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92話「母子の交流の為に」

 異世界に戻ったらダンジョンやら酒場やら綺麗な景色やらの写真をもっと撮っておこう。

 せっかくイケメンも美女もリアル冒険者もいるんだし。

 写真集みたいなのをもっと作ろう。デジタル本なら印刷費もいらないし。


 などと決心しながら洗濯物を回しつつ風呂に入ったりした。



「いつの間にやら年末……あとは正月……ではなくてあちらだと屋敷で騎士達を集めて新年の宴の準備があるか……」



 寒くて移動が大変な冬は基本的に社交シーズンではないから、星祭りのみ異例な感じだ。

 基本的に近い地域の貴族か転移魔法陣やスクロール移動可能な高位貴族が来る感じだ。


 風呂から上がって、洗濯中の服を乾燥機にぶちこんで、通販で欲しいものをタブレットでポチっておく。


 受け取りは置き配だけど、姉が様子見に来たら家の中に入れて置いて欲しいとコタツの上にメモを残す。姉は鍵を持ってるから、これで大丈夫。



 エロテク本と春のパーティーの招待状のプリントしたやつの最終確認を終え、ベッドに入って一眠りしたら朝に起きて、簡単なインスタント味噌汁や姉から貰った白身魚フライ弁当をチンして食べてからダンジョンへ戻った。


 ◆ ◆ ◆


「ただいま……」

「お帰りなさいませ」



 本日は出迎えがなかった上にまだアレンシアはベッドの中だとメイドに聞いたので、アレンシアの部屋まで来た。



「ほら、これがご要望の本だよ」



 昔のケーネストとは触れ方やテクニックが違いすぎた為、ダンジョン先での風俗通いを疑われている俺は、手づくりの本をアレンシアに手渡した。


 秘儀伝授というタイトルすら読めないだろうが、アレンシアはくそ真面目な顔をして桃の写真が載っている表紙をしばし眺めてからいを決して中を開いた。


 文字が読めずともそれッポイ本だと分かるように、エッチな絵や写真まで入ってる為、妻の顔は段々赤くなっていく。



「読めませんから、 まだ完全には信じてません!」


などという返しが来た。


「そ、そうか……」


 わざわざ製本までしたけど、仕方ない。


「と、ところで春のパーティーの招待状の方はどうなりましたか?」

「ああ、それはこっちだ」



俺は便箋風の紙とカードの二種類を印刷してきたので、それを手渡した。


「綺麗ですね」

「だろう? 更に シールなんかでデコってもいいぞ」

「シール? デコ?」

「ああ、このようなシールで飾ってもいいぞと言った」


 100円均一で仕入れてきた可愛いくて綺麗な花等のシールやリボン、両面テープや接着剤などをアレンシアに出して見せた。



「まあ、可愛いらしい……お花とリボン」

「シールとかを貼るだけならミルシェラと一緒にやれるだろう?」

「ミルシェラと招待状を?」



 おそらく妻には招待状は大人が作る物という認識しかない。



「娘と招待状作りの工作もいいじゃないか。思い出になるかもしれないし、ミルシェラもママと一緒で喜ぶだろう。私も以前、真珠を取り出す作業を一緒にやったし」

「そう言えばあなた、そんな事をミルシェラとされていましたね」


「そうそう、ミルシェラも招待状の文面とかが学べるし」

「それは……悪くありませんわね、パーティーの招待状を書くのは屋敷を取り仕切る夫人の仕事ですから」



 俺は母子のほのぼの工作時間をイメージしていたが、妻的には教育になると考えたらしい。

 まぁ、母子のふれあいタイムになるなら、それでもいい。


 ほっとくと貴族社会の夫人と子供は他家に早めに嫁がされても泣かずにやれるよう、あまり交流しない。

 食事や勉強の成果などの報告をさせる茶の時間、ドレス等の買い物の時などで交流する程度。


 たまーに一緒に旅行したり、春や秋に庭の散歩程度はしたりはするだろうが、本の読み聞かせも乳母やメイドのような存在がする為に……母子の交流は平民と違ってかなり少ない。


 俺的には子供のうちからしっかり愛情をかけてやりたい。


 将来、原作通りに子供の頃に貰えなかった分を取り戻すように愛情に飢え、しょうもない男からの愛情を必死で得ようと犯罪まで犯すようにはなって欲しくはないから……交流時間を増やしてやりたいと思ってるんだ。










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― 新着の感想 ―
中世の日本も戦国武将たちや皇族って親子関係って薄かったようですね。それだからこそ、親子、兄弟で殺し合いしてましたからね。まぁ、溺愛しすぎるというか、おかしな関係もありますけど、、そうした道徳的環境が無…
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