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信長公斬魔録~転生帰蝶ちゃんは急にダークファンタジー死にゲーみたいになった戦国日本をナーロッパにしたい~  作者: simopo


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第38話「故意のイメージアップは大体うまくいかない」

火曜日なので第38話。


読みに来てくれてありがとうございます。

そういう訳で私たちは熱田へとんぼ返りする事になった。

出発は久助と話した翌日になったのだが、当日の朝食時に土田御前ノブマッマが来て


「必要なお役目だとは理解していますが、所作の訓練は継続するように」


と釘を刺していったのにはうへぇと言うしかなかった。

おさきにもしっかり見張るようにと言っていたので過酷な姫ムーブ特訓になりそうだ。


ちなみに迷宮産農作物の栽培実験は信長ノッブの信頼してる農家に秘密裏に頼んでみると言ってくれた。

……迷宮で亡くなった信長ノッブの友達の実家だそうだ。

彼らが信長ノッブの周りに集うようになって、信長ノッブはいろいろと便宜を図ってあげるようになって、それは彼らが亡くなった後も変わっていないそうな。

史実では苛烈さばかり強調されがちだけど、本来の信長ノッブは気遣いの人だ。

史実の信長ノッブもこうやっていろんな人に気を使ってたから人が集まって、なんやかんやで天下にまで手が届いちゃったんじゃないかなぁ。

私みたいな得体のしれない女の言う事も面白がって聞いてくれるし、こんな感じでいろんな人の提案を受け入れていくうちに天下が見えてきて、にっちもさっちも行かなくなって苛烈にならざるを得なかったんじゃないかな。

その果てが本能寺だったんだろうね。

でもこっちの信長ノッブはそうはさせないよ。

私がいるんだから。

なんだかうれしそうな顔で迷宮産作物試験栽培の話をする信長ノッブをみて私はそう思ったんだ。



それはそれとして、げんなりする話を聞かされる朝食後、那古野城を出発した。

那古野城下は雑然としつつも活気がある。

この時代の人々の逞しさやしたたかさを感じずにいられない。

まあ排水もなにもないんでくっさいし汚いんだけども。

活発にものが売り買いされる市場を横目に道を進む。

人々は信長ノッブを見つけると嬉しそうに手を振ったり声をかけてくる。

信長ノッブもそれに楽しそうに応える。

いやー、すげえなこのイケメン。

気さくな王子様を地で行ってるよこの人!

しかも鬼退治の英雄でイケメンで尾張防衛の立役者で金持ち織田家の御曹司でイケメンで……

属性多すぎん?これが私の旦那ってマ?

帰蝶ちゃん夢でも見てるのかしら。

きっと前世で相当の徳を積んだに違いない。

覚えてないけど車にひかれそうになった子供をかばってトラックにはねられたとかだろう。

いやー帰蝶ちゃんに転生できてよかった!

などと思っているとフヒフヒ笑いが出そうになるので姫ムーブで乗り切る。


「濃姫様なんか変な顔してねえ?」「わしらのような下賤の者が近づいてお気を悪くされたのだろうか……」


などとひそひそ声が聞こえる。

あかん。

親しみやすい信長ノッブの奥さんになりたいのに無駄に気位の高い高慢ちきな姫様でイメージが固定されてしまう。

という訳で私は突如列を外れてまんじゅうを売ってる少年に声をかけた。


「もし、まんじゅうをくださいな」


突然声をかけられた少年はなんかわたわたしている。

ふふん、帰蝶ちゃんの高貴な姫ムーブちからに慄いているのね!

気さくで親しみやすい姫様として喧伝してくれたまえよきみぃ!


「へ、へぇ!一つ1文でございます!で、ですが姫様のお口に合うか……」


「あら、安いのですね。では20個ほどくださいな」


追いかけてきたおさきに目を見やりながら言う。

こういうのの支払いは侍女がやるものなのだ。

おさきが懐からお金を出そうとしたらそれを信長ノッブが止める。


「おいおい帰蝶、こういうのは俺にださせろよ。ほら小僧、釣りはいらん。とっておけ」


そういって金を少年に渡す。

驚いて返そうとする少年に


「あーそうか?ならその金でまんじゅうを皆に配ってくれ。まんじゅうが無くなったら釣りはお前のもんだ。いいか?」


そして少年はへへー!と平服し、歓声をあげる周辺の者に在庫のまんじゅうを配り始める。

少年の弟らしき男の子も手伝って列を作り、実に見事にさばいていく。

それを見ながら信長ノッブが言った。


「なかなかいい手際だなあの小僧」


「ええ、将来が楽しみですね」


「ああいう小僧が大成できる世をつくらにゃなんねえな」


「……はい」


さらに活気にあふれる那古野の町を眺めながら、私はこの光景を守り、より良くしたいと思うのであった。

ところで、帰蝶ちゃんのイメージアップ作戦は成功でいいんだろうか?

信長ノッブにいいところ全部持ってかれた気がするんだけど。

お饅頭くばるきっかけを作ったので良しとするか。

たぶん慈悲深くて親しみやすい奥様とか言われてるに違いない。


「きちょー、このまんじゅうまあまあうまいの。あんこをつけたらもっとうまそうじゃ」


イナリちゃんがもぐもぐしながら言う。

うーむ、うまいこと量産出来たらあんこ入り饅頭を普及しよう。

きっと名産品になったりするはず。

帰蝶ちゃんまんじゅうとか!帰蝶ちゃんもなかとか!!

……なんか雑な萌えキャラをパッケージにしたお土産品を思い出してしょっぱい気分になってきた。


「ひそひそ……濃姫様難しい顔してるぞ……」「やはり下賤の者が近づくのが気に障ったんだろう」「こわやこわや」


私に注目している民のひそひそ話が聞こえてくる。

イメージアップ作戦は浸透していないようだ。

今なら私は泣いても許されるような気がする。



しょぼしょぼした気分で熱田へ向かう道中である。

熱田はまだ廃墟だけど、兵舎や女性向け屋敷の建設が始まったからかそれなりに人通りはある。

それでも以前に比べると人通りは少ないそうだ。

そりゃそうだよねえ。

この時代の熱田は埋め立てされてなくて海辺だし船も入って活気を取り戻すポテンシャルはあるんだけどねえ。

迷宮ダンジョンのせいで鬼の棲む地とされて人が近寄らないそうだ。

そりゃそうか。でもかえって迷宮ダンジョンの有効性が広まりにくくて好都合かもしれない。

他の商人や大名なんかが目をつける前に迷宮ダンジョン支配を確立するんだ。

ゆくゆくは冒険者ギルドみたいなのも作って看板娘やるんだぁ!

あ、私人妻だから看板娘とか無理か。

でも歌って踊れる冒険者ギルドの看板受付嬢とかあこがれるじゃん?

実質アイドルじゃんね。

あん?帰蝶ちゃんには無理だと思う?やかましいわ夢くらい見させろや。


そんな事を考えていた時、風がふっと吹いてどうも嗅いだことのある悪臭が鼻についた。


「……いるな」


信長ノッブが背負った大太刀に手をかけて言った。

……小鬼だ。


「うぇっ、なんじゃこの臭い!ひどい臭いじゃ!!」


イナリちゃんが顔をしかめる。

そっかこの子外にいる小鬼は見たことないのか。

ん?熱田神宮で鬼の噴出に立ち会ったんじゃなかったっけ?

んん?

まあいいや。今は戦闘準備だ!

私もおさきも薙刀を構え臨戦態勢をとる。

迷宮ダンジョンの外で戦うのは初めてだけど、小鬼は小鬼。

今の私の敵ではないはず!

くっさいのはほんと勘弁だけど!!


「久助、何かわかるか?」


「この先で複数の気配。人と小鬼のように思えまする……襲われているのやも」


「いかんな。先行しろ久助。無理なら戻れ。俺が行くまで無理するな」


「承知!」


そんな会話のあと久助はダッシュしていった。

クッソ早い。やっぱニンジャだろあいつ。

そして信長ノッブが私たちに言う。


「帰蝶、この先で魔物に襲われている者がいるらしい。久助に先行させた。俺も行ってくる。ここで待てるか?」


私は首を振って拒否。私だってやれる!

やってやる!やってやるぞぉ!


「駄目だよノッブ!私だってやれるんだから。私も行く!」


決意を込めて言う私をちょっと心配そうな目で見たあと、信長ノッブは頷いて言った。


「そうか。お前はそういう奴だもんな。話している時間が惜しい。行くぞ!!」


「はい!…いくよおさき!イナリちゃんはここでほかのみんなと待っててね!」


「わかったのじゃ!」


「姫様は後ろに。さきが露払いをおこないます!」


そうして私と信長ノッブ、おさきの3名は久助の後を追って走り出した。

和服って走りにくい!やっぱり袴にすればよかった!

土田御前ノブマッマに睨まれて無理だったんだよぅ!

でもなんか女性っぽい所作なのにクッソ早く動けてる気がする!

何これ怖い!!

こう、すすすすすってすり足で動いてるんだけどさ!

体が軽いんだよねえ!これもレベルアップの恩恵なのかな。

土田御前ノブマッマの特訓の成果がこれなのかしら?

いや傍から見たらだいぶキモイ動きだとは思うんよ!


そんな事を考えながら半里ほど進んだ先で見たのは。

荷車の周りに怯え切って頭を抱えてうずくまる人たちとその周辺に転がる小鬼の死体。

異様に鋭利な断面を晒す首のない大鬼の死体。

その中心に立つ、40がらみのすらっとしたイケオジ。

彼の腰にはよく手入れされた黒鞘に収まる刀。


そして彼に対して小太刀を構えて対峙する久助だった。


一体何泉なんだ……!


という訳でまた次回。

今回も最後まで読んでくださりありがとうございます。

また見てくれると嬉しいです。

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