祭り当日の朝
さあ、さあ!
祭りの日の朝だ。
何と晴れ渡った空。
最高の祭り日和。
そんな浮かれた気分で、エイメの家を訪れた。
★・。・★・。・★
「おはよう! ございま……す?」
元気一杯、挨拶をしたのだが。
当然、同じようにサワヤカな笑顔と共に、挨拶で迎えられると思ったのだが。
「ああ」
「お、はよう」
すっごく、投げやりとも言える口調の地主様と、泣き出しそうな口調のエイメに、流石に怯む。
★・。・★・。・★
しかも。
エイメが。
エイメの様子が、そのぅ。
(ど、どうしちゃったんだよぅ、エイメ!)
思わず胸の辺りを押さえてしまった。
少しはれぼったい目元を伏せながら、遠慮がちにこちらをみてきた。
その瞳が潤んでいて、切なげで。
加えて、赤く色づいている唇が、何か言いたそうな様子は悩ましげで。
それでいて、押し黙る風情が醸し出す雰囲気が、儚げで。
(え? え? えええええええ!?)
か、かわいいっていうか!
綺麗っていうか!
どっちもっていうか!
――色っぽいっていうのが、一番しっくりくるよ!?
ど う い う こ と ?
地主様も一緒のご感想のようだ。
エイメは気が付いちゃいないようだが、地主様は君の様子を窺っているよ!
こっそりとね。
それくらい、エイメを直視するのは憚られた。
女の私でさえ、何やら心臓がうるさく騒ぎ立てるのだ。
(地主様やジェスなど、ひとたまりも、なさそうだね、これは~)
一晩で何がどうなったら、こんなに様子が変わるのか。
知りたいと思うのが、当たり前ではないか!!
★・。・★・。・★
そんな想いを眼差しに込めてみた。
まずは地主様を。
はい。
無視された。
と、いうよりも、ワタシの事は眼中に無いって感じ。
やっぱりね?
これは早い所、エイメを地主様から隔離してあげない事には、どうにもならないと思ったよ。
二人きりになったら、切り出そう。
「どうかしたの?」って。
エイメは絶対、泣き出すだろうなぁという予感がしている。
『おっはようございま~……。』
―― す。
勢い良く迎えにきて元気よく挨拶してみれば。
挨拶も尻窄みですわ。
ミルアの予想通りでございます。