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91.あっ、宇宙が見えるのはファントムだったけ

体躯の小さなケーティーシリーズは攻撃の射程距離が短いのが欠点と言える、それを補うため高出力のモーターにまかせて懐に飛び込んだ赤髪の31号は手首の動作一つでメリケンサックをクルリと返すと、その内側の鉤爪を夏子に向かって突き出した、いわゆる暗器と呼ばれるシロ物だ。

前髪3本が宙に舞うが夏子はいきなり伸びてきた鉤爪を身体を回転することで躱すと、そのまま回転にまかせて刀を振るう、だがその刀は間に割り込んだ29号の中華包丁に受け止められた。

が、止められて尚も躊躇なく力任せに振り切る夏子、軽量の29号と31号の身体が浮き上がりまとめて吹っ飛ばされるが、綺麗なバク転を披露して着地した。


「「クッ、バカヂカラ」」


「いいわ、いいわ〜貴女達、私の打ち込みを受けれる奴は少ないのよ、今度はこっちからいくから頑張りなさい」


夏子は長刀よりも取り回しの良い大脇差(刃渡り54.5cm)を好んで使う、これはヤクザ相手に屋内での戦闘が多かった時に長い刀身よりも狭い場所では使いやすかったからだ、そして今回は夏子の得意な室内での戦闘、これが屋外であったならば機動力に勝るケーティーシリーズが有利だったであろう。


一方のケーティーシリーズはアンドロイドながら恐怖というものを味わっているのかもしれない、あきらかに自分達よりスペックの劣る人間相手に動けないでいるのがその証拠だ、正確には搭載されているAIが途轍もないスピードで戦闘シミュレーションを繰り返しているが、最終的にエラー表示されるのだ。何度計算しても必勝パターンが見つからず、勝率が上がらない。


「データが足りナイ、薬丸自顕流にも似ているガ……」

「黒夢姉様の時トハ、間合いとスピードガ違ウ、修正スル」


この闘いを後ろで眺めていた京香だったが、何をやっているかさっ〜ぱりわからなかったので、とりあえず中指で眼鏡のフレームを押し上げ「ふっ」と笑っておいた。別に深い意味はない。


ダンッ!!


無拍子から力強く地面を蹴った夏子が一瞬で間合いを詰める、だらりと下げた右手で切り上げの一閃、受け止めた29号の中華包丁が軋み後方に跳ね飛ばされる、その隙をついて横から31号の蹴りが飛んで来るがそれを左手一本で回し受け、反対に31号の腹に膝を入れた。くの字で宙に浮いた31号に追撃の剣撃が襲う、かろうじて鉤爪で受けとめられるが、そのかわりメシャリと爪3本を叩き潰す。一瞬の攻防だが魔王の名に恥じない戦闘力を見せつけた。


「……ウソダロ」


31号が使い物にならなくなった暗器をまじまじと見つめる、29号の幅広の中華包丁も半分まで切り込みが入っていた。


「凄〜い、全部受け切ったね、でもまだまだ隙が多いな、黒ちゃんと違って戦い慣れてないのね、化勁が出来てないわ」


夏子の怖い所は剣術だけでなく体術までこなすその格闘センスだ、剣術だけなら春子には及ばないが、実戦でどちらが怖いかと聞かれたら夏子の名を挙げる者も多い、信じられないかも知れないが、これでも本職は人の命を救う医者である。


「メスも刀も切れれば一緒よ」とは夏子の談である。




「「「コウサンスル」」」


再起動を果たした金髪30号がゴソゴソとスカートの中から白旗を取り出すと、座ったままヒラヒラと振る、残る2体もカランと武器を手放し両手をあげた。


「見極めが早いわね、まぁいいわ、そこそこ楽しめたし、また遊んであげる」

「それにしてもあんた達、アンドロイドなんだから人間と同じように闘ってどうすんのよ、もっとこう天井まで使って立体的に闘いなさい、もったいない」


夏子が上から目線で説教を始めるが久々?に楽しかったのか、その表情は非常に満足気であった、反対にケーティーシリーズの3体は何言ってんだこいつみたいな白けた三白眼で夏子を見つめていた。


戦闘が終わったのを見計らって、京香が夏子の横に並ぶとケーティー達に話しかける。


「さて、あなた達のリーダーは誰ですの、貴子さんにお話がありますわ、どうせ近くにいるんでしょ、案内してくださる」


「「「ダッタラ、最初カラそう言エーーーーッッ!!!」」」











カーン、カーン、カーン!


どす黒いオーラを放ちながらカンカンと丘の上ではりつけ用の十字架を組んでいる貴子のもとに、ケーティーシリーズの3体が戻ってくる。


「遅い! で、この状況はどういうことだ、なんで夏子お母様までいるんだ!」


ちなみに黒夢は監視カメラの映像をしっかりとハッキングして見ているので、いち早くこの状況を把握している、戻ってきた妹達を労うように頭を撫でた、ちょっと嬉しそう。


「貴子あんた何作ってるのよ?」


「そこのヤブ医者を磔にする十字架だよ、まさに聖書にあるゴルゴダの丘だね」ニヤリ


「はっはっはー、確かにこいつは性人さまだわ」


「なら崇めればいいのですわ、でもここって仏教国ですわよ」


悪びれもしない京香の態度に貴子の目が鋭くなる、だが夏子が京香を守るように前に出てた貴子を遮った。てっきり夏子は自分に協力しに来てると思っていた貴子は意味がわからずポキュリと首を傾げる。


「ちょ〜っと待ってくれるかな、今この女を磔獄門にするわけにはいかないのよね」


「なっ、夏子お母様、なんでそんな泥棒猫を庇うの! どいてお母様、その女殺せない!」


「まぁまぁ、私としてもボコりたいのはやまやまなんだけどね、こいつ妊娠してる可能性が高いのよ」


「なっ!!」


「ほほほほほ、これでも医者ですもの、周期計算と体温チェックはバッチリですわ、あのタイミングでしたら完璧に妊娠してますわ」


狙いすましたように事に及んだ、京香の作戦勝ちと言っていい、男にとってある意味一番怖い女である。


「本当、狡い女だよ、鉄君の赤ちゃん人質にしやがった、医者としてもデータを見せてもらったがかなり確率が高いんだよ」


「いやですわ人質なんて、愛の結晶ですわ」


「きぃーーーっ、この、この口が何をほざくか!」


お腹をさすっていた京香の口に指を突っ込んで左右にグリグリ引っ張る夏子。


「い、いひゃいですわ」




「ぐぬぬ、て、鉄郎君の赤ちゃん……、いや、でも、そんな……」


「事実ですわ、1月後に検査すれば確実にわかりますわ、私欲しいと思ったものは必ず手に入れますの」


「うにゃーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」


ドグワシャーーーーーン!!!!


次の瞬間、飛び上がった貴子が怒りの右ストレートを京香の顔面に叩き込む、ギャラクティカマ◯ナムばりの迫力だ、京香の脳裏に爆発する宇宙の星々が輝きながら飛んで行くのが見えた。流石に夏子もこれは止めようとはしなかった、わざとかもしれないがここまで煽った京香が悪い。

スローモーションのように倒れる京香だったが、地面に叩き付けられる前に素早く先回りした黒夢がキャッチする。


「がふっ、…な、殴ったわね。 お父様にもぶたれたことないのに」


男がポンポン死んでいく世の中で現代で、女性は結構丈夫だったりする、そう簡単には死なないものである。


「まだ、余裕あるな〜、顔ならもう一発くらい大丈夫だな」


ポキペキと拳を鳴らしながら近く貴子に、京香の顔が青ざめる。


「ちょ、お待ちに、暴力では何も解決しま…」


ゴキンッ!!


「ぎゃーーっ、奥歯、奥歯が折れましたわーーっ!!」




「なんか私、このやりとり前にどこかで聞いた覚えがあるんだけど」


夏子が少し呆れたように型をすくめた。






貴子のフルスイングのグーパンで鼻血まみれの京香を、ケーティー3姉妹がえっちらおっちらと担ぎながらバベルの塔に戻って来た。

医者である京香はふらふらしながらも自分で応急処置をするが、流石に痛みまでは直ぐには直らない、アイスパックを腫れた頬に当てながらブツブツと言い始めた。


「いつっっ、もう本当に野蛮ですわね、この顔ではしばらく外を歩けませんわ」


「それくらい自業自得でしょ、むしろ殺されないだけでも感謝しなさいな」


「夏子お母様の言う通りだぞ、私の鉄郎君に手を出してその程度で済ますんだ、ありがたく思え淫乱ヤブ医者」


「淫乱とは失礼ですわ、自分の欲望に忠実なだけですの、それに今の時代こんなビッグチャンスを逃すのは女の恥ですわ!」


「「うわー、マジ殺してぇー!!」」


まるでめげる様子のない京香に、貴子と夏子が揃ってワナワナと拳を握りしめる。

2人の殺気に流石に生命の危機を感じた京香が慌てて口を開く。


「そ、それに、鉄ちゃんは初めてだったんですから、大人が導いてあげる事も大切ですわ、そう言う意味でも私は良い仕事したと思いますわよ、後の人間は絶対私に感謝して崇めますわ」


「わ、わ、私だってそう言う知識ぐらいあるわい、て、鉄郎君をリードするくらい出来るもん」


「いや、貴子、それがちょっとね、京香の奴は本当に良い仕事したのよ、凄いよ、あんた男から攻められるエッチって想像出来る?」


「へっ? 男の人から攻め……それってどう言う意味?」


「言葉通りの意味よ、私だったら普通に自分から襲っちゃうもの、それをこいつは言葉巧みに鉄君の方から◯×◯×…………」


「…………な、なにその夢のシュチュエーション、エロ漫画か!!」


想像したのか夏子の言葉に顔をリンゴのように赤くして慌てだす貴子、京香は黒夢に目配せすると、編集を担当した黒夢がドヤ顔で部屋の大画面TVにバーーーンとタイトルが映し出す。


「昼下がりの人妻、年下の彼は◯×◯×(無修正版)出演:武田鉄郎/藤堂京香」




「そ、それは……」ゴキュリ


「貴子さ〜ん、貴女まだ未経験でしたわね、おわびと言っては何ですが、お勉強させてあげますわ」ニヤリ




バベルの塔に戻った面々が勉強と称して再度鑑賞会を開いた、本当こいつら最低である。












「うそ、あんな大きいの入らない……この身体じゃ無理、あんな事されたら壊れちゃう」


部屋の隅でガクブルと体育座りしている貴子、ぶつぶつと独り言を繰り返す、スケベなわりに経験のない貴子にはショックが大きかったようだ。


「「「この豆腐メンタルめ」」」


お読みいただきありがとうございます。感想絶賛受付中!!

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