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椿 6

「竜、、、ってあの竜?空を飛ぶ?」

亜弓の頭の中には子供の頃再放送で見た昔話のアニメのシーンが浮かんでいる、男の子が背中に乗って、確か手に持っていたのは、ペロペロキャンディーじゃなかった、太鼓?

あの名前は、でんでん太鼓であってるのか?

思わず、現実逃避をしている亜弓だった。


異世界の人っていうのは、姿と魔法で否応なしに信じさせられてたが、竜っていうのはどう考えればいいのか分からない。

「あなたは竜っていう種族なの?」

もしかしたら、自分が人間であり黄色人種、日本人と言うように、竜って国名か種族名があるのかもしれない。

「違う、目を閉じて、」


亜弓の手に軽く触れていたエドァルドの指が、ぎゅっと力を入れて掴んだ。

目を閉じてじっとしている、言われてもいないのに、息まで潜めた。

閉じた瞼をそっと手で覆われる。


(見て、)

目を閉じているはずなのに、青い、いや藍色に近い空が広がっている、雲は下方にある、この空は成層圏に近いのか。

カメラがひくように視界が広がっていく、空しか見えなかった場所に白い竜が飛んでいるのが見えた。

日本昔話の竜とは違う、西洋のドラゴンに近い青みがかった白いドラゴン。

でも時々イラストで見るとがった顔と、ぼてっとした下半身小さな翼のドラゴンではなくて、丸っこい顔で鼻先が少し出て、大きな釣り目とがった耳(飛んでいるときは伏せてるらしい)と頭に突起がいくつか、背中には大きな翼。

これって、猫?毛皮の代わりにうろこと翼のある猫?


飛ぶ角度を下へと変える、空の色が徐々に明るい青に変わっていく、そして視界の先にぐんぐんと地上が見えてきた。

ぎっしりと木々が茂る森、蛇行して流れる川、その川沿いに家らしきものと開墾された畑が見える、その先には険しい山がそびえていた。


くらりと視界が揺れ、体が前のめりに倒れる、天板に頭をぶつける前に手で止められた。

「すまない、大丈夫か?」

「ちょっと、目が回るだけ。あのドラゴンがあなた?」

「そう、炎と氷の竜が私だ。」

炎と氷、全然違うと思ったけど、考えてみればどっちとも温度だし、思い出した髪の色がどこかで見た事のあると思っていたが、氷河の奥の青みがかった氷の色、それに炎も高い温度になると青白くなる、なんだか納得するような。

「って、納得するんじゃなくて、どうして今は人間の形をしているの。」

「これは、その、」

言葉を探すように言葉を濁す、まあ、あのドラゴンの姿はこの世界では目立って仕方がないだろうけど、他に何か重要な事だろうかと口を開くのを待った。


「省エネだ。」

「はあ?省エネ?」

「もちろん目立つのもあるが、この世界ではなかなか魔力が回復しない、竜の巨大な力と体を維持するには魔力の補充がいる。私の世界では意識しなくても空気中の含まれる魔力で大丈夫なのだが。この姿なら消費する魔力を抑えられる、」

「駄目じゃない!!回復しないのに魔法を使ったらっ!1000カロリー分しか食べていないのに5000カロリー分動いていたら死んでしまうでしょう。そうでしょう。」

両手でエドァルドの腕を掴んでゆする、自分でもこんなに必死になるのか分からない。

「大丈夫だ、これくらい竜の自分にとって何でもない、それにこの庭には精霊がいるから他の場所に行くより回復力が高い。」

「精霊がいるの?」

庭へ視線を向ける、祖父母や両親が大切に慈しんでいた庭に精霊がいるのは嬉しい、自分には見えないけど。

「多くはないが、見るか?」

手を触れて庭を見る、半分透き通ったふわふわした丸いものがいくつか浮いている。

精霊ってかわいい女の子や男の子に羽があるんじゃないの?子供のころに夢見た物がガラガラと壊れていった。



竜は、某映画に出てくる、某ドラゴンがモデルです。大好き!!

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