第22話「面倒くさいが、おもしれー女」
土曜日で3連休なので第22話。
21話の続きです。ほぼ会話文。
はーなーもー(沖縄弁)!なんでこうしれっといい感じのこと言ってくるんですかねこのイケメンは!まったくもう!まったく!しゅき!
いやいやまてまて。重要な話の途中だった。
真面目に話すと決めたんだこの帰蝶ちゃんは。
というわけで気持ちを落ち着けて居住まいをただす。
「ま、まぁその、ノッブが英雄だからこそ、「迷宮を織田家が管理する」という事を皆が認めるんですよ。はい。
ううん、むしろ今しかできない。迷宮産資源の存在が広まっちゃったら、絶対にうまくいかなくなる。
皆が迷宮を危険なものだとしか思っていない今しか、できないの。
余所が迷宮の有用性に気付く前に、織田家の管理を既成事実化する。
だれも何も言えない状況に持っていく。
それができれば、この先どういう形にするにせよ織田は、尾張は大丈夫。」
「・・・それは、俺の名前を盾にするってことか?」
「ううん、ノッブの「実績」を土台にするんだよ。「実績」は「信頼」になる。
社会を維持するのに一番大切なのは、「信頼」なんだよ。
武力がある、食糧をもってる、権威がある・・・これって全部「信頼」につながってる。
これだけ強ければ守ってくれる「だろう」。
あれだけ食料があれば飢えないようにしてくれる「だろう」。
とっても偉い血筋の人なんだから優秀なん「だろう」。
この「だろう」がないと誰も付いてきてくれない。
要は未来への期待だね。この期待がないと人は付いていけない。
ノッブの英雄としての「実績」は、この意味わかんない世界でも自分たちを守ってくれる「だろう」って信頼になる。そのノッブがやる事なら間違いない「だろう」って意識が皆に働く。
・・・この戦国の日ノ本なら、なおさらだよ。
下剋上でうまくいった人、ほとんどいないって知ってるでしょ。
これはね、強さで権力握ったあとに「信頼」を得られなかったから。」
「俺の戦いは、あいつらが死んだのは、何の意味もないものじゃなかったんだな。」
「当たり前だよ!ノッブのために死んだノッブの友達は、ノッブだったら生きて何とかしてくれる「だろう」って思ったからノッブを生かしたんだよ!
ノッブは英雄になる前からみんなの「信頼」を集めていた。
それはね、誇っていいことなんだよ。誰が何と言おうと、すごいことなんだよ。」
「・・・そうか。ありがとうな、帰蝶。」
「ふひょっ!・・・はあ、とにかく!迷宮を牛耳るのはわかったよね。産物を売って商売を活性化して人を呼び込むことも。」
「ああ、なんだか目の前が明るくなった気がするぜ。」
「ここからは私の前世で読んだ物語の話なんだけどね。
物語の中でもああいう迷宮みたいなのがあって、そこから出る産物を一手に集めて商業ギルド・・・こっちでは座かな?座に卸したり、薬師や医者に素材を下ろしたりしてる組織があった。
大体は、その土地の領主に利益を献上したり、国に治めたり、場合によっては国をまたぐ大組織で、一国の王にも意見できる立場だったりしてた。」
「・・・まて、領主直轄事業じゃないのか?」
「それはお話によって違うんだよね。
この話のキモはね、「兵じゃない民間人が迷宮に入ってレベルアップして、魔物から資源を集めて売っている」という事なの。」
「それでは謀反が・・・いやまて、その組織を織田が担えば金で懐柔するのと同じか・・・?」
「そういう事!!さすがノッブ鋭いね!!迷宮に入るにはその組織に入るしかないし、産物を売るのも組織経由。お金で彼らの動きを制限できる。
そうすれば、レベルアップした民が増えて、いきなり後方で魔物が現れても対処したり時間稼ぎができる。民に武力を残さなきゃならないなら、こうして商いの中に組み込むしかないと思う。」
「すべての町に鍛えた兵を置くわけにもいかねえしな。尾張平定がなったなら、兵は国境に置きたい。・・・道理だな。」
「まあ今すぐは無理だけどね。まずは兵を鍛えてお金を稼がないと。
・・・でも、いずれはそうしなきゃ回らなくなると思う。後ろを気にして魔物と戦ってなんかいられないでしょ?」
「よし分かった。そのつもりで行こう。・・・信秀に話す必要があるな。明日那古野に戻って話すか?」
「あー・・・それについてはちょっと待って。
ねえノッブ。私もレベルアップしなきゃならないと思うの。」
「は?・・・お前、何言って。」
「・・・今日、慶次助かってよかったよね。」
「それはもちろんそうだが、いったい何を・・・」
「慶次に切りつけた大鬼、すごい大きかったよね。力も強そうだった。持ってた刀もすごく大きくて、あの一撃を私が食らったら真っ二つで即死してたと思う。」
「何を言ってる?」
「私と慶次の違いって何?男だから?女だから?体の大きさ?
違う。その程度の違い、あの大鬼にあの大きな刀で切り付けられたら大した違いじゃない。
じゃあ何だろう。レベルアップだと思うの。」
「それは・・・!」
「私だったら即死しそうな攻撃を受けても慶次は生きてた。おかげでポーションをかけて治る時間があった。あのポーションに死んだ人を生き返らせる効果があるとは思えないし、慶次の生死を分けたのはレベルアップなんだとしか思えない。」
「そう、だな。」
「私こないだ言ったよね。女の人が子供産んでも死なないようにしなきゃ日ノ本は持たないよ、って。」
「それは言ったが、だが!」
「女の人のレベルが上がったら、子供産んだくらいで死なないようになるって、そう思わない?」
「!!」
「それだけじゃないよ。後方で魔物が現れたとき、その魔物の前に立ってるのが男の人とは限らない。女の人の可能性は高い。世の中の半分は女なんだから。」
「・・・」
「だから私は、いずれ迷宮に女も入って、レベルアップしなきゃならないと思う。
・・・これは、民だけじゃなくて、最前線で戦う武士の嫁や娘こそ、そうでなきゃいけないと思う。
・・・私は今まで戦いと無縁だった人たちを迷宮に送り込もうとしてる。
だから、先頭を走ってその有用性を証明しなきゃならない。
「信頼」の話をしたよね。
ノッブが女を迷宮に入れるって話をしたとき、じゃあ帰蝶はどうなんだ、って話になった時、私が奥で守られるだけのお姫様だったら誰も信頼してくれない。
そして最悪の時、後方で魔物が現れて女子供が犠牲になったら、皆後悔する。
なんであの時ノッブの言う事聞いとかなかったんだろうって。
そういうのってね、強くいってくれてたらって逆恨みに簡単に変わるの。
ノッブが強く言ってくれなかったから自分の女房子供が死んだんだって。」
「そんなもの、俺が許すと思うのか!!?」
「そうじゃないの。私が嫌なの!
私のせいでノッブが筋違いな逆恨みされたりするのは嫌!
色々変えるからしょうがないけど、私がやれることやらなかったせいでそうなるのは絶対に嫌!」
「帰蝶・・・」
「だからね、明日からも迷宮に入って、私、小鬼を殺すよ。
そしてレベルアップする。ノッブのお嫁さん強いんだって、みんながわかるようにする。
怖いけど、ノッブがいれば守ってくれるでしょ?」
「ああ、任せろ。・・・本気なんだな。」
「ほんとはとっても怖いけど、私は気づいてしまったから。
そうしなきゃいけないんだよ。
・・・面倒くさい女で、ごめんねノッブ。」
「初めて会った時から、めんどくせえ女だとは思った。」
「えっ」
「だが、お前と一緒にいりゃおもしれえんじゃねえかとも思った。
・・・わかったぜ帰蝶。お前の覚悟、俺に見せてみろ。」
「うん!・・・よっしゃー!やったるぞー!!」
とても気合が入った私だったが、現実は想像以上に過酷だと、翌日に思い知ることになる。
ほぼ説明文と会話文だらけの作品ですが読んでいただき感謝します。
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