そうとする六道、それを利用し、柄を突っ込み、腕固めをテコの原理を使い、極め、投げた。


〈バタアン〉 


六道「う、ううう〈シュビン〉うべ!?」六道の喉に模造刃が刺さる。


流刃「(これで二回死んだな)」


六道父「六道!何をやってる!本気出さんか!」震える拳。


流刃「(ええ~また面倒な事に・・)」


名家と下家。


色々面倒臭いのだ。


流刃父「流刃、遠慮は要らん、叩きのめしなさい」


流刃「は、はあ・・(勝ったら面倒、負けたら説教、たまんないなあもう~誰か変わってよ~(泣)」


起き上がる六道。


六道「ふー、ふー!」 涙ぐみ、興奮している。


流刃「・・」冷たい目。


六道「う、うええあああ!!」 怒涛の攻めで、突きを交えて、上下、横、突き。


流刃は全て当たり、最後は腹に突きを食らい、派手に倒れた。


六道「はあ、はあ、どうだ!見たか!これが俺の本気だ!」


流刃に模造刃を突き付ける。


流刃「・・参ったよ、やっぱり敵わないや」


六道父「そこまで!勝者六道、互いに礼!」


流刃父は軽くため息をつき、流刃を見た。


申し訳なさそうにチラチラ父親を見る。


またため息をつき、さっさと帰ってしまった。


その後、八つ当たりが激しかったが、実質は勝手いたので、少し誉められた。


気持ち悪かった。




現在。




二人共、中学2年で違う中学。


六道は名門の中学に通いながら色んな部活に精を出す。


流刃はありふれた中学に通いながら囲碁や将棋教室。


それぞれ帰宅したら六道は広い道場で槍の稽古。


流刃は一人で柔軟しながら詰め囲碁、詰め将棋。


そんな毎日。




ある日曜日の昼下がり。


流刃「・・たまには稽古したいなあ・・道場行ってみよっかな」


日曜日の昼過ぎは大抵六道と六道父は留守だ。


道場の鍵は両家で管理している。


流刃「行きますか!」 家を出た。


たまにこうやって隙を見ては道場に顔をだしているといえ、一人で練習した日は汗だくになるまで稽古してしまう。


何だかんだで楽しいのだ。


道場の着替え場所で着替え、模造刃の槍を構える。


能の舞のような動き。


そこからどんどん速さが増していく。


跳び跳ねながら回り、突き、バク宙しながらの柄で空中止まり逆立ち、そこから大きく腕を伸ばし、離れた場所に着地。


そんなサーカスみたいな動きを最初に、後々になるほど激しい動きが無くなって行く。


最終的には様々な構えを取る度に10分静止。


想像力を働かせ、多様な打ち込みを先読みする作業。


二人の娘が静かに通りかかり見ている。


姉「なあに?あれ」


妹「姉さん黙って」


姉「うわあ~綺麗な舞ねえ、ウキウキしちゃう」


妹「?・・そ?私にはいちいち止まりながらの変な踊りに見えるけど?あれ何がしたいの?」


姉「うふふ、あれはねえ、ひらひら~って、そんでバババって動いてるのよ~」


妹「はあ?意味解んない」


姉「最後まで見てれば解るかもね~、私だったら最後に気持ち良く終わりたいから」


妹「・・でも・・退屈な光景だね、もっとこう、派手に動いてくれなきゃ飽きちゃう」


姉「だめ~、れんちゃんは、彼の爪を飲みなさい」


妹「・・姉さんより強けりゃね」


姉「あらあら、でも・・そうね、私負けちゃうかも~うふふ」


妹「・・はいはい、まあた得意の謙遜が始まりました」


姉「違うってば~」


妹「はいはい」


〈ダアン!〉


音がしたので見る。



柄に腕を巻き付け牙突の構え。


姉、妹『・・』


牙突を打ち出すように前に体重がかかっていくー。


そこから急に反対の牙突の突きに変化!


そこから怒涛に動く、動く。


回り回り、回り回り、跳び、回転、払い、突き、かわす動き。


さっきまでの静止の舞とのギャップ差に驚く姉妹。


姉「ほらー、強いよー」


妹「闘ってみてよ、姉さん」


姉「うーん、今日は乗り気しない日~」


妹「そっか~、じゃあ乗り気した時にやろう!」


姉「楽しみ~」


〈ヒュダン!〉 低い姿勢で想像の相手の喉を突いた。


イメージ相手が霧散していく。


流刃「すー、ふー、すー、ふー、今日の奴はしつこかったな」


姉妹『やあやあやあやあ』拍手をしながら出てきた。


流刃「!?あ?何あんたら?」


姉「私は鈴之原冷華 (すずのはられいか)」背中までの長髪。


妹「私は鈴之原煉華 (すずのはられんか)」肩までのショート。


煉華「私達、薙刀使いなの、今日から宗縁家に内弟子入りする事になったの、ここで暮らすのよ、独り息子さんが居るとは聞いてたけど、やっぱり宗縁家ね!こんな凄い跡取りが居るなんて!」


冷華「本当にねー、六道君だっけ?妹とは同級生だよー、宜しくしてあげてねー」


煉華「ふふん、槍も強いって知ってるけど、薙刀も強いんだから!今度型を見せてあげる!」


流刃「・・あー・・俺は六道じゃない、すまん、俺には今日会わなかったという事にしておいてくれると助かる、あまり道場使ったって知られたくないんだ」


姉妹『!?じゃあ、君誰?』


流刃「この名家の隣に住んでる代々仕える身分のつまんない男さ、じゃな」スタスタ着替えに行く。


煉華「あ、ちょ!?」 〈バタン〉


冷華「へー、六道君じゃないんだ、以外だねー、あんなに強いのに本家じゃないなんて」


煉華「六道君はもっと強いって事かな?」


冷華「んー、多分それはないんじゃない?」


煉華「何で?」


冷華「解んないけど」


〈ガラ、バタン〉 流刃が出てきた。


流刃「まだ居たのか、閉めたいんだけど〈チャリチャリ〉」鍵を振り回す。


冷華「私、あなたと勝負したいんだけど」


煉華「!?え!?」


冷華「だめー?」クネクネ。


煉華「姉さん?さっきまで乗り気じゃ」


冷華「女心は秋の空ー」


流刃「・・俺の舞を見た上で?」


冷華「そだよー?」


流刃「・・解った、あんた強そうだし良いよ、ただし、一回だ、終わったら閉めるからな」


冷華「はあい、私が勝ったら名前教えてよー」


流刃「・・良いよ」


冷華「わあい、んじゃあねー、私はこれでー」 薙刀の模造刀を壁から取る。


流刃「・・」 壁から短槍の模造刀を取る。


煉華「ではー、構えてー・・・・始め!」


〈ヒュボ!!〉


冷華「え・・」 冷華の頭の真横、完全に突き抜けている位置に短槍の模造刃があった。


一瞬で決着は着いた。


煉華「は、はい!?勝負あり!勝者ー・・ええと」 名前が分からない。


流刃「はい、俺の勝ち、じゃ、閉めるから、出て」


冷華「ちょちょー?待って?待って?待って?」


流刃「駄目だ!早く出ろ!約束だろ?」


冷華「う?ううぅ~」 真っ赤。


煉華「(姉さんのこんな顔、初めて見た!か、可愛い!)」


流刃はそのまま追い出し、鍵をかけ、さっさと去った。


使用人?らしきおばちゃんから家の案内と、お茶菓子。



冷華「油断したあー、悔しいー〈モグモグ〉」


煉華「早いなんてもんじゃなかったね!〈モグモグ〉」


冷華「隣の家だったよね?〈ズズー〉」


煉華「はあ?姉さんまさか!」


冷華「ちょっと行ってくる」 スタスタ。


煉華「まだこの家にも挨拶住んでないってばあ!」追いかける。


冷華「10分だけ、ね?」スタスタ。


煉華「駄目!失礼だってば!せっかくマクバを習えるのに!台無しにする気?」スタスタ。


冷華「うん、だから5分だけ!れんちゃんも気になるくせにい」


煉華「そ、そりゃあ~、最強の姉さんにあっさり勝っちゃう男だし、興味あるけど・・」


冷華「決まり!」スタスタ。


煉華「5分だけだよ?5分だよ?」スタスタ。


冷華「はあい」スタスタ。




流刃は軽くシャワーを浴び終え、二階の部屋にガチャ入った所であった。


〈ピンポーン〉 玄関チャイム。


流刃「・・」


〈ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーン〉


流刃「ち!あー、面倒だなあもう!、はああい!?」


〈ガチャン〉 


流刃「はあい?どちら様?って・・お前らかよ」


煉華「ど、どもー」


冷華「君!ずばり!あたしともう一度試合してくれない?今じゃなくて良いからさ!」


煉華「・・」


冷華「ね?お願い~」クネクネ。


煉華「・・」


流刃「・・はあ・・いつかな、これで良い?」


冷華「名前!名前教えてよお、別に良いでしょう?」


煉華「(姉さんが男の人にこうも積極的になるなんて・・)」


流刃「・・ルバ・・流れる刃でルバ、表札は見たろ?まどばるばだ、これで良いか?寝たいんだけど」


冷華「あとひとつだけ!彼女は?婚約者は居る?」真っ赤。


煉華「!?(まじか!?)」


流刃「・・え?・・あ・・いや・・い、居ない」 真っ赤。


煉華「(お、おおお?脈アリ?脈アリですか?)」


冷華「そ、そう!良かったあ!あたしもそういう人居ないよ?」


流刃「そ、そうか・・」


冷華「じ、じゃあ、そういう事で・・LINE交換しよ?」


煉華、流刃『はあ?』


冷華「な、何よー、駄目ー?」


流刃「流石にそれは軽率だろ?会ってまだ一時間も・・」


煉華「そ、そうだよ!流石にそれは失礼だよ」


冷華「いいの!ビビビーンと来たの!お願い~」クネクネ。


流刃「駄目だ帰れ」〈バタン〉〈ガチャガチャ〉鍵を閉めたらしい。


冷華「あん!お願い~?」〈コンコンコンコンコンコン〉


煉華「ちょ!姉さん!止めなよ!本当に失礼だから!名前聞けただけ収穫でしょ?帰ろ?ね?」


冷華「う、うーん・・解ったー」 宗縁家に戻って行く二人。


流刃「何だよあいつ・・危ない女かよ・・怖!」寝転がり漫画。




その日の晩。


宗縁家で歓迎パーティーが開かれた。


そして翌朝。


清めの風呂に入れられ、道場へ。


祝詞を唱えられ、お神酒を少し飲み、刀を背中に軽く当てられ、儀式は済んだ。


六道父「私は宗縁家当主、宗縁雪平 (そうえんゆきひら)と申す、宜しくな、これが息子だ、名を申せ」


六道「宗縁六道と言います、宜しくお願いします」


姉妹『宜しくお願いします』


六道は今の彼女を振り、煉華か冷華を奥さんにしようと決意した。


二人共に違う魅力がある美人だったからだ。


しかし、冷華と煉華の話題は隣に住む流刃の事ばかり。


彼女とはまだ別れていないとは言え、未来の嫁を取られるのは気に食わなかった六道は、正々堂々と槍以外で勝負する事にした。


決闘である。


槍との勝負では万が一にも負ける可能性があった、しかし、槍以外であれば、まず、身長、体重差で圧倒的に有利だと思ったからだ。


流刃は最初は断った。


しかし、両家の耳に入り、正式な試合となってしまった為、槍の試合になってしまった。


前日。


お座敷。




流刃「だから何で俺がそんな事しなきゃいけないんだよ!?いい加減時代錯誤も大概にしてくれよ?なあ?」


流刃父「お前が本家に13歳以上になってから勝てば、正式に我が家が本家となり、家を交換させる事が出来るのだ、知っておろうが!」


流刃「いやいや、だから俺は旅人になるって言ってんじゃん!裏人間国宝だがなんだか知らないよ!俺は継ぐ気はないから!何回も話してんじゃん!」


流刃父「年間一億貰えるんだぞ!何が不満なんだ!?」


流刃「窮屈!旅人になって、ブラブラ世界を回りたいの!毎日稽古やら、道場の切り盛りやら俺の性に合わないんだよ!年間文化従事日数を日記につけて報告って何だよ!国に媚びて金せしめて!全てが俺の性に合わんわ!」


流刃父「・・安定を捨てるか?」


流刃「飼われるのは嫌だ」


流刃父「・・解ってるのか?お前は・・私から何も教わっていない、天才なんだ!もしかしたら歴史上で一番の天才なんだぞ?その才能を!お、お前って奴は!」涙ぐむ。


流刃「・・帰って来ないと思う、ごめんなさい」 頭を下げる。


流刃父「中卒で・・どうやって暮らす?」


流刃「・・中国に、ネットで友達が居るんだ、その友達は金持ちで・・ボディーガードを雇いたがってるんだ、前に1週間くらい家出した時、審査に行ってたんだ・・今日・・合格の連絡が来た・・その友達は、世界を回る仕事をしてて・・その・・楽しみなんだ・・凄い楽しみなんだよ・・」


流刃父「・・人殺しになるかもだぞ」


流刃「構わない!俺だって悩んだ!でも・・退屈で死にそうなんだ!嫌だ!こんな退屈が一生続くなら、俺は!人殺しを選ぶ!悪人しか殺さないし!」


流刃父「馬鹿者!人殺しに変わりないわ!お前は破門ー・・くっ」


流刃「破門も何も教わってない」


流刃父「・・解った・・全て解った・・ただし、明日の試合には出ろ」


流刃「はあ?」


流刃父「お前が勝ち、本家になれば、当主不在で、代理を立てられる、代理が切り盛りするから、お前は好きに旅をしてこい」


流刃「いやいや、場合によっては縁を切っておいた方が・・」


流刃父「その時は・・その時だ・・遠慮なく、戸籍から抜くさ」


流刃「・・ありがとう」


流刃父「構わんさ、確かに・・お前は強過ぎる、そんなお前にとって日本は・・退屈で死にそうだと思うのは解る、けどな、平和ってのは、無くして初めて気づく大切なモノだ、それに気づいた時、また戻ってこい」


流刃「日本みたいな平和な国を、世界の当たり前にしたいんだって、俺はソイツの手伝いをするよ、中学は卒業するから、そこから先は・・好きにさせて」


流刃父「大きくなったのか・・見た目だけなのか・・時が教えてくれるさ・・頑張ってこい」


流刃「・・うんありがとう父さん」


流刃父「はははお前に父さんと呼ばれたの久方ぶりだな」


流刃「そうだっけ?」


流刃父「そうだよ、全く、時は速いなあ・・」


流刃「俺には遅過ぎる」


流刃父「そうだな、ははははは、よし、明日はとりあえずご馳走だからな、存分にストレス発散するが良い!」


流刃「おう!」



試合当日。




六道「逃げなかったのは誉めてやる」


流刃「・・ありがとうな、お前から試合申し出しなきゃ正式な試合は行えないからな」


六道「ふん!槍だけはお前は得意だからな!だがあれから幾年が経過した?お前なんかもう相手にならんわ!覚悟しろよ」


流刃「・・そうだな・・あの時、お前に手加減した事は過ちだった、お前を天狗にさせてしまった、そのせいで、不幸になる人々の事を考えなかった、今からその過ちを正す!〈ヒュンヒュンヒュンヒュンビタ!〉」


冷華「ワクワク」


煉華「六道君って強そうだけど、実際どうかな?」


冷華「ワクワクワクワク」


雪平「さあ、両者前へ!・・・・構え!・・・・始め!」


〈ヒュボ!!〉


六道の頭の横を何かが過ぎて戻った。


皆『!?!?』


六道は気づかない。


六道「さあ、最初から本気で行くぞ!でああ!」 遅いかかり、足払いを中心に様々な技を仕掛けて行く。


が。


〈ヒュボ!!ヒュボ!!ヒュボ!!〉


流刃の槍が心臓、太ももの内側、脇の下に刺さって行くが、当てていない事、お遊戯みたいにくるくる回る六道の視界の外からの攻撃だった為に六道は全く気づかない。


煉華「す、すっご!ええ~すっご~〈チラ〉」


冷華「〈ぽわーん〉」


六道「(煉華さんが凄いって言ってくれた!ふふふ、これで気持ち良く勝てば!言うこと無しー)〈ドス〉・・あ?・・」腹に当てた。


本来ならこの時点で勝負ありなのだが。


審判である六道父は無視。


六道「こ、この・・〈カアアアア〉」


流刃「・・さっきから・・何回死んでんだテメエ!〈ヒュボ!〉弱すぎんだよ!!〈ヒュボ!〉」


六道「〈ドスドスドスドス〉ひ?い!?痛い!痛い!や、やめ!ま、参った!参ったあ!〈ビタア〉ひううう!!」目玉ギリギリ。


雪平「私と勝負だ!小僧!」木の短槍を持ち、威圧。


模造刀槍は刺されば引っ込む仕掛けがしてあるが、木の短槍では仕掛けは無く、怪我の確率は高まる。


木対模造刀では木が丈夫であり、壊れてしまう危険もある。


壊れて破片が目に入れば大事だ。


雪平と流刃父の武光 (たけみつ)では雪平の方が強い。


だからこそ大きな家に住めるのだ。


負けてしまったら・・。


雪平は震えていた。


チラっと武光を見る流刃。


頷く武光。


流刃「・・おじさん、俺は、中卒で終わる、そして中国に渡る、だから、大きな家はまだまだあんたが住んで良い」


雪平「君に許可を得る必要が?」 構える。


流刃「・・ただ、あんたはムカつきます、暴力から身を守れないなら武術家じゃない、俺の暴力から身を守ってみろよ、駄目審判!!」 腕を巻き込み牙突の構えで片足を上げている。


雪平「・・参る!・・し!」一気に柄を伸ばし、腕も伸ばし、目一杯間合いを殺し、刺す技。『投げ突き』


投げ突きは放つと弾道は変えられない。


流刃は左前足の構えだった為、左手で柄を操り、左へ投げ突きを弾きながら回し受けをしながら右手を上げていき、首の後ろに自身の槍柄を落とし、ながらの前に移動し、左足を着地、足を交差、右足を前にだしながら、逆手と逆の表手に持ちかえ、雪平の返しの横払いをガードした後、『逆投げ突き』を放った。


それは名家に伝わる奥義の一つ。


雪平「転身 (うつせみ)・・見事・・〈ドサア、カンカラララン〉げほけほ、ごほげほけほ」 腹に入り、苦しそうだ。


流刃「大丈夫?おじさん!」 駆け寄る。


雪平「・・ああ、げほけほ、だ、大丈夫さ・・、君が当たる瞬間引いてくれたから・・げほけほ、そ、それにしても・・何故君が奥義を知ってるんだ?」


流刃「奥義?何それ?」


雪平「げほけほ、だ、だろうなげほけほ、ああ・・」


六道「父さん!よくも父さんを!」立ち上がろうとするのを、雪平が止めた。


六道「どうして!?」


雪平「彼には勝てんよ、わしでさえ、100回やって100回負ける」


六道「そ、そんな事・・」


雪平「ああ、だいぶ、楽になった、・・はあ・・あの時、君は天才だと思っていたが・・まさかここまで天才だとは思わなんだ・・済まなかった・・」 頭を下げる。


六道「と、父さん!?」


雪平「六道、武士にとって、最も大事なのは何か解るか?」


六道「生き残る事」


雪平「そうだ、彼は私達をいつでも殺せる力を持っている、その彼に不機嫌になられたら不味いだろう?相手の優しさだけに期待して命を預けるのは最も愚かしい行為だ、何度も命を救われたんだ、お前は今日、何回死んだ?我々は生きたいんだ、生かしてくれた彼に心から感謝しなさい」


六道「・・う、うわあああああ!!」 どっか行った。


雪平「・・済まない・・まだまだ時間がかかるようだ」


流刃「・・いえ、いいんです」


雪平は立ち上がろうとする、両手を貸す流刃。


雪平「・・中国、行くのか?」


流刃「・・はい!〈ニッコリ〉」


雪平「そうか・・だが、新しい当主は君だ、流刃君、我々はいつまでも当主が帰るのを待っているよ」


流刃「いやいや、待たなくて良いです」


雪平「それは残念ながら、君の決める事ではない、我々残る者らが決める事、違うかな?」


流刃「・・まあ、はい、そうですね」


雪平「ふははははは、我々の当主の船出か!盛大にいかねばな!わはははははははは!」



冷華はその後、流刃に告白し、振られた。


煉華も同様に振られた。


中学、卒業式が終わり、皆で飲んで食べた。



出発の朝。


武光から直に渡されたマクバ一族に伝わる家宝の短槍、神神 (しんしん)を手渡された。


灰色の柄には金色の鳳凰の模様が連続して並ぶ。


刃の部分は孔雀王の模様が裏に、裏孔雀王の模様が表にある。



一目で国宝級の代物だと解る。



雪平からは服の下に着込める薄くて丈夫な長袖と半ズボンが一体となったつなぎ鎖服を貰った。







20年の月日が流れた。


煉華は六道と結婚し、子供を2人もうけた。



冷華は遅婚で、内弟子の弱い男と恋に落ち、結婚した。




日本は中国の領地となったものの、日本を名乗る事は許されていた。


アメリカも中国の支配下に実質なり、世界は中国とロシア、ヨーロッパが支配していた。


ロシア、地下神殿。




ロシア大統領「彼らかね?私達の英雄は、何とも逞しいじゃ、ないか、〈チラ〉それに比べ、中国側は幾人か用意してあるようだが、あの日本人だけで勝ち上がる気だと?笑わせるな!銃以外何でもアリのこの聖なる戦争において、たった一人にアメリカの連中がやられたなどと・・噂は噂か!あんな者に我がロシア帝国の英雄達が破れる筈がない!!思いしるがよいふふははははは」



聖なる戦争。



世界は三度核を使い、オーストラリア、シリア、エジプトは荒廃に期した。


世界は急遽、対策を検討する。


13人の選手による殺し合い。


一つの国から13人の選手を何らかの方法で集め、代表として戦わせるというモノだ。


全員死亡した時点でその国は戦争に負けた事になる。


本人の気持ちもある為、棄権する事も出来るが、既に国中に生中継されており、退くに退けない状況なのは言う間でもない。


一旦リングに上がれば死ぬまでやるしかない。


アジア対、ロシア対、ヨーロッパ。


39人による、デスマッチ。




テレビ前に座る煉華の家族。


煉華「姉さん姉さん!早く早く!始まったよ!」


冷華「・・うん」 夫と見る。


皆鼓動が早くなる。


グロい部分はAIが判断し、黒モザイクをする仕組みだ。


子供達もワクワクしながら見ている。



国中の人々が熱狂し、見る。


煉華「ロシアかあ・・遠いね」


冷華「・・そうね」 夫と手を繋ぐ。


翻訳は会話のテンションも模倣して語られる。



司会男「レディースエーーンジェントルメーーン!!さああ!始まるぞお!始まったぞお!戦争だあ!これは紛れもない戦争だあ!!これは個人の闘いではなあい!!国と国との闘いなのだあ!!ほとばしる血!飛び出す内臓!それらは国の有り様そのものなのだあ!彼らが傷つき、血反吐を吐き!もう駄目だと思うその時!あなたの国も無くなるのである、ではこれより!聖なる戦争!アプラス!ビブァンテ!ユシュラビウスの開幕を宣言するう!!!!」



《ボボオオオオオオアアアアアアア》 地面から花火が吹き上がる。




最初はアジア対ロシア。



司会男「さあ、まず最初に登場するのはあ!アメリカを一人!たった一人で下した男お!ルバあ!ハトバあ!!!!」


身体データが画面に出る。


身長175cm 、体重68キロ、視力1.2、体力レベル上の上、槍使い、槍のレベル、神。


因みにこの闘いに参加する者は全て神と表示される。




流刃は道義姿で現れた。


代一回目の聖なる戦争は、中継されなかったのだ。


だから皆、食い入るように見ている。



司会男「ロシア側わああ!!シュハルトお!ベーン!ミチュリッチいいい!!!!」


身長230cm、体重190キロ、全身鎧の騎士、巨大な斧の使い手、斧レベル上の上、体力レベル神、力、神。


冷華「・・怖い」


冷華夫「大丈夫さ、彼なら」


煉華「・・体重差なんてルールないからね・・怖いね」


煉華チビ「ママ怖いい?よちよち?いいこ?いいこ?」


煉華「・・ありがとう」 抱き締める。


武光「ふん!なんじゃい!こんなやつ!楽勝じゃよ!楽勝楽勝!か~かっかっかっか!」


雪平「当然だな!格闘技ではない、これは殺し合いなんだ、素早く、急所を一撃でも入れれば勝ちだ、速さで彼に勝てる者か!」



10分後。


始まった。



審判「フアァアアアイイ!!!!」〈ゴオオン!!〉 巨大な鐘が鳴った。



シュハルト「ふうん!《ヒヒュボ》」横溜めからー振ろうとしたが、既に。


シュハルト「あ?ああ!?」視界が消え真っ暗闇。


一瞬にして目から大量の出血している全身鎧の男が画面に映る。


皆『!?』



痛みがー。


シュハルト「お!?オオオオ!?」 追い付いて来た。


顔を押さえ、悶える。


後頭部に隙間が出来る。


槍の矛が容赦なく、その隙間に入る。


〈ピーン〉 綺麗な振動の音が引き抜く時に出た。


シュハルト「・・〈ガシャアアアア〉」 倒れた。



《シーーーン》


審判「・・〈バ!!〉」 腕をクロス。


司会「・・え・・」


審判「死亡です!」


司会「な・・なあ・・ななな何だとお!!??」


観客達『うわああああああああ』 大興奮。



コメントを求められる流刃。


流刃「あー、皆見てる?やほ、久しぶり!」


流刃家族『・・・・』


流刃「あー、ごほん、大丈夫だから」


流刃家族『・・・・』


流刃「日本を民族浄化なんてさせない、大丈夫、俺がいるよ、仲間も大勢出来たんだ、皆俺を応援してくれてるよ、だからー」


日本中『・・・・』


流刃「中国の偉いやつとも友達なんだ、だから、大丈夫、日本は無くならない、俺の闘いを見とけお前ら!以上!」


日本中『ウオオオオオオオオオ!!』


煉華「遠いね・・本当に・・引き留めなくて良かったね姉さん」


冷華「・・・・ん・・・・」 夫と抱き合う。夫の胸が濡れて行く。


冷華「(振られて良かった、振られて良かった、本当に良かった)うう、えええん、ううえええん」


第二試合。


流刃「・・」構える。


ロシア人、美形で金髪長髪。


サーベル2刀流。


審判「ファアアイ!!」〈ゴオオン!〉


金髪「ヒャイイイ!」 狙われないようまずは離れる。早い。


が。


〈ズドン〉 金髪の太ももに穴が空いた。


金髪「!?」倒れる前にー。


〈ズドン〉 心臓にも穴が空いた。


〈ドサア、カララン〉



雪平「あの技は・・」


武光「間違いない、投げ突きの奥義、海霧かくれ


雪平「足の運びと肩を入れる事により、30~50cm間合いを伸ばす技術、届く筈がない槍が届くのだから、相手からすれば、何故届いたのか解らず死んでいく、恐ろしい技だ」


武光「一番恐ろしいのは、それを自分で開発している点だ、手の中で滑らせる技術があってこその技だ」


流刃はデカイステージから降りる。


そして結局。


流刃一人で勝ち続け、ロシア側は完敗した。


そして勝利のインタビュー。


流刃「あー、長期の休み取って良いって約束したから、近々そっちに行くよ、20年経過しちゃったけど、遊び行くから!じゃ!」


流刃は日本人だという事は周知の事実。


日本政府も含め、大騒ぎになった。



一ヶ月後。



空港。



日本首相よりもVIP待遇。


300人以上のボディーガード達。


高速道路、貸し切り。


日本中がパニックに (特に成田から奈良までの区間)なった。


英雄を一目見ようと、とにかく車でもと、沢山の人、人、人、人。


民衆『ありがとうう!!ありがとう!!ありがとう!!ありがとうう!!』


首相「当然ですよ、あなたはこの国を守って下さっているのですから、しかし、本当に良いのですか?奈良までというのは」


流刃「・・ああ、奈良までで良い、後は一流のボディーガード6人だけで良い」


首相「・・かしこまりました」



奈良駅。



ボディーガード達をカジュアルな服に着替えさせ、出発。



宗縁家。


道場は休み。




テーブルが並ぶ道場。


忙しく料理を作る冷華、煉華、流刃の母親、六道の母親。


六道、雪平、武光、煉華夫、冷華夫、子供達は掃除。



子供達が遊ぶ。



六道「ほら!きちんと掃除しなさい!日本の、いや、世界の英雄が来るんだぞ!!」


子供達『はあい』






料理がテーブルに並び終わる。


冷華、煉華はお風呂に入り、毛を剃り、派手な着物に着替え、高価なかんざし、厚化粧。


少し遅くなると流刃から電話あったよと化粧室に声を掛ける母親。


冷華、煉華は変身が終わり、皆、親戚、近所の親しい人達が集まっていた。


広い道場にはしゃぐ子供達。


子供達だけで幼稚園みたいに人が居る。


冷華だけが玄関で待つ。


それを許す夫。


冷華の初恋の相手が『彼』なら、それは仕方ない事だと解っていた。




〈ピンポーン〉


冷華「は、はい!あ・・」〈ガララララ〉


ボディーガード男1「む、失礼」冷華を見る。


ボディーガードのサングラスの内側に色々映る。


男1「・・冷華様ですね?」


冷華「・・は、はいそうです」怯える。


男1「異常がないか調べさせて〈ドカン!〉うおお!?」玄関で蹴られ倒れた。


流刃「ったく、いつまで待たせんだボケ!こっちは腹減ってんだよ!住民が普通に居たんなら安全だボケえ!」


ボディーガード女1「失礼します、この度はお世話になります、失礼かと承知ですが、仕事ですので、サーチさせてください、いつまで寝てんの?早くサーチして!」


ボディーガード達は靴を脱いでどかどか上がり込みサーチを始める。


冷華は視線を外さない。


流刃「やれやれ・・お?冷華か・・綺麗になったな・・母親になったんだろ?とてもそうには見えないな・・着物姿、とっても似合うな」


冷華「・・アアアアアアア!!」 抱きつき、泣く。


流刃「おおい!?」


煉華「お帰りなさい」


流刃「おお!?煉華か?随分美人度が上がったなあ!」


煉華「度って何よ!度って!」


流刃「い、いや、はははははは」


煉華「ほら、姉さん!いつまでも泣いてたら流刃さんご飯食べれないでしょ?ね?」


冷華「・・うん・・ぐす・・はあ・・うん!お帰りなさい!〈ニコ〉」


流刃「・・ああ、ただいま!」


道場に入ると、ボディーガード達が酒を注がれていたり、子供達の餌食になっていた。


武光と向き合う。


お互い正座。


見つめ合う。


武光「・・大きいな・・華奢なのは変わらずだが、ふはは、うんうん、大きいな、大きくなった」


流刃「あなたの教育のお陰です、今の私があるのは、あなたのお陰です、本当に、ありがとうございました」 正座のままお辞儀。


武光「・・こちらこそ、素直に育ってくれてありがとう」素直にお辞儀。


お互いに笑い合う。


近所のオヤジ「ささ!腹減った!もう、我慢出来ない!腹減りました!」


雪平「そうだな!よし!始めよう!皆いいかな?」


乾杯準備。


子供達にもコップにジュースが注がれる。


雪平「では、・・いいかな?・・ごほん、えー、今日は皆集まりたくて集まっている、遠慮は


流刃「カンパアアアイ!!」


雪平「え?」


雪平以外『カンパアアアイ!!!!』



その後。


流刃一人の戦力で、ヨーロッパにも勝ち、アジアが優勝。


中国と、中国を含む連合国が世界をサポートする事になった。


世界のトップは量子コンピュータ。


流刃 (38歳)は中国一の美少女 (18歳)皇帝の娘と結婚した。


勿論、最初は流刃は断った。


しかし。


皇帝 (32歳)「いや、娘がなあ・・てめえじゃないと嫌だって聞かんのだ」


流刃 (33歳)「ふざけんな!親子ほど離れてるガキになんか欲情すっか馬鹿!」


皇帝「ば、馬鹿とは何だ、馬鹿とは!」


流刃「馬鹿に馬鹿って言って何が悪い?」


皇帝「うぐぐ!うるせえ!馬鹿!ばあか!」


流刃「ああん?殴るぞてめえ?」


皇帝「やんのかコラア!?」


流刃「・・」〈ポコン〉げんこつ。


皇帝「痛い!?こ、こいつ本当に殴るとかあ」


流刃「ふん!弱い癖に強がるからだ」


皇帝「うぐぐ、ばあか!」脱兎。


流刃「あ!てめ!・・ったく・・」


皇帝「はあ、はあ、はあ、はあ」脱兎中。


皇帝娘 (13歳)「おい」足を引っかけ。


皇帝「ぐあああ!?〈ズダアアン!!〉ぐおお!いったああ!あいったあああ!!」


皇帝娘「貴様ちゃんと伝えたんだろうな?あ?」頬っぺを引っ張る。


皇帝「伝へま!伝へまひまあ!」


皇帝娘「〈カアア〉そ、そうか!ならば良い!それで?返事は?」


皇帝「・・」視線を合わせない。


皇帝娘「・・」頬っぺを引っ張ろうとー。


皇帝「が、ガキに欲情何かするかって言ってた!」


皇帝娘「・・」 本当にショックな顔。


皇帝「・・な、なあ・・お前はまだ若い、焦らなくとも・・な?」


皇帝娘「・・あなたは・・あの御方がいかにモテるか知らないからそんな事言えるのです!ぐずぐずしてたら取られます!」


どっか行った。


皇帝「はあ・・娘の願いを叶えてやりたいがのう・・」



皇帝娘が夜這い。


部屋に入った時点で気づかれた。


失敗。


〈ペイ〉叩き出された。


色々、本当に色々やったが、〈ペイ〉〈ペイ〉〈ペイ〉


18歳。


38歳の男をまだ追いかけていた。


流刃「・・」 高価な紙の本を読んでいると。


短パン、インナーだけで太ももの上に座る娘。


〈ペイ〉


流刃が風呂上がり、布団をめくると、裸にリボンを巻いた姿。


娘「は、恥ずかしい〈カアア〉」


〈ペイ〉



娘「だああ!もう!あいつホモなんじゃないの!?いや、エロ動画は大量にスティックの中にあったし、ゴミ箱にはティッシュがあったし、一応健康な筈・・むむむ・・一体何でええ!?」


不法侵入、スパイ行為。




娘母「春蘭」


春蘭「は、母上!?お身体は?大丈夫なのですか?」


母上「春蘭、あの方は欲情を抑える強靭な心をお持ちです、ですからどれだけ体で誘惑しようとも無意味なのです」


春蘭「では、どうすれば?」


母上「それはあなたが自分で気づかないと駄目です、体で駄目ならば、心、真心ですよ、春蘭」


春蘭「心・・解りました、やってみます!」


母上「ふふふ頑張りなさい」


勘違いではなく、本物の恋だと、認められた瞬間だった。


料理を勉強し、日本の肉じゃがを作った。


流刃「旨い!?おお!旨い旨い!〈バクバク〉」


春蘭は嬉しくて号泣した。


流刃「・・悪かったな・・お前の事、誤解してたよ・・悪かった」 抱き締める。


春蘭「ううん、いいの、美味しい、言ってくれた、嬉しい」


流刃「今度槍の講師の休み貰うから・・デートするか?」


春蘭「〈パアアア〉う、うん!うん!うん!絶対!約束だよ!?」


流刃「・・ああ約束だ」


産まれた時代を娘は間違えただけ、ただ、それだけだと。


思う事にした流刃であった。



結婚には誰も反対出来なかった。


宮廷内で変わらない思いを貫いている娘の姿を知らない者は居なかったからに他ならない。一年や二年ではないのだから。


皇帝になる身は清らかでなくてはならない。


コンピュータによる、記憶映像化技術。


流刃は童貞である証が立てられた。


これが決定打となり、宮廷内での少しの煙も立たなくなった。



春。



結婚式。



世界中に生配信されている。


冷華も泣きながらテレビを見ている。




結婚式は中国、宮廷内の小さな湖の中にあるガーデン。


ピンクの蘭が咲き乱れている。


宮廷の司祭「まほろばの誓いを立て、共に夫婦として、生きていく事を誓いますか?」


春蘭「誓います!!」ソワソワソワソワ。


流刃「・・ああ、誓う」


春蘭「やったあ!んむちゅー!」キス。


流刃「・・」カメラ方向に手をかざす。


世界中『ええええええ!?』


見えない司祭「あー、ごほん!続きは部屋でやって下さい、アーメン、やれやれ・・」


王家の繁栄に湧く世界だった。



《END》


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ