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42.百花繚乱

明後日の卒業式を控え準備もあるので学院は半日で終わった、3年のお姉様方は1日授業を強く要望しブーイングの嵐だったが、「おまえら元々もう授業ないやんけ」と住之江の一言で退けられる。卒業前に1時間でも多く鉄郎成分を摂取したかったらしい、それだけ子供版鉄郎の人気は凄まじいものだった。

送迎用のロータリーにずらりと並んだ上級生全員に見送られ、元気に手を振る鉄郎はこの10日間ですかっり子供に戻っていた、適応能力が高いのか流されやすいのかは判断に迷うところだ。


「じゃあ、お姉ちゃん達バイバイ〜ッ!」


「うう、今日であの鉄ちゃんの姿も見納めなのね」

「私、この宝石のような4日間を一生忘れない」

「大学行ったら絶対自慢するわ」


「うわ〜ん、鉄ちゃんお姉ちゃんを一人にしないでぇ〜〜!!」

「三国うるさい!!」


ロープでぐるぐる巻きにされている三国に鉄郎も苦笑いを浮かべる。流石に哀れと思った鉄郎が三国にテトテトと歩み寄ると、動けない三国にぎゅっと抱きついて別れを告げた。


「綾おねえちゃんも元気でね」


「ああああああ、でちゅぢゃ〜ぁん! いやぁ〜〜! いがないでぇ〜!!!」


ブラコン三国大号泣である。まぁ、そんな事を目の前でされたら他の生徒達が黙っていないわけで、嫉妬の炎に包まれたその場を納めるために、鉄郎は全員へのハグをさせられるはめになった。情けは人の為ならずと言うが彼女達が鉄郎に恩を返す日は来るのだろうか。







そんなこんなでやっとこ武田邸に戻った鉄郎だったが車中で気になっていたことを麗華に尋ねる。


「そう言えば李姉ちゃん、その腕の包帯どうしたの?」


「ん、ああこれ。躾のなってない犬に噛まれたのよ」


「えっ、李姉ちゃんを噛むとは命知らずなワンちゃんだね」


「どう言う意味よ」


「はは…」


「大丈夫、ちゃんとボコって躾といたから」


「はは…ですよね」


包帯を巻いた右手で頭をワシャワシャと荒く撫でられながら二人で玄関をくぐると、やけに数多くの靴が並んでいた。なんとも嫌な予感がする鉄郎だったが、その予感は見事に的中することになる。


「母として鉄くんのがおっきくなる所が見たくて来ちゃった」


「医者として患者を見届ける義務があって来ましたわ」


「科学者として最後まで責任をもって見守るためにきたよ」


「担任教師やからね、生徒の成長は見とかんとあかんやろ」


「政府として事実確認の為にやってきちゃった」


夏子(母)、藤堂京香(医者)、貴子(科学者)、住之江(教師)、ラクシュミー(政府代理)の5人が当然のように居間で座って鉄郎を出迎えた。

あと母よ、貴女の言葉にはなにか邪なものを感じるんだが気のせいか。皆がニコニコと建前を述べていたが絶対ただの興味本位だよね、まぁ、逆の立場だったら僕も見て見たいと思うか。あ、児島さん記録係ご苦労様です。


「でも、貴子ちゃんの話しだと元に戻るの夜だよ、まだ結構時間あるけど」


「ああ、大丈夫。ちゃ〜んとお酒は沢山用意してあるから」


だから母よ、なぜそこで酒が出てくる。その隣で43歳にはとても見えない無駄に可愛い顔の藤堂京香がクーラーボックスをズイッと前に押し出した。


「鉄ちゃんが好きだと聞いて、カニさんもいっぱいありますわ」


ピクッ「わ〜い! ありがとー京香おねーさん!」チョロい


ヒシッと抱きついてくる鉄郎に「か、可愛いですわ!!」と喜びに打ち震える京香、この辺の反応は娘のリカに良く似ている。夏子が引き剥がそうとするもイヤイヤと抱きついて離れない、鉄郎はもう子供のままでいいじゃなかろうか。そうして時間までと宴会が開始された。


京香の差し入れたカニと酒にそれぞれが舌鼓を打つ、鉄郎は結局京香に捕まり手ずから食べさせてもらっていた。他のメンバーには蟹と酒を与えとけば大人しくなるだろうと考えた京香の作戦勝ちである、まあそれなりの出費であったが時は金なりだ後悔はない。娘のリカがこの光景を見たら血の涙を流すか、血管ブチ切れるほど怒ったことだろう。




「さぁ、さぁ、宴もたけなわでございますが、そろそろ本日のメインイベントのお時間です〜、皆さんお風呂場に移動願います〜」


ビールジョッキを手にほんのりと頬を染めたラクシュミーがその場を仕切り出す、京香の膝の上に抱かれて蟹を食べていた鉄郎が何言ってんだこいつと、背にもたれながら睨みつける。時計の針は9時50分になろうとしていた。


「おっ、もうそんな時間か」


貴子の呟きでその場にいたメンバーが一斉に席を立つ、意味がわからない鉄郎はキョトンとした顔で部屋を見渡すが、誰一人として目を合わせようとしない。


「さぁ、鉄ちゃん私達もお風呂に行きますわよ」


京香が眼鏡を中指でクイッと押し上げながら声をかける。そのまま小さな鉄郎を後ろからヒョイと持ちあげて立ち上がった。


「へっ、なんでお風呂?」


「だって服を着たままじゃ、大きくなった時に困るでしょ」


「あっ、そうか。って、えぇ〜〜っ」






すっかり子供扱いの鉄郎は「10歳児は条例的にセーフ」と言う謎ルールでなかば強引に混浴を強制させられる。女性陣にとっては計画的なラッキースケベである。少しは恥じらいを持て。



いやね、確かに今の僕の姿だと傍目には違和感そんなに無いよ、でもね、中身はやっぱり15歳なんだよもうじき16歳になるんだよ。あまりの光景にショックで一気に精神だけは大人に戻されたよ、もう学校で真澄先生の顔がまともに見れんわ!



武田邸の銭湯なみに広い風呂場に美しい裸体が咲き乱れる、温泉を引いた掛け流し浴槽の為に湯気が浴室に充満してはっきりと見えないのが、鉄郎にとって救いだった。小さいおっぱいから大きなおっぱいと全てのサイズがその場に集合している、見た目だけは可憐な幼女である貴子のちっぱい、JKの肉体を持つ少し小振りの児島、麗華や住之江の大迫力のおっぱい、サイズこそ普通だが張りのある美乳でバランスのとれた夏子と京香、意外に脱いだらエロかったのはブロンドの髪に褐色の肌を持つラクシュミーだった、着やせするタイプなのかどこに隠してたんだと言いたい大きな胸にくびれた細い腰、オリエンタルな雰囲気も合わさって中々にエロい。


「カレー臭いんだよインド人。おまえもう、母国に帰れ!!」


嫉妬の目でラクシュミーの胸を見ていた貴子が吠える。


「なっ! そんなことないです〜。偏見です、謝罪を要求します」


「いや〜、小ちゃい鉄君とはいえ一緒にお風呂なんてめっちゃドキドキするわ〜、気分は犯罪者やね」


「真澄って本当に乳でかいな、何食ったらそんなになるんだ?」


「いや麗華に言われたないわ、いや、揉むなっちゅうねん」


「うるさいわねあんた達、鉄君に集中できないじゃないの」


「本当ですわ、折角の混浴に無粋ですわよ」


キャッキャと騒がしい浴室だが、鉄郎としては身内意外の裸の乱舞にどこを見ていいか分からず非常に困った、考えてみるとこの状況で大人に戻れと言うのだから羞恥プレイもいいとこである。天国のような地獄のような状態で、暖かい風呂で冷や汗が出始めた鉄郎に春子から声がかかる。



「ほら鉄、こっちおいで頭洗ってやろう」


元々婆ちゃん子だった鉄郎はキョドりながらも素直にシャワー前の椅子に座った、当然春子も真っ裸である、70歳を超えてなお張りを保つ美乳に引き締まった腹筋がなんとも違和感出しまくりだ。春子がシャカシャカと優しく頭を洗い始める。


「ふふ、鉄には悪いが今回小さくなってくれて婆ちゃん嬉しかったよ。こうして鉄を可愛がる機会が貰えたからね、子供の頃は厳しく育てちまったから辛かったろう」


「婆ちゃん……そんなことないよ、勉強だってお料理だってみ〜んな婆ちゃんが教えてくれたじゃん、それを辛いとか思った事なんて一度もないよ、そりゃーちょっとは厳しいなぁとは感じたこともあったけど」


「ありがとうよ、そう言ってもらえると婆ちゃん助かるよ」





ザバァーと春子に頭に付いた泡を流してもらった時だった、鉄郎の身体が一瞬発光したように見えた。速まる鼓動、体中の細胞が爆発するような感覚、急激に体積を増して行く肉体、まるで早回しの映像を見ているようだった。


「わ、わ、わぁ!!」


小さくなった時には立ち会っていない春子やラクシュミーが目を見開いて驚く、流石にこれは常識外れな現象だった。ムクムクと1分と掛からずに元の15歳の肉体を取り戻した、当然真っ裸で。


「おー、本当に戻った!!」


目の前の鏡に映る、自分の姿に安堵の表情を見せるも、その鏡に映る背後にハッとして立ち上がりながら振り返った。総勢8人の美女が自分を見ていた、ねっとり絡みつくような視線を送る彼女達。しかしこちらも元の肉体に戻った状態で彼女達の姿を見てしまう、途端にカァーと顔が熱くなる。


「ぼ、ぼ、ぼ、僕もう上がるね!! おやすみなさい!!!」


慌ててコケそうになりながら風呂場を出て行く鉄郎、残された女性陣と言えば。


「…………」

「貴子さま、涎が」

「あかん、鼻血出そうや」

「ふぁ〜、超エロいもの見せて貰いました〜捗りますぅ〜」

「あれはあれで有りですわ」

「うん、うん、鉄君。息子が大っきくなっててお母さん嬉しい」

「夏子さん、その発言はちょっとどうかと…」


「あんた達、あの現象見てそんな事しか言えないのかい」




なにわともわれ、こうして鉄郎は10日ぶりに元の姿に無事戻ることが出来たのだった。ちなみに後遺症としては5cm背が伸びていた。










日付も変わり深夜を迎え研究所に戻ってきた貴子、その最奧の施設。様々な工作機械とモニターに囲まれている部屋の中央に十字架に貼り付けにされた少女がいる。それを貴子が両手の指先全部にとんがりコーンをはめてポリポリと齧りながら眺めていた。子供か。


「うわっ、背中ベコベコじゃん。ロケットランチャーだって跳ね返すんだぞこの装甲、本当に人間かよあのチャイナ」


『カカカ、ママノカガクモタイシタコトネエナ』


「うるさいポンコツ。調整中に勝手に動き回りやがって、無駄に行動力あるなコイツ」


「親に似たんじゃないですか」


「なんか言ったか、児島」


後ろで呟いた児島に、とんがりコーンを指にはめたまま振り向くが、黙々とパソコンの操作をする児島に無視される。拗ねた貴子がボリボリと指先のコーンを齧ると、白衣でその手を拭った。顎に手を添え怪しい笑みで貼り付けにされた少女を見上げる貴子、その顔はいつものおちゃらけた表情は鳴りを潜め、どこか妖艶な雰囲気が漂っていた。



「さて、私の作品が田舎拳法家に遅れをとるわけにはいかんよな。ふふ、おっぱいミサイルとロケットパンチどっちを搭載すべきか……悩むな」


『ソンナダサイノ、イヤァァァァァァァァ!!!』

お読みいただきありがとうございます。感想絶賛受付中!!是非

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[一言] なんだろ。 ネギまのチャチャゼロが頭をよぎった。
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