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74.紅茶が飲みたい

会議室に通された僕達はそれぞれ席に案内される、正面には貴子ちゃんにラクシュミーさん、左右に並んだ席には右側にお母さん、黒夢、李姉ちゃん。左側には京香さんと藤堂会長が腰を降ろした。

で、なぜに僕はこのど真ん中の席なんですかね、皆んなに見られてめっちゃ落ち着かないんですけど。



「さて、鉄郎くん。まだ私と結婚するメリットを説明してなかったね、私としたことが動揺して少し焦っていたようだ、これを聞けばあのデカ乳教師との婚約など即刻解消したくなること請け合いだよ、惚れ直すよ」


正面の貴子ちゃんがニヤニヤと笑みを浮かべながら話始めた、一体何を企んでいる。


「貴子、あなた疲れてるのよ……、私の鉄君があんな乳がでかいだけの小娘になびくわけないじゃない」


お母さんが僕の婚約を認めたくないのか現実逃避し始めた、結構失礼だな君達、真澄先生は脚も綺麗なんだぞ。


「貴子ちゃんやお母さんがなんと言おうと、僕は真澄先生との婚約を取り消す気はないよ」


「むむっ、ちょっと待って、まだ話の途中だよ、話は最後まで聞いて」


「そうよ、鉄君。おっぱいは大きさじゃなく張りや形が大事なのよ、大き過ぎると垂れてくるんだから!!」


お母さんの言葉で李姉ちゃんがさりげなく腕を組んで自分の胸を下から持ち上げる、京香さんはうんうんと納得したように頷いている、藤堂会長はちょっと心配げに擦っていた、誰がおっぱいの話をしとるか!!


「夏子お母様は少〜し黙っててもらえるかな!! ほれ、ラクシュ貴様から説明しろ」


「あ〜、はいはい、私もそれなりに大きいですけど垂れてないですよ〜、美乳です〜」


スパーン!!


貴子ちゃんが後ろにいたラクシュミーさんをハリセンでぶっ叩いた、うぉ速い!! どこに持ってたんだ。


「ええいインド人、お前もう国に帰れ!! まったく、児島お前が説明しろ!!」


指名を受けた児島さんが手元の端末を操作すると、ブンッと音をたてて大きなホワイトボードに世界地図が映し出される、どうやら液晶パネルになっていたらしい。


「では、手の平ジャストフィットサイズ、最適な大きさと弾力の児島がご説明を始めさせていただきます」


児島さんが無駄情報を加えながら、僕達に向かってポニーテールを揺らして一礼すると、パネルの横に立つ、ようやくまともに話が出来るようだ。



「まず、この度、貴子様は国を起こすことになりました」



「「「「「「はぁ〜、国ぃ!?」」」」」


僕たちの驚きをよそに、児島さんは地図をコンコンと指す。


「領土としてはこのグリーンノアとスリランカとなる予定です、国土としては北海道の80%位の大きさでしょうか」


「ちょっと待って!! それは世界政府の管轄とは別の国を作るということ!!」


お母さんが立ち上がって驚きの声を上げる、政府組織に属しているお母さんが知らなかったのか?


「もちろん独立国家となります、現在の統一政府とは同盟という形を取らせていただきます」


「わーはっは!! 政府のお偉いさんとはすでに交渉済みだ、このインド人が結構役に立った」


「ラクシュ、あんた……」





夏子は頭の中で今回の話を推理する、バレンタインからのペンタゴン襲撃、反貴子勢力の武力排除、この前の黒夢によるサイバーテロに海軍へのレーザー攻撃、この短期間で貴子は世界に対して盛大にその力を示した。

しかも貴子には人工衛星落としと言う切り札がある、制御出来ない力は恐怖に繋がる、ならば独立させて同盟の形で共存をはかったか、弱体化したアメリカ、ヨーロッパの隙をついてラクシュのバックにいるインド政府が動いたと言った所ね。

日本にとっては厄介払い、インドにとっては技術の独占の狙いが見え見えじゃない。


くそぉ〜、尼崎の奴ヘタレやがったな、日本はテロに屈しないんじゃなかったのか、でもそんな事になったらナイン・エンタープライズが黙ってないだろ。


「ヒッ、所長、そんな怖い顔で睨まないでくださいよ。マジでおしっこちびりそうになるんですが」


ラクシュミーがささっと貴子の後ろに隠れる、貴子が小さいから全然隠れられてないけど。


「あっ、大丈夫ですよ所長、インドはもちろん、日本やナインとはちゃんとお話しはしてありますから〜、政府もナインの華琳さんも納得済みです〜、損はさせませんよ〜」


「チッ、この牝豚が」






なにやら話についていけないぞ、一般人の考えとしては貴子王国が出来るという事でいいのかな? ん、ああ、だからさっき女王って言ってたのか。けどなんでスリランカ? ラクシュさんがインド人だから近くが良かったのかな。

貴子ちゃんと目が合う、そして僕を見てニコニコと言い放った。


「そういう訳で、鉄郎君を国王として我が国に迎えるよ!! 夢の鉄郎王国の誕生だ!!」


「何、その鉄郎王国ってネーミング!! ムツゴロウさんじゃないんだから!!」


「オーーッ、パパが王様カ、オメデトウ」パチパチパチ


黒夢が無責任に拍手してくる、黒夢は元々僕の為に世界征服しようとしてた位だから、この反応は賛成と言う感じだな。それにしても僕が王様なんて冗談じゃないぞ、普通の高校生がやる職業じゃない。(王様って職業なのか)


「とりあえず、スリランカに鉄郎君と私の新居を建てよう、紅茶だって飲み放題だよ」


「僕緑茶の方が好きなんだけど」


「大丈夫、葉っぱは一緒だから緑茶だって作れるよ」


違う違う、言いたいのはそこじゃない、いかん、想像以上に動揺しているのか考えがまとまらない、え〜っと。


「そうそう、スリランカと言えばシーギリヤの遺跡がある所だよね、世界不思議探検で見たことあるんだ。いいよね〜、ジャングルの中に佇む高さ200Mの巨石、その石の上に1500年前に作られたカシャパ王の空中宮殿。ロマンだよねぇ〜」


なにやら鉄郎が一人で的外れに盛り上がっているが、女性陣はポカ〜ンとした表情を作る、だだ滑りだ、女の人はもう少し遺跡とかに興味を持っていいんじゃなかろうか。


「それじゃあ、その遺跡の上に2人の新居を建てようか?」


「古代のロマンが台無しだよ!! って違〜う!! 僕が言いたいのは、王様なんて柄じゃないし、日本には婆ちゃんやお母さん、真澄先生に李姉ちゃんがいる、学院にだってようやく友達が出来たんだ、今、日本を離れる気はないよ」


「ん、別に春子や夏子お母様だって一緒に移住すればいいじゃないか、チャイナも自宅警備員くらいにはなるだろう、それに学校位作ってあげるよ。

……た・だ・し、あのデカ乳教師だけは駄目だ、それだけは許せん!!」


「むむっ」


貴子ちゃんと僕の視線が激突する。随分な好条件を出してくるが、そんなものは好きになった人を諦めるのには値しない。そんなひどい男になってたまるか、いざとなれば僕一人でも日本に残って……。


「貴子、あんたそんな条件で鉄君が首を縦に振ると思ってるの、あまり私の息子を舐めるなよポンコツ科学者」


「にゃ、にゃにおう!!」


「お母さん!」


思わぬお母さんの援護射撃の言葉に勇気づけられる、やっぱりなんだかんだ言ってもこう言う時は頼れる母親なんだな。




「鉄君はいずれ、私を含めた巨大なハーレムを築く男よ、愛人の一人や二人許容するくらいの甲斐性持ちなさいよ」


「あれ……お母さん? 何言ってんの? 」


「鉄君、ここはお母さんに任せておきなさい。ここからは非常に高度で政治的な駆け引きが必要なの」


「し、しかし、夏子お母様。私としては鉄郎君の初めては譲れないわけで……」


「貴子あんた、今10歳児でしょ。後何年鉄君にお預けくらわすつもりよ、5年、6年? その時には鉄君は20歳を超えるのよ、若くて健康な鉄君がそんなに長い間我慢出来る訳無いでしょ」


「うぐぅ」


あの〜お母様、高度で政治的な駆け引きとは何でしょうか? 藤堂会長、顔を真っ赤にして僕をチラチラ見るのはやめて、ちょっと居たたまれない。


「わかって貰えたかしら。で、貴子、独立国家って事は法整備はこれからよね、親子でも結婚出来るようにしなさいよ、それだったら移住の件考えてあげるわ」


「あんた母親失格だーっ!!」


「えっ、それはもう、母ではなく一人の女として見てくれるって事?」


「そんなわけあるかーーーっ!!」


はぁ、はぁ、疲れた、どこが政治的な駆け引きだ、真面目に聞いて損した、くそ〜僕に味方は居ないのか。


その時、黙って話を聞いていた京香さんがスッと立ち上がった。




「ちょっと待ってくださる夏子さん! 今ままでの話ですと政府は貴子さんにばかり目がいっていて、鉄ちゃんの価値がわかっていませんわ」


「むっ、鉄郎君の価値なら十分わかってるぞ」


「それは貴子さんにとっての価値ですわ。鉄ちゃんは政府にとって、貴女の生贄にされるような存在ではありませんわ」


「い、生贄って……」




静まり返る室内、京香さんは部屋にいるメンバーを見渡すと、胸のポケットから1本のUSBを取り出した。お母さんは「あっ」と何かに気づいたような声を出した。



「私のお話し、聞いてもらってよろしいかしら」




お読みいただきありがとうございます。感想絶賛受付中!!お気軽に。

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