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89話「ふにゃふにゃ」

 〜 アレンシア視点 〜


 な、何かがおかしいわ。

 星祭りのあの夜、私の寝室に予定通りにあの人が来て、そこまでは良かったけれど……。


 あの人の私への触れ方……特別優しくて、何度も気をやってしまい……前後不覚になるほどの快楽が私を襲い……なんと言ったらいいのかわからないけど、ミルシェラを授かる前の私への触れ方、抱き方と、かなり……違うわ。


 そして朝になって目覚めても、まだ、足腰立たないわ………。


 そして私の部屋のノックの音が響き、侍女が私の元へ来ました。



「え? 奥様どうされました?」



 ベッドの上から動かない私を見て、侍女が訝しみます。



「ちょっと……立てなくて食堂へは行けないの……」

「どこか具合でも悪いのですか? お医者様をお呼びになりますか?」

「腰がくだけ……ちょっと夜が激し過ぎただけよ……医者は必要ないわ、軽く食べられるものをここに持って来て」

「ま、まぁっ……! そのような! いえ、かしこまりました!」



 侍女は顔を赤くして食事の手配の為に部屋を出て行きました。


 恥ずかしすぎるけど、本当の事だし仕方ないわ。

 医者を呼ばれて身体中の……あの人に愛された証を見られたら、もっと恥ずかしいわ。

 見られるのが着替えや湯浴みの世話をする当家のメイドならともかくとして。


 湯浴みといえば……身体がドロドロになるほどだったかと思ったのに、綺麗になっているわ。


 ベッドサイドのゴミ箱の中に読めない文字の書いてあるツルツルした袋が捨ててあるし、あのダンジョン産の白く柔らかい紙も捨ててあるし……それで私は身体をあの人にぬぐわれたのかもしれない。


 思えば行為の前に体の下に大きなふわふわの布を敷かれていたはずが、それも無くなっている。

 おそらくシーツをあまり汚さないようにわざと敷かれていたのね。



「奥様、お手伝いに参りました」



 女の護衛として最近雇った者二人とメイドが二人部屋にきました。



「失礼いたします」



 女の護衛の一人は私を布一枚を纏わせて抱き上げ、もう一人はシーツをさっと剥ぎ取り、メイド達が新しいシーツに取り替えました。


 そして私を長椅子に座らせ、メイドが私に着替えをさせました。

 と言っても、まだ外に出れないので楽な部屋着です。


「奥様、洗顔のお湯でございます」

「これでお顔をお拭きになってください、旦那様いわく……タオルだそうです」



 これはダンジョン産のふわふわの布だわ。肌ざわりがとてもいい布。



「こちらが朝食です、飲み物は温かいお紅茶です」



 湯気の立つ香り高い紅茶と、サンドイッチが運ばれてきました。

 次々にお世話の者が入って来て、色々やってくれています。



「この食事は……見覚えがあるわね」

「旦那様が朝食用に御用意されていたフルーツサンドでございます。苺の断面があざやかな花のようで可愛いらしいですね、甘くてとても美味しいらしいですわ」


「ええ、前にも一度食べた事があるわ、甘くて美味しいの」

「こちらの緑色の果物はキウイとマスカットという果物が使われているそうです」

「こちらの色のは初めて見るわ」


 緑色のキウイという果物の方を一口、二口、食べてみます。


「こちらもなかなか美味しいわ」



 そして、次に緑色のぶどうの方も。



「もう一種はぶどうの種類ですわね、なんでも皮ごと食べられる種類だとか」



 こちらも食べてみます。



「……まぁ、このぶどう、とても美味しいわ!」


 感動的なほどに美味しいわ!!


「この緑色のマスカットはとても高価な種類のぶどうだと、公爵様がおっしゃっておられました」

「なるほど、ところであの人は、ケーネストはどこへ?」

「湯浴みの後に食堂へ行かれ、その後は執務室でお仕事のようで、特に外出予定もなかったはずです」


側に控えていたメイドはそう答えました。


「そう……」



 あっちは随分ケロリとしているのね。

 私は足元もおぼつかないほどふにゃふにゃになってしまったのに。

 恥ずかしいわ……。







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― 新着の感想 ―
ちょっと、R指定気味ですけど、、セーフです(笑) 「読めない文字の書いてあるツルツルした袋」ってちょっと気になりますけど、、
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