第9話「宣言」
祝日なので第9話。お付き合いいただけたら幸いです。
魔力があるとしたら。
魔法があるだろう。魔術具があるだろう。
だけど今はない。
うわさも聞かないし。
だとしたらこれから発見・発展していく分野なのかもしれない。
なんか興奮してきたな。
帰蝶ちゃんプ〇キュアになりたいと思ってたんだ!
あの子ら基本肉弾戦だからレベル上げればいいだけか。
いや待て待て、魔力の有無は今考えてもしょうがない。
後でぜってぇ探すけどな!魔法少女は女の子の夢ですよ夢!!
問題はレベルアップだ。
魔物を倒し続けると明確に人外に近づいていく。
何がどこまで上がるのかは知らないけども。
これはマズいことだ。
何がって、今の日本は封建制まっただなかで下剋上の世だ。
力を持った個人が何するかなんて決まってる。
高レベルになると単純な軍勢では止められない可能性が高い。
信長が来なかったら今頃私はハイライトを失った目でぐったり横たわってる自信がある。
大鬼はそれだけの脅威だった。
あの大鬼が稲葉山城に現れたら?
抑えられる信長のような武士が美濃にいるか?
多分いないし、全国的に普通はいないんだろう。
あんなのがそこらにぽこじゃか現れるんなら関東は崩壊してない。
このことからわかるのは、高レベル者がいないと国が詰むという事だ。
でもどうやって言う事を聞かせる?
自分より強いやつにしか従わないとか言う少年漫画の悪役みたいなやつだったら?
そもそも武士階級だけがレベル上がるわけでもない。
身分制度が成り立たなくなる。
「人はみな平等なのです!」
とキラキラお目目で聖女様ムーブするのはちょっと興味あるけど、今この世界では悪手だと思う。
武士も野蛮なら農民も商人も僧侶ですら蛮族ムーブ平気でかます蛮族の国なんだよ戦国日本て。
平和なエルフの村を襲うオークと甲乙つけがたいぐらい野蛮。
さすがに家の前通った僧侶の首ちょんぱするような鎌倉武士からはマシになってるけど、それでも前世現代人の私からすれば恐ろしい蛮族ぶりだ。
そんな連中に平等を説いても無理だ。
それができるならお坊さんが天下とってるよ。
史実では江戸幕府が300年近くかけて何とか矯正したからそれなりにすんなり明治に移行できた。
まずは武士階級のレベルを上げて、既存の階級社会を維持しながらゆっくり民衆を教育していくしかない。
平等にするのはそれからだ。
そもそも、なんで急にこんな世界になったんだろう。
唐突な仕様変更が起こったとしか言いようがない。
誰も彼も全く違う法則になった世界で右往左往している。
その中でたくさんの人が死んでいる。
そのうち社会も維持できなくなるのだろう。
幸い私は前世でオタクだったのでたくさんのナーロッパものを読んだので、なんとか理解できている。いろいろ想定が甘いけど。
・・・ん?
嫌な考えが頭をよぎる。
違っててくれ。
いやまさかそんな。
無理だよ。私にはできないよそんな事。
ただ前世がオタクだっただけの元事務員よ?
でも、口から突いて出る。私の悪い癖だ。
「・・・起こってることをざっくりとでも理解できてるのって、もしかして私だけ?」
言っちゃった。
たぶん、おそらく、メイビー。
この予想は当たってる気がする。
信長はクソ強いけど、魔物や迷宮がどういうものかまでおそらく理解できてない。
だって、物語でもラノベはまだ書かれてない。
異世界転生ものは江戸時代からあったらしいし、ファンタジーは昔からあるけど、日本のファンタジーは最初からクソ強い英雄や神様がバケモンぶち殺す話ばっかりだ。
その辺の民草が迷宮に潜って徐々に強くなるような話は想像もできないだろう。
封建社会では御法度な思想だしね。
こんなに急に何もかもが変わった世界で、前例踏襲で社会は維持できるのか?
無理だろ明らかに。
だから死にゲーの舞台は廃墟ばっかりじゃないか。
普通の人はバケモンに太刀打ちできないんだ。
そんな世界で私は生きていきたいの?
断る!
死にゲーはゲームとして遊ぶのはいいけど実際行きたくない世界ナンバー1に決まってんじゃん!
早急に「今の仕様」に合わせた社会を構築する必要がある。
なんで私が?
誰かに任せれば?
さっきも言ったけどこの世界野蛮人ばっかりなんだよ!
のんびりやってる間に鬼に泣いたり笑ったりできなくされたら嫌すぎるだろうが!
多分この世で「こうしたらいいんじゃないかな」をある種の確信をもって言えるのは私だけだ。
ラノベ由来知識だけどな!
当たってるかは知らんけどなんかうまくいくっしょ多分!
冒険者ギルド作っちゃる!
くそつよ騎士団もだ!
できれば魔術具や錬金術も開発できたらいいな!
小さいアトリエで大釜に素材入れて爆弾作る美少女とか鉄板じゃん!
婚約破棄される悪役令嬢もいいぞ!
ざまあだってできるもん!
合わせて内政チートで食料生産して、うまいもん食ってのんびり暮らすんだ!
ちくしょう見てろよ私は生きるぞコノヤロー!
つまり!
つまりだな。
私は立ち上がって叫ぶ。
「戦国日本を!ナーロッパとする!!」
盛大に叫んだのとおさきがうんざりした顔で障子を開けたのはほぼ同時だった。
要はこれを描く物語なんです。




