2.異世界
暗い…とりあえず進まなくちゃ…どこに?そもそも前はどっちだ?
今俺はどっちを向いている?お…れ?それは…誰…だ?わからない…
何も…何もない…怖い…底知れぬ恐怖がこみあげてくる…
怖い怖い怖い怖い怖い…………怖い!!!!!!
あれ…何だか…意し…きが…遠…の……い…て………
「ん…何だ…この感覚…まるで落下していくような…落…下?落下!?」
目を開くと彼…隼人は言葉の通り落下していた。
「ちょ、まっ、うわあああああああああああああああああああああああ…」
地面に向けて落下しながら隼人はただ目をつむるしか出来なかった。
目をつむると、今までの記憶が鮮明に蘇ってきた。
それは小学校の時自分を気にかけてくれた人から始まり最後に高嶺の花と呼ばれている彼女が浮かんだ。
俺なんかのために、勇気をだして…さぞ怖かっただろうに…それでも彼女は自分の気持ちを伝えるために努力した可憐な少女…。
「結衣…」
そうしている間にとっくに地面についてもおかしくないはずなのに一向に地面に激突しない…いやもう激突した後なのか?目を開くと地面が数cmのところまで接近している。と思った瞬間落下したのであった。
「いったたた…どうなってんだ?これ?」
辺りを見渡すと一面緑だった。
生い茂る木々、遠くで聞こえる聞いたこともないような声で鳴く動物?だろうか…
「おいおい…どこだよ…ここ…」
-異世界-
頭の回転が速い隼人は即時にそう判断した。
しかし、それは隼人が勝手にそう判断しただけであり確たる証拠は何処にもない。
そうとなれば証拠を探すのが自分の今最優先すべき事柄だと認識した
「仮にここが異世界だとしたら、どうやって俺はここに来た?思い出せ…何があった」
「一番新しい記憶は…結衣に告白されたとこか…?そのあとは…スーパーによって晩御飯の材料……あれ…それ以上思い出せない…?」
「ということは、そのあとに俺を元の世界からこの世界に飛ばされたと考えていいのか?」
≪バキッ≫
「!?」
(近くで、小枝を踏む音がした?何かいる…一応それなりに体は鍛えていたつもりだ、だがそれは元の世界での話この世界の住人がどんなものかも分からない以上、油断をしてはいいけない…)
≪ガサガサ≫
生い茂った草むらをかき分けてきたのは…
「ふぅ~やっと出れたにゃ~……あれ?こんなところに人類【possibilits】かにゃ~?迷子かにゃ?」
なんと猫耳少女でした…
★★★★★★★
「なるほどにゃー、つまり君はこの世界の者じゃないにゃ?納得にゃ!」
「納得するのかよ…」
自分が異世界の者だといっても疑いもせず、信じる少女に少年…隼人は呆気にとられていた。
「いやいや、だってじゃないとその服装の説明がつかないにゃー何より¨別に異世界から転送されることなんて王城に行けば当たり前にゃ¨」
「えっ?今なんつった…?」
隼人は自分の耳を疑った自分以外にも異世界から来た人たちがいるという事実に…
「にゃ~聞こえなかったのかにゃ?¨この世界に異世界から転送されること¨なんて別に不思議じゃないにゃ~」
いや、聞き間違えではない。確かに¨異世界から転送されること¨と言っている…
≪カーン…カーン≫
「にゃ!?もうそんな時間なのかにゃ?やばいにゃ!お城に戻らないといけないにゃ!とりあえず君もついてくるにゃ、¨生身¨の状態で出歩くの命を捨てるようなものにゃ!!」
「え?あっ、おい。どういうことだよ?」
詳しく事情を聞こうにも、相手は仮にも猫である。
こちらも全力で走らなければ追いつけないと判断した隼人は、とりあえず猫耳少女の後を追いかけるのであった…。
前回は少し長いなと感じたので、今回は短くしてみました。…ちょっと短すぎたかな?でもきりのいいとこで区切りたかったので。
あと、書き方を少し変えてみました!読みやすくなっていればいいのですが…
話の方はやっと異世界に行きましたね!隼人の方も気になりますが、残された結衣の方も気になるところです。
前回に引き続きここまで読んでくださり、本当にありがとうございます。