昨日の空
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人はみんな魔法使いだ
そう誰かが言ったのを僕は鼻で笑って切り捨てた
馬鹿らしい、科学的根拠はあるのか?
常識人を気取る僕はいつも陰鬱で退屈だった
なにか楽しいことには飢えてるくせに、周りが気になってなにも行動してなかった
後悔先に立たず。
そんな言葉を当てはめて自嘲的になる自分に酔っていた
――気取ってんじゃねぇよ
テレビで聞いたような言葉が頭の中を廻って、僕の中をコダマする
――好きなことしたらいいんじゃないの?
優しい声すら綺麗事に聞こえて僕は両手で耳をふさいだ
寂しくなって手を離して振り向いても、そこにはなにもなかった
だるまさんが転んだ?
僕が前に転んだのいつだったか
なにもかも常識的に生きているのは楽だった
状況が良くなれば周りの奴は褒めて、悪くなってもいつもの行いからか次を期待されて終わりだった
いつしか他人を全て下に見るような癖がついていて、僕より出来る奴とは距離を置き、自分に常に自信と過信を持たせていた
救いようがないのは自分なのかそいつらなのか
僕はまた常識に判断を委ねた
自分の中の楽観主義者が笑う
「お前はお前でいいんだよ、楽しくやろうぜ」
胸が苦しくなって深呼吸をしても、息苦しさは消えなかった
耐え難かった
――なにが?
どうしようもなかった
――本当に?
僕は僕、お前はお前だ
そうして僕は自分を殺す魔法でそっと息を止めた
目を瞑って、両手を耳に縛られた僕はどこに行くのだろう
次、その次、また今度
目の前に築いた砂山も汚く見えて僕は唾を吐き出した
遠くでできた新芽から目を逸らして、見つめた先にはなにがある?
昨日の空は何色だった?
昨日、その前、ずっと前。
僕は記憶の中を歩いて旅を始める
いつまでもどこまでもと終わりのない結末を求めて
若干後味が悪いかもしれないですごめんなさい
いつも通りの作風に戻ったのか戻ってないのか自分でもあんまりわかってないです
今回のこれは半分くらい感情でやっちゃったので統制がないかもしれませんが、まあ、見てやってください。
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