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第15話「無名戦士」

日曜日なので第15話。

相変わらず会話文です。


第15話「無名戦士」


「私の前世で読んだ物語に、頻繁に出る言葉、というか、概念がありました。

「レベルアップ」と言うの。」


「・・・どういう意味だ?」


「南蛮の言葉で、「格が上がる」という意味かな。

いろんな物語でいろんな描き方をされてたけど、総じて言えるのはそれが起こると、人が強くなる。」


「・・・俺や俺の部隊の兵に起こっていたことだな。2日も飲まず食わず休まず眠らずで戦い続けられたのはそのせいだと。」


「おそらくそう。そしてその条件は、物語でもそうだったけど・・・」


「「妖を殺す事」」


言葉がそろった。


「もしかしたらそれだけじゃないかも。考えたくもないけど、人を斬っても上がる可能性はある。でも、それだけじゃなくて。」


「・・・迷宮か。」


「・・・うん。ノッブの話を聞いて思った。もしかしたら、迷宮の中で戦うと外より早くレベルアップするんじゃ、って。

だってただ小鬼を倒せばいいなら尾張の兵士みんながノッブみたいに強くなってないといけない。でもそうじゃない。

・・・ノッブの強さは、迷宮の中で大鬼を退治したからだと思う。」


「・・・まだ途中だったな。

俺らは大鬼を倒した後、殿軍しんがりを務めた兵らの遺品を探したが、見つからなかった。

何もだ。

階段の先に逃げたのかと、階段を下りて捜索を続けた。・・・階段の先もまた迷宮で、俺や配下の兵たちはそこにはびこる鬼どもを切り伏せながら捜索に当たった。

迷宮は狭いからな。俺と5名の兵で回ることにしたんだ。

大人数で進んでも動きにくいから。」


私とおさきは黙って聞く。

これは、聞かねばならない話だ。


「何度も外と迷宮を行き来し、兵を入れ替えながら捜索を続けた。・・・誰も見つからなかったよ。持っていた槍も、鎧のかけらも、髪の毛一本すら。

そして、地下5階をすべてまわり、地図ができた。

・・・もう探す場所がない。だからあきらめがついた。

気づいたら、3か月たってたよ。」


・・・すごい話だ。この人は随行する兵を入れ替えながら、常時迷宮に潜っていた。

信長ノッブの強さは、この経験が作ったんだろう。


「最初から最後まで、一緒に迷宮に潜った人はいた?」


「・・・いや、いない。俺以外は順番だった。

あんまり危険なので生き残りの兵だけだったがな。

入ったことない奴は足手まといなんで連れて行かなかった。

そもそも迷宮どころじゃなかったしな。

俺のわがままみたいなもんだよ。

・・・この点では、信秀オヤジには感謝してる。

良く許してくれたもんだ。」


殿軍しんがりになった人たちは、どういう人たちだったの?」


聞いておかねばならない。

この英雄ノッブを作ったのはその63名だ。

信長ノッブがいなかったら私も死んでいた。

感謝してもしきれない。


「・・・伝八郎は、農家のせがれで、3男だった。兄貴たちも親父もひでえ奴らでな、良く殴られてた。俺が城を抜け出して遊んでたらあいつが殴られた顔を冷やしててな。俺が手伝って兄貴たちをぶん殴りに行ったんだ。

返り討ちにされてなぁ。それ以来二人で鍛錬を積んで、あの兄貴たちに勝った時はうれしかったなぁ。平手のじいにはめちゃくちゃに怒られたもんだったが。

清は絵がうまくてな。よく平手のじいの滑稽な似顔絵を描いてはみんなを笑わせてくれたんだ。

四郎は武芸がほんとに強かった。背が高くて、俺たちの誰も相撲で勝てる奴はいなかった。

峰助は小さい癖に足がとにかく早くて・・・」


遠くを見るように語る信長ノッブ

私もおさきも涙が隠せない。

・・・幼馴染だったんだ。

うつけ時代の信長が、何より大切にした友達。

歴史上、重要な役目を果たした人もいたのかもしれない。

でも死んでしまった。

迷宮とかいう、理不尽な何かのせいで。


「・・・あいつらが死んだおかげで、今俺はここにいる。

将の役目は生き残ることで、兵の役目は将を逃がして死ぬことだ。

それはわかってる。

分ってるが、納得いくわけねえだろ。

なんであいつらは死ななきゃならなかったんだ?

帰蝶、何かわかるなら教えてくれ。あれはいったい何なんだ。」


「その正体が何なのか、それは私にもわからないよ。

いろんな物語でいろんな理由でああいうのが現れてた。

でも、物語の中で、人はレベルアップして人に仇なすバケモノに対抗していたの。

だからね、ノッブ。兵を迷宮に入れて、強い軍隊をつくるの。まずはそれが第一歩。」


「それは俺も考えていた。だが・・・」


「強くなりすぎた兵が謀反を起こす。でしょう?」


「そうだ、それはどうする?」


「今はね、緊急の時なの。現時点で最強なのはノッブだと思う。ほかの人を知らないけど、多分そうだよね。だから、ノッブが押さえつける役をするしかない。」


「しかし、それでは俺が常に前に出なきゃならん!そんなのは・・・」


「そう、そんなのは長く続かない。

熱田の鬼をやっつけたとき、2日戦い続けたって言ったよね。

それ、あと何日続けられたと思う?」


「その時は疲れも感じなかったし、何日でも、とは思ったが・・・信秀オヤジたちが来た後補給を受けたらとにかくたくさん食って寝たな。

そう考えるともう何日も戦い続けられるなんてことは無かったのか。」


「そこだよ。いくら強くなっても、ずっと戦い続けられない。

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レベルが上がって継戦能力も上がるんだと思う。

でも人のままだからご飯食べないといけないし、眠らないといけない。

そうしないと死んじゃうからね。

だから、謀反が起こっても、抑えられれば兵糧攻めができる。

食料を握れば、とりあえずは抑えられる。

ノッブがいれば何とかなる。とりあえず今は。」


「その先があるんだな。」


「うん、ねえノッブ、織田家は今尾張の大名といってもいい存在だよね。その権力の源泉って何だと思う?」


なんやかんやで1週間連続投稿できました。

こんな説明だらけの文章読んでくれてありがとうございます。


ちょっと内容的に長くなったので分割した16話はすぐ投稿します。

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