魔女によるカード占い
後半に書き足しました。
魔女っこによる占い。
「カード占いよ」
「リディアンナは先視が出来るだろう?」
「それは占いとは言わないの! もう、叔父様ったらロマンがないわ」
「何を占いましょうか?」
「えっと、じゃあ、レオナルの恋愛運をおねがいしよう」
「スレン。何故、お前が俺の事を言い出すのかわからん。」
「友情からに決まっているじゃないか」
「ええと。では、このカードを混ぜてから、一枚引いてみて下さい」
「カルヴィナも真に受けるな」
「いいじゃない。続けてよ?」
★ ★ ★
「わかった。では占ってもらうとしよう」
「はい。地主様」
「いいねぇ! レオナル」
「ただし、お前たちは出て行ってくれ」
「「えええええええ~!! やだ、聞きたい~!!」」
「このロウニア家の存続に関わることだ。お前たちには聞かせられない」
「何だ。恋愛運を訊きなよ、全く」
「そうよ、そうよ! 叔父様」
「 ス レ ン 。 リ デ ィ 。 」
「ハイハイ」
「はぁ~い」
★ ★ ★
「全く。ではカルヴィナ始めてくれ」
「ええと。ロウニア家の未来をご所望ですか?」
「そうだ」
「はい。わかりました」
★ ★ ★
「地主様の引かれたカードの意味するところは、その」
「何だ?」
カルヴィナが頬を染めながら、言い淀む。
手元のカードの絵柄は一人の女性が頭上に果物の入った籠を捧げながら、雨に打たれているというものだった。
その足元には犬が一緒に雨に打たれ、女性と一緒に水たまりを羽回っているようだ。
雷も落ちているが、花も舞っている。
奇妙な絵柄が示唆するところは何なのか。
続きを促す。
「これは、恋の喜びを意味するカードです」
覚悟を決めたかのように、カルヴィナは説明し出した。
「雨に打たれながらもこの女性は笑っています」
「収穫を頭に乗せて、足は裸足で踊っています」
「例え雷が鳴り響こうとも、恋の沸き上がる喜びを謳っています」
――そんな女性の訪れを意味しています。
そう、厳かに締めくくられた。
★ ★ ★
「きっと地主様は想う方と一緒に、生きて行かれると思うのです」
そうカードが告げるままに伝えた。
「そうか」
静かに見つめられて、思わず俯いてしまった。
何となく、恥ずかしい。
カードを眺めていると、頭を撫でられる。
「俺の……。」
「はい?」
「俺に人生の喜びを運んでくれるらしい、その女神は黒髪だろうか?」
「魔女っこによる本日の運勢」
そんな軽いノリのつもりが、何やら重くなった。
作者、占いは縁で行くことが多いです。
やたらと。
自分からは望まないのに 「紹介以外視ない人なんだけど行ってみて!」
というパターン。
占いは結局、自分で自分の心の中をのぞきに行く作業だなぁと思うのですよ。
人生を見つめ直す良いチャンスかもしれません。