第21話「ホラー映画でイチャイチャしてるカップルはどうなるか知っているか?」
土曜日なうえに3連休の初日なんで第21話です。
無事外に出られた。
もう夕方で、壊滅した熱田の町の廃墟が赤く染まっている。
正直怖い。仁〇をプレイしたときに見たぞこういうの。
野盗とか骨の鎧武者とか出てきそう。
今から那古野に帰ったら遅くなるよなあ、と思ったら今日は熱田神宮(今は跡地と言っていい廃墟なんだけども)近くの織田陣屋に泊まるらしい。
へぇ、そうなんだと言ったら何度も説明したとおさきに盛大にため息をつかれる。
だ、ダンジョンが楽しみすぎて聞いてなかったんだよぉ。
熱田の町は、周辺のバケモンが討伐された後も復興の兆しはない。
バケモンは熱田神宮の境内にある迷宮から出たと思われる。
いつまた飛び出てくるかわからず、周囲を、この場合町全体を封鎖して様子を見るしかなかったそうだ。
まあ、たった半年だもんね。
この町が元の賑わいを取り戻すことはあるんだろうか。
いやあるけども。信長と私がそうする。
どんくらいかかるかなぁ。1~2年で軌道にのるといいんだけどなぁ。
ま、その前に信長と相談だね。
今夜も忙しいぞ。
陣屋についた私たちは解散し、一休みするため奥の部屋に通される。
慶次は久助に連れられて金創医(衛生兵みたいなもんと言えば伝わるだろうか)のもとへ。犬千代くんはよくわかんないけど信長についていった。
まあ小姓だからそういうもんか。
あのでっかいの引きずったままついていったけどいいんだろうか。
那古野から付いてきて陣屋で待機していた侍女たちは私の姿を見て悲鳴を上げた。
あ、そうだ。慶次の傷抑えたときについた血で血濡れだったんだ。
体に傷がないことを確かめられ、沸かしていた湯に放り込まれ、念入りに洗われたものだ。
もう二度と迷宮になど行かないでくださいませと言われたが、だが断る!
まだ確かめていないことがたくさんあるんだ。
皆には心配かけて悪いけど、尾張のため美濃のため、日ノ本のためにやらねばならない。
まあ一番大きいのは私が面白おかしく生きることなんだけれども。
すっかり暗くなった陣屋の部屋で、私と信長は小さな油皿の明かりに照らされて向かい合っている。
いくら戦国時代だからって、外が静かすぎて落ち着かない。
熱田に誰もいないっていうのは嘘でも誇張でもないようだ。
それと!別にそういうことをするわけじゃないよ!
夕食後、今日の迷宮行きについて話したいと言ったら今に至る。
「で、話ってのはなんだ?」
「ノッブ、私は今日初めてダンジョンに入りました。そこで分かったことと、これからどうすべきか、おぼろげですが見えました。」
「ああ、妖が米や麦、それから、ぽおしょんだったか?あんな薬まで持ってるなんてな。以前入った時は奴らを殺すのに夢中でそれどころじゃなかった。」
「うん、ノッブの大切な友達を探してたんだよね。しょうがないよ。
・・・それについても、私の考えがあるの。長くなるけど、聞いてもらえる?」
「ああ、お前のなーろっぱに協力するって決めたんだ。話を聞くぐらい当然だろ?」
「ありがとう。まずは・・・鬼が持ってたものについて。迷宮の中でも言ったけど、ああいうのを前読んだ物語では「ダンジョンドロップ」って言われてた。迷宮の中にいる鬼・・・だけじゃないね、バケモノ、そうだね、これからああいうのを「魔物」って呼ぶことにするね。
魔物が死ぬと、ああいう資源や、道具を落としたりするの。」
「・・・実際にそうだったな。あれは奴らがもともと持ってたものではないのか?」
「たぶん、死んでから出たんだよ。考えてみてノッブ。お米が結構たくさん出たじゃない。全部小袋に入ってた。でも、小鬼を殺すときにお米がこぼれたりしなかったでしょ。」
「確かにそうだな。あんだけ吹っ飛ばしたり刺したり斬ったりしたが。不思議でしかねえが・・・」
「でも、それは問題じゃない。最初から持ってようが何だろうが、迷宮の中であいつらを倒すと物資が手に入る。それが大問題。・・・ってまって。外にいる魔物も落としたりしないよね。そうだとだいぶ話変わっちゃうけど。」
「少なくとも俺は聞いたことがない。俺の隊の連中もそういう話は聞いたことはないそうだ。俺もそれが気になってな。久助に調べるよう言ってある。そのうちはっきりするはずだ。」
「そっか、じゃあ多分外の魔物は落とさないんじゃないかな。目ざとい商人が気付かないとも思わないし。」
「ああ、尾張の商人は伊勢や堺に逃げだす者が多い。畿内に鬼・・・魔物か。
魔物は出てないようだからな。」
「そっかぁ。じゃあこっちの危機感は他人事だよねえ。
逃げた商人の話が正しく伝わってるとも思えないし・・・」
「畿内は今はいい。尾張をどうするかだ。」
「うん、信長。迷宮を放置するのはマズいってわかるでしょ?あそこを握った者が尾張の・・・ううん、東海の覇権を握ってもおかしくないよ。しかもそれは武士でなくてもできる。」
「ああ。容易く下剋上が起こるな。資源も、力も迷宮で手に入る。子飼いを数人強くすりゃ、れべるあっぷしてない者なんざ手も足もでねぇ。」
「そしてそんなことしている間に飛騨とかから魔物が出てきておいしく食べられちゃう。もしかしたら熱田からもまた出てくるかも。」
「織田家で握れば、尾張平定の兵力と、田畑が整うまでのつなぎは十分叶うな。」
「そう、あの金属が何かわからないけど、鉄だったら武器も農具も作れる。そして、砂糖。」
「あれは高級品だ。南蛮からしか手に入らないと聞いてたが・・・」
「つまり、今のところ尾張の、織田家の独占販売ができるよ。高い値段で売ろうね!そしたら日ノ本中からお金が集まるよ。そして、お金が集まるところには・・・」
「「人も集まる」」
「そうなの。今人が減った尾張に人が集まれば立て直しも早まる。関東から避難してきた武家の人とかいたら取り立ててもいいかも。
昨日も言ったけど、魔物との戦は侍だけじゃなくて、尾張の国が総力を挙げて戦わなきゃならない。
だって相手は何もわからない魔物。夜は眠らないかもしれないし、補給もいらないかも。もちろん畑耕したりもしないだろうから、畑の様子が気になって士気が下がるわけもない。
想像してみて、そんな敵と、一年中、休む間もなく戦い続けること。
今までの準備で、そんなことできるわけないってわかると思う。」
「そうだな。だが俺たちが熱田でやったようにれべるあっぷすれば、長期間戦えるし小鬼に負けることなどない。気になるのは兵站、作物の生産だが、それも迷宮で何とかなる。」
「魔物との戦、条件を五分に持っていくためには、迷宮を利用しなきゃならない。
もっと言えば、迷宮を利用できなきゃ魔物との戦に勝つことは無理。
私の前世で知ってる強力な武器があれば、わかんないけど・・・」
「それは作れないのか?」
「私はただの事務員だったんだよ。あるのは知ってるけど、作り方なんてわかんない。時間をかけたら何か作れるかもしれないけど・・・。」
「あやふやな迷信にすがるのと変わんねえよな、それは。
それより、今できることを整えて兵を強くした方が絶対確実だな。」
「うん、さすがノッブ!私もそう思うから、兵の強化を兼ねて迷宮に人を入れていくのが必要だと改めて思います。
あっ、いくつか条件を付けてね?
魔物が落とした物は必ず持ち帰る事。
出入口で身体検査を受けて隠し持って出ることは御法度。
違反者は厳しいようだけど、死罪にするしかないかも。
でも、強くなった兵は武功をあげたものと見做して士分にとりたてるとかどうかな。
どうせ那古野から北は壊滅しちゃったんだから、そこを与えるとか?」
「・・・いきなりはマズいな。生き残りは結構いる。旧領奪還の機会を与えねば・・・」
「じゃあ、最初はそういうお武家さんから入れたらいいよ。自分で強くなれなきゃ治めても維持できないんだから。」
「・・・どういう意味だ?」
「うーん。当たってるかわかんないけど、そんな気がする。外の魔物って迷宮から沸いたでしょ?迷宮ってなんでできるんだろう?どこに?何もわかんないよね?」
「そうだな。」
「極端な話、今ここで私とノッブの間にいきなり迷宮ができてもおかしくないの。
さっき畿内に魔物がいないって言ってたけど、私、これ時間の問題だと思うな。」
「・・・つまり、迷宮を歩ける実力がない奴が領主だとふんぞり返っても、誰もついていかねえってことか。」
「少なくとも今の尾張の人間はそうじゃない?
多分集まってくる中にいる関東とか、魔物のせいで逃げてきた人たちもそうなると思う。だって、自分たちを守ってくれるはずのお侍様が鬼になすすべなくやられた結果だもん。」
「道理だな。」
「今の尾張なら、ノッブが認めた実力者、ってだけで大体の人は納得してくれるよ。
ノッブの強さはみんなが認めてる。」
「そうか。俺としちゃあ勘弁してくれって感じだが・・・」
「私もわかってるつもりだよ。
英雄がいれば何とかなるってとんでもない甘えだと思う。そんなに事は簡単じゃない。
でも、今の時代に限っては、ノッブみたいな英雄が必要。
世界が変わりすぎて、誰も先が見えない時にこそ、輝く英雄が灯になって皆を導く必要がある。
そうじゃなきゃ、皆右往左往するばっかりで滅びるしかなくなっちゃう。」
「俺が、英雄・・・灯に?・・・できるのか、そんなことが。」
「まっかせて!ノッブ一人に背負わせたりしない!私が一緒に考えるからね!
・・・あ、いや、残念な帰蝶ちゃんが嫌だったら、別にいいんだけども・・・」
「いいや、何度も言ってるぜ。俺はお前でいい。
いや、お前がいい。ずっと俺の隣にいろよ。」
「ひゃい、ひゃいいい!ほわあああ!!」
また会話だけの回ですね。
続きはすぐ投稿します。




