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第13話 階層主ミノタウロス

階層主の部屋は光源が無かった。

明かり無しでは戦いに支障をきたすレベルだけど、インジビリティの能力が発動しているので特に不自由は感じない。


戦闘で邪魔になるカバンとのぼりをはずして部屋の端に置く。

部屋の中心部へと歩いていくとの部屋の四隅にある松明に火が燈りだした。


…演出とかあるんだ。


火がすべて燈ると部屋の真ん中に巨大な魔物が姿を現した。

聞いていた通り、かなり巨大な魔物が現れた。

その魔物ミノタウロスはこちらを見つけると一声吠えてゆっくりとこちらへ向かってくる。


私はミノタウロスとは逆で一気に駆けて足元を狙う。

近づいた所を持っていた巨大なハンマーで振り下ろすが、それを難なく回避して左足を爪で切り裂いた。


ミノタウロスは顔を歪ませた。

かなり効いている様だ。


怒り出したミノタウロスはさっきとは逆で、一気に走ってきてハンマーで薙ぎ払ってきた。

餅つき攻撃がくるとばかり思っていたので、おもいっきり油断してしまった。

モロにハンマーを叩きつけられ吹っ飛んだ。


ぐっ!痛い。


しかしリザレクションは2回しか使えないしまだ我慢するしかない。


『竜玉に込めないリザレクションは20回ほど使えます』


マジデスカ!

早速リザレクションを使用すべく念じる。

一瞬で痛みがなくなった。

これはすごい!

リザレクションがあればかなり楽になる。


一気に駆け寄り、ミノタウロスの攻撃を避けながらさっきと同じ左足を爪で切り裂く。

その攻撃を受けたミノタウロスはハンマーを落とし、片膝をついた。

その隙を見逃しはせず、大きく息を吸い込みホーリーブレスを浴びせる。

今までの魔物は浴びせた後すぐ魔石に変わったのでその光景を見ることが出来なかったけど、白く淡い炎がミノタウロスの体を燃やし続けている。

もう一度大きく息を吸い込んで炎を吐いた。

ミノタウロスは2度の炎に耐えはしたが、もはや虫の息のようでほとんど動かなかった。


駆け寄り、爪で背中を切り裂いた。

その攻撃が決まると同時に黒い靄を含んだ爆発のエフェクトが起き、そのまま魔石に変化した。

ドサっと重い音をたてて魔石が地面に落ちた。


…思ってたより苦しい戦いでは無かった。


むしろ結構あっさりと倒した感じだ。

さすがに疲れたけど。

とりあえず倒せてよかった。


……しかしどうやって運ぼうか?


ミノタウロスの魔石はかなり大きい。

私の体ほどの大きさがある。

倒して感慨に浸っていた私を現実に戻してくれた。

雪だるまを作る時のように転がしていくしかないかな。

先にカバンとのぼりを取りに戻る。


そして扉まで転がしていくと、別のものが落ちているのに気づいた。

指輪のようだ。

手にとって見るが普通の指輪のように見える。

『ミノタウロスの指輪です。装備者の耐久を上昇させます』

へぇー。

でも私は装備できないよね?


『人用です』


がっかりだよ!

しかたない、誰かにプレゼントしよう。

プレゼントで思い出した。

ブレスの竜玉(ブレス玉)を3つ作製した。

指輪とブレス玉3つをカバンに入れ、出口まで魔石を転がす。

やっとドアの前までやってきたが…押して開くかな?

ドアに手を掛け、押してみると簡単に開いた。


部屋の向こうには結構な人がいた。

その結構な人の視線が私に向けてくる。

そして皆私を見て驚愕している。

まあそうだろうね。

中には剣を構える人もいたが、のぼりを確認してシノレさんの…という言葉と共に剣を納める。

シノレ、あんたって一体…。

魔石を転がして部屋に入るとドアが勝手に閉まった。


部屋の真ん中まで転がすと先ほどのドアがまた開いた。

そして3人が走ってやってきた。

「大丈夫だった?」

うん、さすがに少しだけ焦ったけどね。

「ナァズが入って10分ほどでドアが開くからビックリしたよ」

「そんなに短かったの?もっと長く感じたんだけど」

でも思い出してみるとそんなに時間は掛かってない気もする。

周りは10分で倒したって事に、とても驚いているようだ。


「今日はさすがに疲れし、これくらいにしておこうかな」

「そうだね。でも普通は迷宮初挑戦で、階層主を倒すなんて事はしないんだけどね」

そのまま魔石を転がしていたら、ビットが片手でその魔石を掴み上げた。

「俺が運んでやるよ」

ありがとうとお礼を言って、転移ゲートの上に立つ。

「えっと、転移先を口頭すればいいんだっけ?」

セイナはそうだよとうなずく。


「1階層へ転移」


ほんの一瞬で景色が変わった。

さすがに驚いた。

初めての体験だったけどとても新鮮たった。


3人もすぐにやってきた。

ここまで来たら最後まで、と結局最後まで一緒に行動してくれた。

とても嬉しけど罪悪感も少し感じる。

彼らにだって目的はあるんだろうし。

でも一人で潜っていたら、多分途中でめげて戻っていただろう。

そもそも階層主を倒そうなんて考えもしなかった。

いろいろお世話になったし、例のあれを予定通りプレゼントした。

階層主の部屋で作成していたブレス玉を3人に渡した。


「え?くれるの?」

「うん、昨日と今日付き合ってくれたお礼です」


「本当にいいのか?」

「とても貴重なものでしょ?」

「ぶっちゃけると簡単につくれます」


「しかし俺たちはそんなつもりでお前と行動を一緒した訳ではないぞ」

「そうね。本音を言うと面白そうだったからだけよ」

こっちもぶちゃけられたけど、それでも助かったのでまったく問題なかった。


「そのかわりいろいろナイショにしておいてね」

「ありがとう。とてもうれしいわ」


そのまま歓談していると検問所までたどり着いた。

「朝はここ飛び越えちゃったんだけど平気かな?」

「平気なんじゃないの?」

セイナの言う通りまったく問題なく検問を通り過ぎた。


ギルドにつくと昨日と同様で結構な人がいた。

1階の換金所でビットが持っていた大きな魔石とカバンの中にいっぱいあった魔石をすべて提出した。

1金貨8銀貨85銅貨と交換できた。

銅貨は1銅貨5銅貨10銅貨50銅貨と4種類が発行されている

この世界の貨幣は何種類もあり相場変動もあるとシノレに後で聞いた。

ギルドの報酬金はその国の通貨で支払われる。

魔石と交換されたお金をすべて受け取ったけど…銀行とかないのかな?

まあこのカバンの中に入れておけば問題ないか。

しかしジャラジャラと結構うるさい。

帰ったら小さな袋に入れてもらおう。

換金場所は人が多かったので、一旦外に出てから3人とお別れをした。


「今日は本当にありがとう」

「俺たちも楽しかったぜ」

「また一緒に冒険しましょうね」

「じゃあたっしゃでな」


3人と挨拶を済ませて、そのままシノレの部屋に戻る。

今日のノルマはこんなもんで十分だよね。

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