第12話「帰蝶ちゃん は こんらんしている!」
花金(古いしもう土曜日)なので第12話です。
コマンド?
信長はニヤニヤ笑いながら私のそばに来てドカッと座った。
私は固まっている。
「ののののの・・・」
言葉が出ない。おさきが「姫むうぶ!姫むうぶ!!」と女将ばりに囁いてくる。
ぐぬぬぬ!うなれ私の姫ムーブ力!
ここでやらなきゃいつやるんだ!?今でしょ!
「しゃ、三郎さま!ごごごご心配をおかけえしてぇ、まことにあいすいまてぃえん!」
なんか嚙んだような発音がおかしかったような気がするがまあ誤差だ誤差。
私のパーペキな姫ムーブを見た信長は
「なんだ、もうノッブとは呼んでくれねえのか?」
とドチャクソイケメンファイナリスティックストームVX―2であった。
私は心がガッシボカッされて頭がフットーシチャウヨォ!となって死んだ。
スイーツ(笑)
「おさき、また止まってしまったようだぞ?」
「申し訳ございません。叩けば動くと思うのですが」
昭和のテレビちゃうぞボケ!
あれ電気屋さんもなんやかんやで最後には叩くから実際効果がある。
でも帰蝶ちゃんは美少女なので叩いてはいけません!
バカになったらどうすんの!?もうバカだってやかましいわ!」
「おお、動いた。」
「段々慣れてきたようです。三郎さま、大体こんな感じの姫ですがよろしくお願いします。」
軽くない?我姫ぞ!我姫ぞ!信長もさあ!嫁なんだからさあ!大事にした方が良いと思います!泣いたらどうする!うちの父ちゃんマムシなんだぞ!怖いんだぞー!」
「ああ、マムシ殿は怖いな。だが帰蝶。お前のもつ考えの方が俺は怖いと思うぜ?なーろっぱとはなんだ?最強無敵ろぼ軍団とは一体?興味が沸いて沸いてしょうがねえよ。」
あ、は?え?
「姫様、大体口に出てますよ。三郎さまは姫様を大変気に入ったようでございますよ。ようございますね、とてもおせるどちゃくそかっこいいいけめんが旦那様で。」
「どういう意味かはわからんが褒められてることはわかるな。本当におもしれー女だぜ。」
「まっじかよイケメンて本当におもしれー女っていうのな!やっべえ超感動!帰蝶ちゃん前世から含めて初めて聞いた!アニメの中だけだと思ってた!」
「だから姫様、姫むうぶしてくださいませ。意味わからない言葉が駄々洩れですよ。」
「駄目だよおさき!感動と驚きで姫ムーブなんてやってる場合じゃねえ!
はわーイケメン激推し信長がおもしれー女発言最高だわー尊い・・・ありがたやありがたや・・・・・・・・・・・・?」
その時歴史が止まった。
いや私の周りだけ。
「あの、おさき・・・?わたくし、あの、わたくし、その、いまの、全部、その、口に・・・?」
緊急姫ムーブ。まさか。私ったらまさか。
「すべて口に出ておりますよ。わざとじゃないんですか?」
光の速さで土下座。
「もももも申し訳ございませぬ三郎さま!わたくし大変取り乱しておりました!どうか離縁は!婚約破棄はおゆるしください!平和な尼寺に野蛮なオークの群れが!展開で泣いたり笑ったりできなくなるのだけはお許しくださいましぇええええええ!」
そして大笑いする信長。やっべこれやっべ。
これから断罪されるかもなのにイケボすぎてうれしい。
尊みがすごい。
耳が妊娠しかねないレベル。
心底呆れたようにクソでかため息をつくおさきが信じられん。
あんたこんなイケボ聞いて平気なの!?」
「はあ、それはまあ。三郎さまは主君ですので。平常心でいれば何てことないですよ。」
ほわああああああまた口にでてたああああああ!
私のバカ!お馬鹿さん!どうしてこうなんだろう前世でもそうだった。興奮して我を忘れてしゃべり倒してドン引きされて・・・もうトイレでご飯食べるのはいやでござる!ああでもトイレの静けさが今は何もかもみな懐かしい・・・帰ろう、トイレへ。あの約束の地へ・・・」
「トイレが何かはわからんがとても寂しいことはわかるな。お前の前世はどんなだったのだ?」
えーと、事務員で、オタクで、友達あんまいなくて、でもオタクで・・・目を見て話せなかったり恋を知ったり知れなかったりしたなぁ・・・えへへ・・・目から汗が出るや。これは汗だから良いんだもん。泣いてないもん。」
「ああ・・・意味は分かりませんがそのせいで美濃の姫ともあろう方がこんな・・・申し訳ございませぬ三郎さま。これは寺に入れてお祓いを受けねばなりませぬね。」
生まれ変わったら姫だったんだもん!私に姫なんて無理だよう!
信長に気に入られて内政チートして面白おかしく暮らそうと思ってもいいじゃん!
・・・なのにさあ!
急に戦国死にゲーみたいになってさあ!
いっぱい人死んでるみたいでさあ!
だれも何もわかってないみたいでさあ!
小鬼はゴブリンみたいだし、大鬼はオーガじゃん!
レベルアップもあるし、まるでなろうじゃん!
でも戦国時代じゃん!
このままじゃ父ちゃんも母ちゃんも稲葉山のみんなみんな、あの鬼に頭からバリバリ行かれちゃうじゃん!
そんなの嫌なの!
だから!!
だからこの世界をナーロッパにしないといけないの!
そうじゃないと安心して暮らせない!
それができるのは多分私だけなの!
知ってるのは私だけ!
他にもいるかもしれない!
でもそれが農民だったら?商人だったらどうすんの?
下剋上だらけで結局みんなつらい思いするじゃん!
それであの鬼ども何とかできんの?
もっと強い、ドラゴンとか出てきたらどうすんのよ!
魔王とか出たら?
都合よく勇者や聖女が出るかわかんないじゃん!
・・・だから、だからさ!
この世をナーロッパにするしかないじゃない!
強い騎士団つくってさあ!
冒険者ギルドも作ってさあ!
錬金術師も魔法使いもできれば育ててさあ!
悪役令嬢も、ざまあされる平民ビッチも、王子もさあ、ぐすっ・・・いられるようにしてさあ・・・
わけわかんないバケモン・・・ずびっ・・・ぶっ殺せるようにしなきゃだめなんだよう・・・
それをわかってよぉ・・・
怖いんだよぅ・・・うぐぅ、ぶえ、おえぇ・・・」
テンパった私は気づいたらクソ汚い泣き声をあげながら全部全部ぶちまけていた。
信長の魔力って怖くね?
帰蝶ちゃんはテンパると大体口に出ちゃう系ヒロインなのだ!




