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ある週末。のぶの報告をうける博之

その週の終わり。

二軒目で、のぶが帳面を広げた。

指で押さえながら、静かに言う。

「弁当は……二十ずつ、出ました」

「外の売り子も、十」

「全部、はけてます」

博之は、帳面をのぞく。

数字は、嘘つかん。

「団子は?」

「……五百文ほど、溶けました」

一瞬、間。

せやけど、博之は顔を曇らせへん。

「割引は?」博之が聞く。

「週で、五百文くらいです」

「値下げと、五人来たら一人無料」

「計算したら、その程度です」

博之は、帳面を閉じた。

「安いな」ぽつりと、言う。

「宣伝やと思えば、十分や」

「団子も、割引も」

「食うてもらわな、始まらん」

のぶが、少し考えてから言う。

「今日も、昨日来た人が来ました」

「弁当、また買うてくれました」

博之は、うなずく。

「それでええ」

「割引やお得で、うちのもんを食うた人が」

「また来たくなったら、勝ちや」

帳面の端に、小さく丸をつける。

損でも、儲けでもない。

続いた、という印。

路地裏の二軒目は、まだ静かや。

せやけど、顔は残った。

味も、残った。

博之は、立ち上がりながら言う。

「次は、引かんでも来る人を

 増やす番やな」

灯りは、まだ強ない。

せやけど、消える気配も、

もうなかった。

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