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やぐらの二人を見つめる者

 目の前に横たわるのは、かつて見た希望の光。


 真白き魂。


 我の。


 我の傍らにと約束してくれた娘――?


 潤んだ瞳に訴えかけられ、その存在をとくと見た。


 我と同じ闇色の属性。


 それでもその娘の持ち放つものは、純白で輝いている。


 ああ、そうだ。


 やはりこの娘は我の光。


 闇にも溶けない愛しの者。


 荒ぶる我の牙の前にも、恐れず(かいな)を差し出した者。


 娘は涙をたたえた瞳で我を見つめている。


 それに怯む己に気がつく。


 泣かないで欲しい。


 泣かせたいわけではない。


 微笑んで欲しい。


 願いはただそれだけ。


 そう願うのに、それとは相反する願いもわく。


 この娘の全てを我のものに、我のものに、我のものに。


 組み敷き想いのまま貪り、我を刻み込んでやればいい。


 そうだ。


 この光は我のものなのだから――。


 想いのまま突き動かされ、伸ばしたはずの腕が止まる。


 獣に待てと言うてくるのは、紛れも無く我が身の内からだった。


 身の内?


 疑問に思った。


 我は、我だ。


 我は……?


『シュディマライ・ヤ・エルマ?』


 娘が呼んでくれた。


 そうだ。


 疾風まとう暗闇という名の獣。


『シュディマライ・ヤ……。』


『違う』


 何を言う。


 我は。そう我は……?


『呼んでくれ、カルヴィナ。俺を呼び戻してくれ』


 娘は小さく頷いた。


 そうだ。


 我の名を呼んでくれ。


 祈るような気持ちで、瞳を伏せた。


 その時だった。


 額にあたたかさが伝わった。


 娘がそっと口付けてくれたのだ。


 祈りを込めて。


(シュディマライ・ヤ・エルマよ。どうかお鎮まりください。あなた様の光にみちびかれますように)


 ★・。・★・。・★


『レオナル様』


 違う。


『ザカリア。レオナル・ロウニア』


 違う。


 我は、そなたの獣だった。


 真白き光。


 だが、彼女もまた違うのだ。


 静かに慈しみを込めて呼ばれ、隅に追いやってやった男の意識の方が存在を主張しだす。


 もはやこの身にしがみつくのは敵わない。


 娘が見つめるのは、我ではない。


 ザカリア・レオナル・ロウニアとやらなのだから。


 そっとそこから離れ、浮き上がる。


 見下ろせば口づけ合う、人の子の姿があった。


 この男もまた、ただの獣からそうで無い者に少し近づけたのだ。


 乙女という存在はいつだって、我らの牙をないものに等しくしてくれる。


 ★・。・★・。・★


 我の真白き光よ、どこにいる?


 優しく吹く風に誘われて舞い上がった。



 ※ レオナル、気がつかなったけど魔女っこからデコちゅうもらってました。


 仮面越しだったしね。


 気づかれていたらそりゃもっと違う展開に……?


 あわわ。



『シュディマライ・ヤ・エルマ目線の小話』


誰かが見ていたり、するものではないでしょうか?


いつ、何時でも。


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