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答えの日 ――売れた数は、嘘をつかん

翌日。

昼の山が過ぎ、店の前が少し落ち着いた頃。

のぶが、箱の中を確かめて言った。

「……弁当、二十」「卵、十五」

ヒロユキは、顔を上げた。「全部か」「はい」卵の箱は、

きれいに空になっていた。弁当は、二十個で止まった。博之は、少し考えて

から言った。「元々、十個しかやってなかったやろ」

「それが二十売れた」「それだけ、欲しかった人がおったいうことや」

のぶは、小さく頷いた。

「卵は、全員分なかったですね」「せやな」

「足りへんくらいが、ちょうどええ」

 その時、帰りがけのおっちゃんが暖簾をめくって言った。

「兄ちゃん」「さっきの、あれ」「うまかったで」

 それだけ言って、手を振って帰っていった。

 少し遅れて、別の客がぼそっと言う。

「卵、もうないんか」

「ありゃ、惜しかったな」

 その客は、弁当だけを手に取って、

 少し残念そうに出ていった。

 夕方。のぶが、ぽつりと言った。

「卵」「だし、効いてたって言われました」

「隣の大根おろしも」「憎い心づけや、って」

 ヒロユキは、鼻で笑った。

「言い回しが渋いな」

のぶは、続ける。

「弁当は」「そりゃうまいけど」

「味噌が中心になるから、ちょっとくどくなるって」

「そこに卵入ると」「味がマイルドになる、って」

 博之は、腕を組んだ。「なるほどな」

「卵は主役やない」「調整役や」少し間を置いて、言った。

「これは」「いけるな」

 のぶも、同じ顔をしていた。

「弁当は、二十個のままで」

「卵は……」「二十、いこか」

「しばらくそれで見よ」

 二人で、頷く。

 売れた数は、正直や。

 余らんかった卵。倍になった弁当。

 足りなかったという声。うまかったという一言。

 全部、同じ方向を向いていた。

 今日は、答えが出た日やった。

 次は、数を整えるだけや。

 店は、また一歩、前に進んだ。

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