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遅刻して来たユング公爵夫人

「侯爵夫人、遅れて申し訳ありません。本日はお招きいただきありがとうございました、こちらお土産のお茶となっております」


 遅刻してきたユング公爵夫人があらわれた。

 彼女は原作に出てきてて、かつヒロインと交流のある美人だから覚えてる。


 我が国には公爵家は三つあるので、ユング公爵家はそのうちの一つだ。



「まぁ、ユング公爵夫人、こんなに沢山ありがとうございます、妹様がご懐妊されたとか? おめでとうございます」


「はい、それで妹が沢山懐妊祝いのお茶をいただいたそうで、飲みきれないからと私にも沢山くれたのですが、侯爵夫人もお茶が好きだと伺いましたし、よければ貰ってください」 



 なるほど、お裾分けか。

 

「嬉しいですわ、何のお茶ですの?」

「紅茶にジャスミンティーにレモングラスに……」



 !?



「ちよっとお待ちください!」



 俺は聞き捨てならなかったので、思わず席を立って声を上げた。


「はい? 公爵様、何かございまして?」



 困惑する茶会の主催者たる候爵夫人。



「あの、ユング公爵夫人の妹さん、いえ、ユング公爵夫人の妹君が妊娠されたと聞こえたような気がしますが」

「あ、はい、そうです」



 俺の言葉に頷くユング公爵夫人。



「それでお祝いにお茶を沢山いただいたと?」

「はい、何かおかしなことでも?」



 ユング夫人は不思議そうな顔で俺を見てる。

これはわざとではなく、知らなかっただけど思いたいが……。



「カフェイン入りのお茶には子宮収縮作用がございますので、妊娠中は避けた方がいいのです。流産のリスクが高まりますゆえ」

「え? 流産!? カフェイン!?」


 青ざめるユング夫人。

 そしてこれはお茶の成分のカフェインなどわからないって顔かな。



「そのお茶達は本来は体にいいものばかりですが、妊婦の体にはよくない成分が混じっているのです。多分ハーブに詳しい者や薬師なんかでなければ知らない情報かとは思いますが」


「えっ、す、少し飲んでも終わりなのですか? 妹の子供は……赤ちゃんは!?」


 震えだす夫人。


「いえ、微量であれば大丈夫なこともあります、しかしできれば妊婦中は子宮収縮作用のあるお茶やナマモノは避けていただけるといいかと」


 微量であれば大丈夫だったはず……。

 


「あっ、あっ、どうしましょう! 妹は何も知らずに!」



 ユング公爵夫人は顔面蒼白になった。



「お、落ち着いてください、急いでユング夫人の妹君に口に入れるのは厳選するようにと連絡を入れてください」

「当家の魔法の伝令鳥を呼びますわ!」


 お茶会の主催の夫人が慌てて気を利かせてくれた。


「お、お願いします!」

「伝令魔法の使い手を呼んで!」

「はい!」


 護衛騎士に向かって候爵夫人が叫んだら、騎士が弾かれたように、走って行く。


「あ、あの、エルシード公爵様、我々がいつも飲んでいる紅茶って妊婦には危険なものだったんですか?」

「そうです、通常なら大丈夫ですが、妊娠時は避けてください」


 紅茶にはカフェインが多いから。



「し、知らずに飲んでいる方がほとんどだと思いますけど」

「まさか今、妊娠中ってことはないですよね?」

「そ、それは違いますけど!」


 他の夫人が声をかけてきた。


「あの、では逆に妊娠中でも飲んでもいいのはなんなのでしょう?」

「ノンカフェインの水とか温めた牛乳とかなら飲んでもいいかと。温めた牛乳でもお腹を壊す人は避けるべきですが、あとは、スムージーとかを」

「スムージーとは?」


「えーと、キウイと小松菜を細かくしたものが妊婦さんにはよかったような。それと妊娠中に糖分を取りすぎもよくないので、蜂蜜や砂糖はやや控えめに入れてください。あ、小松菜とバナナの組み合わせも葉酸がとれてバナナの甘みで飲みやすいのでよかったような……」


 なんとかく、日本での自分の姉が妊娠した時になにをあげればいいか分からなくて色々調べた時の記憶を掘りおこした。


 あれ? 南国フルーツはこの世界のこの国にもあるんだったか?

 高位貴族なら貿易とかで手に入るか?



「公爵様は薬学にお詳しいのですか?」


 夫人達に色々質問された。


「あ、以前少し薬学をかじったことを、たった今思い出しまして」

「まあ、旦那様が博学で幸せな奥様ですわね」



 いや、日本での姉が妊娠した時にたまたま何をあげれはいいかわからず調べただけであり、今の妻のアレンシアの為にではない。



 あ、なんか妻に睨まれた!

 聞いてませんでした! の視線だろうか?

 もしかしたらミルシェラが妊娠中に知らずにカフェイン入りのお茶飲んでたのか? 無事に産まれててよかったけども!

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ユング公爵の妹の嫁ぎ先はもしや敵が多いのかな、わざと知っていて送られてきたとか、、貴族社会は闇多そうですから、まぁ、時代背景が中世ヨーロッパだとそうした薬学的なのはないかもね。現代の男性でも知っている…
ジャスミン茶は見たまま『華がある』お茶だけど飲んだらいけない筆頭だったような? 私はそっち系はあまり詳しくないからな〜 情報元:某ひとりごとをいう薬屋もしくは後宮に居るお掃除係
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