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1.ほんのちょっとの幸せ

ほんの思いつきで書き始めた話です。

初めてのことなので読みずらい部分もあるでしょうが、読んでいただければ幸いです。

アドバイス等あればお願いします。

この世界は、いつも不公平で不平等で不条理だ。


生まれたその時から…いや、生まれる前からすべてが決まっているに等しい。


ある者は、生まれた時から人生の成功を約束され、またある者は生まれながらに大きなハンディキャップを背負い生きていかなければならない


それでも……人はその運命に抗いながら、理想を追い求めていくのだろう…







「は~やっと試験終わったな…ふぅ」


試験の終わりを告げるチャイムが鳴り響く中、試験のプレッシャーから解放された少年はそうつぶやいた。


彼の名は影宮隼人(かげみやはやと)。学年トップの成績を誇る…いわば優等生である。


さらに付け加えるとかなりイケメンである。


そのイケメン度は彼の成績と同じくトップクラスであり、この学校ではもちろん知らない者はおらず近辺の学校でも知らないものはいないくらいだ。


試験終わりで、緊張の糸がほどけたであろう生徒たちはこの後の予定を友達と話し合っている。


そんな中、彼に一人の女子生徒が近づいてくる。


その女子生徒の風貌を例えるとするならば高嶺の花だろう、いや例えではなく実際にそう呼ばれているのだが…慎重は165センチほどで髪は薄ピンク色で腰のあたりまである。


特徴と言えばまつ毛が長いことだろうか、彼女の名前は一条結衣(いちじょうゆい)、隼人に次ぐ成績の持ち主だ。


彼女が高嶺の花と呼ばれる所以は成績がいいだけではない、その風貌もまた一つの理由である。


「あ…の……影…宮…く…ん…」


必死に声を出して紡いだであろう少女の言葉は惜しくも試験終わりの生徒たちの会話によってさえぎられる…しかし隼人は彼女が言いたいことを理解したのであった。


「帰ろうか」


そう告げると彼女も小さく頷き、教室を後にするのだった。



学園から少し離れたところにあるカフェ。


試験終わりにそこでたわいもない話をするのが二人の試験終わりの習慣だった。




「えっと…いつ…も…あり…が…とう…ね」


二人の会話は必ずこの言葉から始まる。


恥ずかしがりの彼女は男性はおろか同性ですら親しくないと話さない。


そんな彼女が唯一異性で話すことができるのはこの隼人ただ一人である。


そんな事情を知ってか、隼人も必ず言う言葉があった。


「いや、気にすることねーよ。別に迷惑ってわけでもないし…それに一条さんみたいなかわいい子と話すのは楽しいし」


多分彼は気づいてないのだろうが、いや気づいてたらこんなセリフは言えないだろう。


なぜならこの言葉を聞くたびに彼女の顔がほのかに赤く染まっているのだから…


「そ…の…テス…ト…は…どう…だっ…たの?」


隼人の成績を知っていれば、もちろんこの質問は聞かなくてもわかるはずだ


もちろん彼女がそれを知らないはずがない。


しかし異性との会話に慣れていない彼女には何を話せばいいのかわからず、結局いつもこの質問をするのだった。


その意図を読み取ってか隼人は毎回この質問をされても毎回快く


「満点!」と答えている。


しかし今日の返答は違った。


「それがさぁ…数学で凡ミスしちゃってさー…今回は一条さんに負けたかも!」


自分がミスしたことを気にもせず、むしろ楽しそうに語る隼人を見て、彼女は不思議に思いそして言葉に詰まった。


いや言葉に詰まったのは驚いたのもあるのだろう。


どれだけ頑張っても超えることができなかった隼人に追いついたかもしれない、それを聞いただけで彼女の思考は停止し、ただぼーっと隼人を見ることしかできなかった。


その視線に気づいたのか


「ん?俺の顔に何かついてる?」


隼人の言葉で我に返った彼女があわてた様子で


「えっ…い…や…つい…て…ない…よ?ただ……かげ…みや…くん…でも…ミス、するんだ…な…って」


「いや、俺だってミスはするよ?なんせ人間なんだから」


半分おどけた表情で答える隼人。


人間…その言葉を聴いて、彼女はなんだか安心した。


今彼女の目の前にいるのは学園トップの成績を誇る生徒だ、それただトップなだけではない、入学して今までの試験すべて満点なのである。


そんな完璧に等しい彼の口から人間という不完全な言葉が出たのだ…不思議と彼女は微笑んだ。


「ん?なに笑ってるの?」


彼女の表情に気づいた隼人が尋ねる…が、彼女自身も微笑んでいることに気づいてないのか指摘されて初めて気付いたらしくあわてて目線をそらしながら、


「なん…で…も、ない…」


彼女にとってそう答えるのが精一杯であった。


それを知る由もない隼人は一言


「?…変なの」


そう答える。


恥ずかしさから、他の話題に変えたい彼女は前から気になっていた…しかし聞くことができなかった疑問を聞いてみることにした。


「かげ…みや…く…ん…って、ちい…さ…い…ころ…から…あた…ま…よかっ…た…の?」


その質問をしたとき、かすかに彼…隼人の雰囲気が変わったのを彼女は感じ取った。


暫くの沈黙が続き、彼女は聞いてはいけなかった、怒らせてしまったと思い


「あ…の、ごめ…」


その言葉を遮るように隼人が言葉をかぶせる。


「いや、謝らなくていいよ」


「で…も…」


必死に謝ろうとする彼女をみて、申し訳なくおもったのであろう、隼人は優しい口調で言った。


「俺は怒ってないよ?だからそんな悲しい顔をしないで?」


さっきまでとは違う、いつもの隼人にそう言われ、彼女は謝るのをやめた。


そしてまた暫く、沈黙が続く。


「さっきの…俺が昔から頭良いの?って質問だけどさ…」


沈黙を破ったのは隼人のその一言だった。


「昔から…頭良かったわけじゃないよ、むしろわるかったぐらい」

そう少しはにかみながら語る隼人を見て、彼女は胸があたたかくなるのを感じた。


「それで、結構肩身の狭いおもいしてさぁ…まぁ俗に言ういじめだわな」


「え…」


今は成績優秀で性格もよく、クラスのみんなからも慕われている彼からは想像できない過去を聞いて彼女はただその一言を発するのが限界だった。


「でもさ、そんな中でも一人だけ俺をかばってくれるやつがいたわけ、いや実際に止めたわけじゃないよ?陰で励ましてくれたって言えばいいのかな…そいつさー成績優秀で家も世界的に有名なとこでさ…そのころから家を継ぐらしくて、そのくせいじめを許さない正義感の人一倍強いやつだったわけよ」


気のせいだろうか、隼人がその子ののこと羨むように彼女には感じた。


「それで俺はそのころから思ったわけよ、あぁ…この世界は決して平等じゃない、不公平だし不条理だ。生まれてくる前から勝ち組は決まっていて、俺らはそのレールに従うだけってさ…」


「そん…な…こと…な…い」


確かに彼女自身も平等じゃない、不公平だと思ったことは幾度となくある、しかし今自分が歩んでいることがただレールに従っている…とは思えず、そう言った。


それを聞いた隼人の雰囲気がまた変わり、目に輝きが増すのをを感じた。


「ああ、確かに生まれ持った才能、家柄は変えられない。でも人はその運命に抗うことができる。努力という方法でな!んで、それからもう勉強したわけよ。それでこうなった感じ、笑っちゃうでしょ?当時小学生だったんだぜ?」


笑うだろうと予想した隼人とはうらはらに彼女は首を振り、微笑みながら…


「やっ…ぱり……凄い……ね…影…宮…くん…は」


「えっ?やっぱり?それに凄い?どこが?」


予想と違う反応に驚く隼人、しかし普段と変わらない調子で小さくつぶやいた


「やっぱり、一条さんには敵わないわ」





日もすっかり落ち、帰るころが近づいてきた、と隼人は思っていたのだが今日は彼女の様子が違うことに気づく。


「ん?どうしたの?そんなに顔真っ赤で?熱でもあるんじゃないの?」


そういって額に手を振れようとした瞬間


「…ッ!?」


とっさに彼女が後ろに下がる、が直ぐに元の位置に戻り。


「大…丈…夫…だか…ら」


その言葉を聞いて安心したのか、隼人は


「そっか、じゃまたね。もう暗いから気を付けてね」


と言って帰ろうとする。が、


「まっ…て…」


袖口を掴まれ立ち止まる。


暫くの沈黙が続いた、一体どれくらいの時が経ったのだろう…3分だろうか?


いや10分かもしれない、少なくとも彼女にはそう感じられた


思っていることが、喉まで来ているのに…口に出せない。


そんな激しい葛藤の中、隼人が最後の一押しの言葉を発した




「焦らなくていいよ、一条さんが伝えられるまでいるから」




その言葉を聞いて決心がついたのか、彼女は口を開いた…




「私…と…そ…の…付き…あって…くだ…さ…い」


その言葉の返事を待っているのだろう、彼女は固く目をつむり小刻みに震えながら隼人の返事を待っていた。



「ありがとう。すっげーうれしい、これからよろしくな………結衣」



ーその日の帰り道ー


「まさか、一条さんが俺のこと好きだったとはなー…何時からなんだろ?ま、おいおい聞いていけばいいか」


そしてふと立ち止まり…思い出す。

自分がまだ小学生の頃に自分を庇ってくれた人を、明確には覚えてない。しかし何となくだが、隼人には結衣とその子が重なってみえた…


「いや、まさかな。それはないだろう何しろここは小学校からある地元から遠く離れた場所だ…あるわけないか」


そう言って隼人は帰り道を急いだ。


そのとき一筋の光が隼人を包み込む、わずか一瞬の出来事だった光が消える頃そこに彼の姿はなかった。


同時刻一条家にて



(どう…しよ…う……あの隼人君…と今日から…彼氏、彼女の…関係…なんだ)

濡れた髪を拭きながら、彼女は小さい頃の封印していた記憶を呼び起こす…


成績優秀、スポーツもそれなりにでき将来は家を継ぐことが決まっていた彼女、それはまさしく人生の勝ち組だ。


周りには常に人がいていつも笑顔だった。


そんな彼女でも、一人だけまだ話したことのないクラスメイトがいた、彼の名は影宮隼人。


簡単に言えば彼女とは正反対の人間だった。


成績は悪く、いつも居残りをさせられスポーツも得意でなく家もかなり貧乏らしい。


そんな彼は学校で格好の標的となりクラスメイトからひどい仕打ちを受けていた。


もちろん正義感の強い彼女がそんな状態を放置しているはずがない、幾度となくやめるように呼びかけたこともあった。


しかし楽しいことが大好きな小学生、もちろん一向に収まることはなく日に日にエスカレートしていくだけだった。


だから彼女は別の方法で彼を助けたいと考えた。


客観的にみれば優越感に浸りたいだけ、そんなのはおこがましいと思うだろう。


しかし彼女はまだ幼かった、故に不平等、不公平なのが理解できず何とかして彼を助けたいと思った。


最初は、単に宿題の答えを下駄箱に入れてあげるのが精一杯だった、しかし慣れてくるうちにその日の授業をよりわかりやすくしたノートを入れるよう

になった。


それが正しかったかどうか、未だに彼女には分からない。


ふと、机の上の写真が飾ってあるスペースに目を向ける。


そこには彼女の小学校から現在までのクラス写真が丁寧に飾られていた。


しかし中学生の頃であろう写真は見当たらない…。


ふと、彼女は二枚の写真が変化していくのに気付いた、一人の少年の姿が少しずつ消えていくのを…


「えっ…はや…と…く…ん…?」


見たこともない現象に彼女はただ、呟くと同時に底知れない不安に駆られた…


小説を書くのって難しいですね。ちょっとずつ慣れていければと思ってます。

ここまで読んでくださりありがとうございました。

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