第19話「侍女の目にも涙」
水曜日なので第19話更新です。
えーと。
やっちゃったZE!
てへぺろ。
帰蝶ちゃん渾身の激カワてへぺろもこの時代の人には通じない。
すまぬな。私は先を行き過ぎているようだ・・・
気まずくてへぺろっていると信長が咳払いして
「気にするな。いいな?行くぞ。」
と言ってくれた。
さすノブ!新妻の失敗もすかさずフォローしてくれるなんてやっぱしゅきぃ・・・
護衛3名を先行させ、私は信長とおさきに挟まれて歩く。
ダンジョンの中はほの明るく、空気も澄んでいる。
きれいに切り出された石がぴちっと組まれた通路や壁は前世の駅の地下通路を思わせる。
この先に8番出口があったりしないだろうな。
異変があったら引き返すんだっけ?
ダンジョンなんだから異変しかないだろうに、引き返してたら何もできないよ。
3分ほど進んだら、さっそく第一村人(小鬼)を発見したようだ。
私もおさきもなぎなたを構え、もしもに備える。
やっぱり怖いけど、後ろに信長もいるし、震えは最小限だ。
ただ、違和感がある。
臭くない。外で見たときはあんなに臭かったのに。
ダンジョンの中にお風呂があって小鬼はちゃんとお風呂に入ってるんだろうか。
考えてもわからんし聞ける人もいないので私はそういう事にしておくことにした。
「慶次!」
「おう!」
信長が声をかけ、慶次が前に出る。
ぶっとい槍を手にした慶次は悠々と警戒の姿勢で構える小鬼に近づき、サクッと突き刺す。
その瞬間、小鬼が消えた。かちん、と音が鳴った気がした。
「え。消えた?」
おさきが驚いたように言う。
「侍女殿、迷宮の中で鬼を殺すと死体が消えるのですよ。」
久助(滝川一益)がニヤニヤしながら言う。
「そんな、そんなことがあるのですか?いったいどこに消えるというのです。」
「そういう風になってるんだよ、おさき。そういうもんだと思うしかないよ。そうだよね、ノッブ?」
興奮でまたも姫ムーブを忘れ去った私は普通に素で信長に声をかけてしまった。
「ノッブ?」
犬千代くんが眉をひそめて言う。
「あ、えと、オホホ。ついね、まあ、その、えっとその、なんだ。驚いてしまいまして、オホホ。申し訳ございません」
呆れたようにため息をついて信長は
「あーもういい帰蝶。こいつらの前では取り繕うな。めんどくせえよ。」
「えっいいの?」
「よくありませんよ!三郎さま、姫様を甘やかさないでくださいませ!姫様、家臣の前で姫むうぶできないでどうします!」
「そんなこと言っても、ここダンジョンだよ!!取り繕うなんて無理!鼓動が16ビートを刻んでいるの!触って確かめてもいいんだよ!」
「さっきからダンジョンとは何のことなんです!ここは迷宮ですよ!」
「迷宮の事をダンジョンって言うの!南蛮の言葉!興奮せずにいられるか!パンダも笹喰ってる場合じゃねえって走り出すレベルだよ!」
「ああもう、おさきは今ほど姫様がわからないと思ったことはございません。もうどうしたものか・・・」
「あう、ごめんよぉさき・・・私ってばついね、ごめんよぅなかないでぇ・・・」
「二人とも、ここは迷宮だぞ。少し落ち着けよ。」
「そうはいってもぉ・・・」
わいわいと緊張感ゼロで言い合う私たちに
「ぶふぅっ!こ、これは!我らが三郎殿の嫁さんは旦那に負けず劣らずの女傑だな!はははは!」
「ククク・・・笑うな慶次。姫様だぞ。」
「久助殿も慶次もわらってるじゃねえか!しつれーだぞ!」
護衛の3名が盛大にふきだす声が聞こえた。
それを聞いた信長はバツが悪そうに言う。
「見て分っただろ?こういうおもしれー女だ。取り繕うこともすぐ忘れるうつけだが、とんでもねえもんを持ってるぜ。俺の嫁にふさわしいだろ?」
「ちげぇねえ!姫さん、おれぁあんたが気に入ったぜ。安心しな。無事にここから出られることはこの前田慶次郎が請け負った!」
「この滝川久助も、姫様の御身をお守りします。あとの二人はちと頭が抜けとりますが腕は保証します。ご安心を。」
「おれも、殿の嫁さんまもるぜ!あ、まもります!お任せください!」
ほわあああなんだこれ急なハーレム展開でござるよフヒヒ!
私こういうのが真の姫ムーブだと思うの!
おさき睨まないで!信長の嫁だからだってよくわかってるから!
「あ、ありがとうね!私マムシの娘でノッブの嫁の・・・フヒヒッ・・・あ、帰蝶です。その、お姫様らしくないけど、よろしくね?」
とりあえず優雅にお辞儀。
信長の嫁って自分で言って笑っちゃったけどそれはしょうがない。
うれし恥ずかしなのだからしかたかないのだ。
みんなは「はっ!」ときびきびとお返事。
すげえ私姫様みたい。
でも挨拶は迷宮入る前にやっとこうよ私。
おもったより明るいしどんより感もないのでついほのぼのとしてしまったが、重大な検証がある。
「えーと、さっそくなんだけど、さっき倒したゴブリ、ああ違った小鬼が消えたあたりに、なんか落ちてたりしない?」
「何を言って・・・」
「んー?あったぜ姫さん。小石・・・いや金物か?なんだこれ?」
慶次が何かを見つけたらしい。
拾って私の手に乗せてくれる。
それは、
鈍く光る、親指の先ほどの金属だった。
信長がのぞき込んで言う。
「これは、なんだ?鉄か?」
「わかんないけど、金属だね。・・・もっと興奮してきたよ!次行ってみよう!!」
「はっはっはっは!姫さんは豪胆だな!三郎殿!よい嫁を貰いましたな!」
「かわいいだろ?おれぁほんと運がいいと思うぜ。」
か、かわわわ、かわいいって!もう!こうやっていっぱい女の子泣かせてるんだな信長てば!!しゅきぃ・・・(チョロイン)
「はわわ、ってそれは今はいい!さあ次行くよ次!!」
皆の背を押しながら先に進む。分かれ道が見えてきて、小鬼が3匹ウンチングスタイルでたむろしている。
ここはコンビニ前だった?
ついでにやっぱり臭くない。ダンジョン内のゴブリンはきれい好きなようだ。
「いたー!さあみんな!やーっておしまい!」
大声を張り上げて指さす。
久助が小太刀を逆手持ちして静かに走り寄り、一気に首を切り裂く。
慶次は走った勢いそのままに顔面にヤクザキック。えぐい。
犬千代くんは槍を構えて大ジャンプし、脳天に槍を突き刺した。
一方的すぎてなんか悪いことしてる気になる。
信長は当然だと言わんばかりにニヤついてる。
そして、コンビニ前でたむろしている不良はあっさり討伐され、また死体は煙のように消え去った。
「また消えた・・・本当に不思議・・・姫様、私は夢でも見ているのでしょうか・・・」
「現実なんだよ。これが現実。変わっちゃった世界はこういうものなの。なれないと、生き残れないんだよ。」
「姫様・・・」
「そのとおりだな、帰蝶。それで、次はどうするんだ?」
「あ、そうだ! ねえ、三人とも!今やっつけた小鬼のいた場所に何か落ちてない?」
「なんか袋落ちてる、あ、落ちてます姫様!!」
今回は犬千代君だ。
持ってきてくれた袋を開けると、お米が入ってる。大体1合くらいか。
「キタキタキタキタキターー!!これだこれ!これでナーロッパにできる!ノッブ!私たち勝てるよ!!」
「落ち着け帰蝶。小鬼が持ってた兵糧がどうしたっていうんだよ。」
「ノッブ!これはね、「アイテムドロップ」という現象なのです!!」
「あいてむ、どろっぷ?」
「言葉はこの際どうでもいいの!まだもう少し検証したいけど!
ダンジョンでバケモン倒すと、お米とかをバケモンが落とすの!」
「それは、妖が持ってる兵糧で・・・まて、そもそも妖は迷宮のどこからくる?湧いてくるとしたら・・・」
「もっと調べないとだけど、物資が無限だよ!しかも兵が強くなる!」
「・・・まずいぞ帰蝶、これはまずい。」
「でしょう!?だから織田家でダンジョンのすべてを握る必要がある!」
「これが確かめたかったことか?」
「そう!これが一番知りたかったこと!・・・まあ細かいことはあとあと!さあみんな!どんどん小鬼を倒そう!!死体が消えたら何か落ちてないかよく見てね!!」
全部は無理だろうけど、何がドロップするか可能な限り確かめるんだ!
体感数時間後、第1層のほぼ全域を回って小鬼どもを倒して回った。
護衛たちが。私とおさきは後ろで見てるだけだった。
集まった物資は、謎の金属片20個、お米3升、お塩6合、麦4升と3合。お砂糖が5合でた。
最初は謎の小袋に入った白い粉で、舐めようとしたらおさきにはたかれた。
「おさきは美濃にかえりとうございます」と泣かれたときは土下座してわびた。
信長は「毒かもしれんし、帰蝶が舐めるのはやめとけ」というし、言われてみれば確かにそうだった。
うかつですまん。
結局体が大きくて腹が丈夫だという慶次が舐めて、砂糖だという事がわかった。
塩も出たんで同様に舐めて判断。
すまん慶次。君の献身は忘れない。
そして。
そして!!
ガラスの小瓶にはいった青っぽい謎の液体。
あれだ。多分。飲んでみないとわかんないけども。
前世のコンビニ前でクソマズいナニコレと言いながら飲んだアレを思い出す色。
よくあんなもん企画して通したもんだよ。
そんだけ有名なゲームだったからね。
ファイナル〇ァンタジー。
その代名詞的アイテム。
ポーションがドロップした。
ポーション飲んだことある人はきっと私と同年代。
おいしくなかったよねアレ。
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