6.執行
隼人の前には大きな谷が広がっていた。
かなり深いのだろう、底が見えない…あるのは暗闇だけだった。
左を見ると…
「ッ!?」
隼人は目を疑った。
そこには、見るも無残なティアの姿があった。
服はところどころ破れ、体中にあざが出来ており右手の中指と左手の小指は不自然な方向に曲がっている。
意識はあるのだろうが、かろうじて立っている状態なのだろう時折フラフラしている。
隼人の怒りは頂点に達していた。
周りに兵士がいなければ、その怒りは爆発していただろう。
しかし兵士がいれば話は別だ、自分が暴れればティアに危害が加えられる。
そう思った隼人は一呼吸してこれからのプランを練り始めた。
(谷か、それもかなり深い…しかしこれなら当初のプランより楽にいけるか?)
そんなことを考えていると、後ろから聞き覚えのある声が聞こえてくる。
「久しぶりだな少年、どうだ今から処刑される気分は?」
そんなべルイの嫌味に隼人は無言で睨み返した。
「ティアに何をした?」
殺気を立てながら隼人が問う。
「な~に、暇だったから兵士の遊び道具になってもらっただけだ」
隼人はこみあげる感情を抑えつけることでので精一杯だった。
「お、そろそろ時間だな最後に何か言いたいことはあるかね?」
満面の笑みでべルイが聞く。
もはやしゃべる気力もないのだろう、ティアは何も答えなかった。
隼人も何も答えない。
二人の無反応にべルイは落胆したような様子だった。
「ふん、まぁいい。どう貴公らはここで死ぬのだからな」
「それでは、これより刑を執行する……」
ベルイが淡々と処罰の理由を述べている。
そして、いよいよ刑執行の時がきた。
隼人とティアが深い谷の側まで連れていかれる。
そして、べルイの合図によって…隼人とティアは深い谷に投げ出されたのだった。
活動報告の通りです。詳しくは活動報告をご覧ください。
ここまで読んでいただきありがとうございます。次回もお楽しみに。