第18話「姫ムーブはかなぐり捨てるもの」
火曜日です。今日も更新第18話です。
うひょほほほほひひほほひょひょひょ
ニヤニヤが止まらない。
今日は待ちに待った迷宮視察の日だ。
迷宮に特攻と宣言した朝チュン未遂のあの日から3日たってる。
本当はその日のうちに行きたかったけどもさすがに許してくれなかった。
あのあとギャン泣き&駄々っ子どうぶつと化した私に根負けした信長とおさきは、
・絶対に前に出ないこと
・護衛から離れないこと
・おさないこと
・かけないこと
・しゃべらないこと
などを条件に私のダンジョン視察を許してくれた
じつはうろ覚えだとは口が裂けても言えない。
お墓にまで持っていく秘密という奴だ。
それら条件と一緒に護身用の短刀となぎなたの訓練もすることになった。
何が起こるかわからないので当然の事だ。
私だってマムシの娘。なぎなたの訓練はやってるよ。
なぎなたがクソ強いおさきの熱血指導でメンタルがヤバいことになりながらね。
私の身体能力は高いのだ。
素振りをするとブオンブオンと風を切る音がすごいんだよ。
メジャーも狙えるレベルのスイング力。
ただ、なんでか知らないんだけど巻き藁にはあたらないんだよね。
多分草野球にでても「草」といわれるやつ。
まあそんな感じでなぎなたの復習をしつつ待って、ついにこの日が来たのだ。
お馬に揺られて熱田に来た。お尻が痛い。
熱田は一面焼け野原だ。
迷宮の入り口熱田神宮にあるんだけども、前世で訪れた荘厳な建造物は影も形もない。
あれ昔っからあの形だって聞いてたんだけどな・・・残念でならない。
荒れ果てた境内に、こんもりとした土の山があって、そこに石組みの穴が開いてる。
ドラ〇エの洞窟みたいだ。
馬車は入れないのか。入れ替えコマンドが使えないのは厳しいなあ。
いよいよ迷宮に入る。正直ワクワクが押し寄せてきている。
小鬼や大鬼がいると思えばとても怖いが、ナーロッパのためには必要なんだ。
ちなみになんで私が強硬にダンジョン行きを主張しているのか、詳細はまだ誰にも話していない。
余計な期待を持たせたくなかった、というよりももし違ったばあいの腹案が無いのだ。
腹案を考えるよりも実際に確かめた方が早くね?と思ってしまったので信長とおさきにメタクソに怒られる羽目になったのは慙愧に耐えない。
誠に遺憾である。いかんでしょ。
それに、ほら。
ダンジョン探索ってワクワクするじゃん。
泣いてる場合じゃない!
今の私はノーテンピーカン頭がさえているのだ!
というわけで勇んで迷宮に第一歩を踏み出そうとした私の頭と肩ををおさきと信長がわしづかみにして止める。
や、やめろよう、痛いじゃないか。
「後ろにいろと俺は言ったはずだぞ、帰蝶。」
「そうですよ姫様。お約束を忘れたのですか?」
覚えてないです!と元気に言ったら石を抱かされて正座させられそうなのでオホホと笑って護衛の後ろに立つ。
護衛メンバーの名前を知った私は奇声をあげそうになったが踏みとどまってまたオホホと笑った。
今日は姫ムーブ仕事してる。
なんと護衛メンバーはあの滝川一益と前田慶次、そして信長の小姓を務める前田犬千代くん(9歳)。後の前田利家である。
いやこの騒動で家臣団もしっちゃかめっちゃかなのはわかるけどこんな子供つれていっていいんだろうか。
いぶかしげに見ていると信長がニヤリとして
「こいつらは最初の熱田についてきた兵でな。2日戦い続けた者たちだ。大鬼程度なら蹴散らせる。安心しろ。」
という。
マジかよ。犬千代くんも?
完全にショタだよ。半ズボンはいてトンボ追っかけたりカブトムシVSクワガタの勝負に全力を注いでそうな男子児童でござるよ?
「姫さま!姫さまと殿はオレがお守りしますから、安心してくれ、ください!」
ほわああ、ショタが胸張ってるぅかわええ!
あかん私はショタコンではない。
しかしおねショタの波動が並行宇宙からオネショタアァ・・・と到達している気がする。
乗るしかない!このビッグウェーブに!!
・・・いかん、私は人妻(新婚)だった。
そういうのはいけないと思うの。
というわけで無事踏みとどまったのであった。
滝川一益は20代前半くらいの青年で、なんかニヤニヤしてる。
仮名は久助さん。
前田慶次は信長と同じくらいの年で、なんかムスッとしてる。
どうも、歓迎はされていないようだ。
ま、関係ないけどねえ。これは必要なことだから。
涙目になってないので何の問題もない。
ホントだよ?
そしてなんかついてきたおさきを入れた6名で迷宮に潜る。
おさきは私よりよっぽどなぎなたがうまいので盾くらいにはなってみせると言って付いてきたのだ。
普段からそういう忠誠心を見せてくれればいいのに、なんでこんな危険なところに・・・
とは思うが、実は都合がいい。
ナーロッパ化には、女性もレベルアップしておいた方がいいからだ。
父ちゃんも言ってたけど、いつどこで魔物が噴出するかわからないのだ。
たぶん迷宮から噴出するんだろうけども。それだって熱田だけかもしれない。
何もわかってないんだ。
そうなった時、できれば防衛できるよう後方の人たちも武力を持つ必要がある。
それはすなわち、女子供だ。
レベルアップすれば子供でも戦えるっていうのは犬千代くんを見ればわかる。
なら女の人だってできるはず。
それは、私も同じ。
今日の目的の一つに、私自身のレベルアップがある。
信長の妻として、私は強くあったほうがいい。
私はそのうち女性も迷宮に投入するつもりでいる。
反発は覚悟の上だ。
でも必要だ。
その時、私は入ったことありません!姫だから!
・・・いくらなんでも通らないだろう、それは。
だから、私がレベルアップの先頭を走る必要があるのだ。
・・・とまあいろいろ理屈付けてるけど、単純にレベルアップとかしてみたいじゃん?
言ったら多分逆さづりで水桶に漬けられるだろうから言わないけどさ!
要は、姫ムーブでしずしずと付いて行ってあとは流れで私のなぎなたがうなる展開で行くのだ!
今は男の戦場に女が入ってくんな、と言わんばかりの一益や慶次も、「さすが姫様!さすきちょ!さすのぶ!」と称賛してくれるに違いない。
そこからの姫ムーブで可憐に彼らの心をつかむんだ。
そしてついに迷宮に足を踏み入れた私は
「ほ、ほ、ほああああああああああああーー!!!ダンジョン!ダンジョンキタコレ!!明るい!おもったより埃っぽくない!!すっげこれすっげ!!ひょおおおおわー!私ダンジョンにいるよ!帰蝶ちゃんの冒険がここから始まる!!」
さっそく姫ムーブをかなぐり捨てて、白い目で見られているのであった。
帰蝶ちゃん、姫ムーブ向いてないよ。
よければ評価やコメントくれると私が喜びます。




