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信長公斬魔録~転生帰蝶ちゃんは急にダークファンタジー死にゲーみたいになった戦国日本をナーロッパにしたい~  作者: simopo


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第36話「魔法少女爆誕」

金曜日なので第36話。


待望の魔法少女が現れます!

それから数日。

私は土田御前ノブマッマに滅茶苦茶にされている。

朝は礼法、昼はなぎなた、夕方は織田家や家臣に関する政治講座、夜は説教。

泣いたり笑ったりできなくされちゃう!!


イナリちゃんから魔法講座を受けたいがそんな暇もない。

イナリちゃんは信長ノッブの姉妹と仲良く楽しく過ごしているようだけども!!

私もそっちに混ぜてはくれまいか!

信長ノッブの姉妹と言えば、戦国の悲劇の姫お市ちゃん(2さい)は滅茶苦茶かわいかった!イナリちゃんと仲良く遊んでて実にうらやましい。

私も一緒に遊びたいぃ!!


信長ノッブにもなかなか会えない。

いろいろどうなってるのか聞きたいしあのイケメンフェイスを眺めたいのにぃ!

会いたくて会いたくて震える。

今日は記念日でも何でもないけど会いに来て信長ノッブ!!

ついでにここから逃がしてくれぇええ!!


そうして過ごしていると土田御前ノブマッマの侍女が来て、


「お方様は御用事がございまして、濃姫様は本日お休みください、とのことです」


と言う。

やったあああああああああああ!!

休みだあああああああああああ!!

地獄の30連勤が終わったブラック企業の社畜のような気分で膝をついて両腕を掲げて天を仰ぐ。

おさきが姫ムーブ!というが知った事か!

今日の私は自由だ!自由は素晴らしいんだ!!

今日は誰の言う事も聞かぬ!引かぬ!顧みぬ!!

私は大の字に寝っ転がってそう強弁してふて寝することにした。

そしてそのままの姿勢で自由を満喫(何もしていないとか言うな!)していると、廊下からとてとてと小さな足音が聞こえてきた。


「きちょー!今日はお休みときいたぞよ!わらわと遊ぼう!」


「きちょー!」


イナリちゃんとお市ちゃんだ。

なんか最近いつも一緒にいるんだよねこの二人。

お市ちゃんの乳母は後ろでニコニコしている。

しかし今日の私は「なにもしない」をすることに決めたのだ。


「あー、ごめんねイナリちゃんとお市ちゃん。私はとても疲れているので今日は何もできないのです」


「ふむぅ。わらわの術を伝授してやろうとおもったのじゃがのう」


「じゃがのー!」


顎に手を当てて思案のポーズをとる狐耳幼女。

お隣で真似をするお市ちゃんがなんともかわいい。

どうですいいでしょうこの子私の義妹です。

それはそれとして魔法の伝授か!

そうだ今日はそれをしよう!!

私はガバリと起き上がって


「それを早く言ってよイナリちゃん!いえ、師匠!!私を魔法少女にしてくださいませ!!」


と叫ぶ。

イナリちゃんはにっこり笑って、


「きちょーはそうでなくてはの!では庭に出るぞよ!」


「ぞよー!」


と言った。

手を上げてイナリちゃんのマネをするお市ちゃんがかわいすぎて生きるのがつらい。



庭に出た私たちにイナリちゃんはドヤ顔で言い放った。


「術はな、身にまとった「気」をグワーっと集めてぐるぐるさせた後、ビャーっと出すことで使うのじゃ!!」


「のじゃー!」


……私の理解力が低すぎるのかな。ちっとも理解できないんですけども。


「あの、イナリちゃん?その、もっと詳しく……」


「んむ?じゃからな?こう、グワーっと気を集めて……」


「待って待って!その「気」ってのがまずわかんない!くわしく!」


「んん?「気」とはの、きちょーの身を覆っておるこう、もやもやしたものでな?

ああそうか、きちょーには見えておらなんだな」


「あ、はい」


「ふーむ、どう説明したものかのう?

まあ、目に見えぬがきちょーは「気」をまとっておって、これをコネコネグニグニしてグワーっと集めてビャッと出すと術になるのじゃ」


「どうしようイナリちゃん!君が何言ってるのか全然わかんないよ!」


「むむむむ?わらわ、そんなに難しいこと言っておるかのう?」


首をかしげるイナリちゃんと大混乱の私。

イナリちゃんはおさきにも聞く。


「おさきもわからんかや?」


「はあ、さきには何が何やら」


「ほらー!イナリちゃん、宇迦さまとかに術を習った時を思い出して!」


「うーむ、宇迦さまもこのような説明だったのじゃが……本当にわからんのかや?」


私は大きく頷く。

というか宇迦さまもたいがい大雑把なんだね。

イナリちゃんはため息をつく。


「むう、他の説明の仕方なんぞわからぬぞ……

そうじゃ、狐火の術を使って見せるので、それをよく見てみるのじゃ!

宇迦さまもそうされておった!」


そういったイナリちゃんは指先に火をともしてみせる。

いや、それを見せられてもどうにもこうにも。

やはり私には魔法少女は無理だったのだろうか。

いやこれ、イナリちゃんの説明が下手すぎるだけでしょ!

そういう事にしたい!

頭を抱えていると縁側の方から悲鳴が上がった。


「ひ、姫様!あぶのうございます!」


「おったおったー!きゃはははは!」


見ると、お市ちゃんが指先に火をともしている。

あんぐりと口を開けてみている私とおさきに、うれしそうなイナリちゃんの声が聞こえる。


「おお、おいちは術を使えるのじゃな!見よきちょー!

わらわの教えでおいちが術を使っておるぞ!!」


なぁんでよおおおおお!!


とりあえずお市ちゃんが魔法を使えることが分かった。

そこかしこで使うと危ないのでイナリちゃんがいいと言わないと使っちゃだめだと言い聞かせると、お市ちゃんは「はーい!」と元気にお返事をした後すとんと寝てしまった。

心配する私たちに


「おいちはまだ「気」が充実しておらぬので寝てしまったのであろう。

わらわが術を覚えたころもそうだったのじゃ。

簡単に使えぬよう封印の術をかけておくゆえ、あまり心配せんでもよいのじゃ」


とドヤ顔を見せるイナリちゃん。

とっても残念な結果だが、お市ちゃんの例から人が魔法を使えることは実証されたと言える。

しかし人類初(?)の魔法少女は私ではなくて義妹となったわけで……

ぐぬぬ、悔しいけど魔法の実用化は見送るか、お市ちゃんの成長を待たなければならないのだろうか。

こんなかわいい子を迷宮に投入してレベル上げさせなきゃならない未来を思って私は落ちこむ。

そんな私にイナリちゃんはアドバイスを投げてくれる。


「きちょーにわらわの術は難しいのかもしれんのう。

じゃが、昔おんみょーじとかが使っておった術なら使えるかもしれんのじゃ」


むう、陰陽師の術、かぁ。

たしかなんか符とか護摩壇とか使っていろいろお祈りしたりするイメージ。

いろいろ混じってる気がするけど。

んんー?なんだろうこの違和感。

魔法は詠唱が必要、イメージが大事、無詠唱は術式が頭の中で構築する必要があって難しい……

前世で読んだ数々の魔法の設定を思い返してみる。

イナリちゃんの術はそれらと照らし合わせてみるといわゆる無詠唱魔法の類に見える。

多分イナリちゃんの中ではなんかこう、魔法の詠唱とか術式とか、そういうものをかっちり構築して術を使ってるんじゃないだろうか。

で、イナリちゃんは感覚派すぎて説明ができない。

だったら、その術式的な何かをはっきり解き明かす必要があるんだろう。

で、陰陽師の術。

イナリちゃんが言うには昔の「気」が充実した陰陽師はちゃんと術を使っていたらしい。

つまり、昔の陰陽師は私の想像する魔法使いのようなものだった可能性がある。

符とか護摩壇とかはいわゆる魔法使いの杖のような、魔法の外部補助装置だったのかもしれない。

そうだとすると、現代の陰陽師に聞けば、術式的な何かがわかるかもしれない!!

光明が見えた!!


「陰陽師!そうかその手があった!」


というかイナリちゃんがそれを知ってたら話が早い!

教えてください師匠!と言わんばかりにイナリちゃんを見ると、肩をすくめて言う。


「まあわらわは知らんのじゃけど」


「意味ないじゃん!

……あ、でも京から逃げだした陰陽師のお公家様とかなら尾張に来てもらえるかも!」


うん、とっても良いことを聞いた!

ここは信長ノッブに頼んで探してもらうとしよう!

でもまだ諦めるのは早い!

イナリちゃんの魔法の秘密を理解して、私も使えるようになりたいんだ!


しっかりお昼寝するためにお部屋に帰っていくお市ちゃんを見送り、イナリちゃんに魔法についてああでもないこうでもないと聞く私。

結局ちっとも要領を得ないイナリちゃんの説明に諦めるしかなかったのだった。


魔法少女の道は険しい。


帰蝶が魔法少女になるとは言っていない。


最後まで読んでくださりありがとうございます。

また見てくださいねー。

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