84話「輝く街」
翌日になって、俺は家族へのクリスマスのプレゼントはデパートで選ぶことにして、バスに乗って午前11時には店に着いた。
妻には日本の老舗の化粧品会社の化粧品とデパート内にあった手芸店で買った綺麗なレース生地。
娘にはぬいぐるみとオルゴールとリボンとレース生地。
レース生地はドレスに使えるからいいと思うしな。
あ、ここ100均の店舗入ってる!!
便利グッズ系も買っておこう。
クリスマスの準備期間はたいていそれ系の飾りやムードがあって、否が応でも盛り上がるな。
食料品売り場では調味料やお菓子を買っておいた。
◆ ◆ ◆
町並みのイルミネーションを眺めながら外を歩いた。
クリスマスを控えた街並みはどこもかしこもキラキラして見える。……綺麗でいいよな。
「ちょっとそこ行くお兄さん」
「え?」
女性占い師から声をかけられた。
見れば50歳くらいの女性だ。
冬にこんな外でも仕事してるのか、熱心だけど寒そうだな。
「占い、どうですか?」
うーん、異世界から来たなんて……バレたら困るが、そんなこと、バレるものだろうか?
さすがに無理がある。この人が本物かどうかも分からない。
「手相? それともカードか易ですか?」
「インスピレーションとカードです」
いや、待て、よく考えたらもう金が……けっこう使ってしまったからなぁ。
「実はさっき家族へのプレゼントを買ってお金がもうなくて……」
俺は角の立たないだろう断わり方をしてみた。
「あらーお優しい!……その心根に感動したので少し早いクリスマスプレゼントで無料で占いますよ」
「えっ」
そして占い師は勝手に占いをはじめた。
「ふむふむ……奥様がおられますね」
「はい……」
アレンシアのことだよな。俺がさっき証した家族と言う情報だけでは、親や兄弟の可能性もあるけど。
妻がいるのはちゃんと見抜いてる。まぁ、本来のこの体の持ち主のケーネストボディがイケメンだから、いてもなんら不思議ではない。
むしろいない場合、その方が不思議になるレベルだ。
占い師はテーブルの上にカードを並べてる。
「奥様はお子を、男子を身ごもりたいと望まれてますよ。ほら、家とコウノトリと子供のカードが出てまして、そしてこの子供の絵は男子です」
「あっ」
それは腑に落ちる。てゆーか、この占い師のカードはルノルマンカードだな。コウノトリや子供や家があるってことは。
「今既にいるのは女の子ですね」
「はい、当たっています」
当たってる……。
「奥様と仲良くされてくださいね」
占い師はにこりと笑った。
「は、はい」
女の子がいるとこまで当ててるから、案外能力は本物かもしれない。
俺は姉から数粒返されたドレスの装飾だった真珠を持っているのを思い出す。
姉が巾着袋に入れて返してくれようとしたので、じゃあ七粒だけでいいと言ってから七粒だけ受け取っていた。
「現金以外のものがあるのを思い出したので、俺からのお礼です」
占い師の机の上にお代を入れるトレイがあったので、そこに白く輝く真珠を二つ入れた。
「真珠!」
占い師は、流石にそこまでは予想してなかったみたいで声をあげた。
「既に装飾に使っていた物ですから、糸を通す穴が開いてます。ブレスレットに使うか、ピアスやイヤリングに加工するといいですよ」
「これは……フェイクパールではなく、本物ですね」
見抜いた。カードも使わずに分かるのか。
直感か?
「……お分かりですか、では、よい夜を」
「ありがとうございます!」
占い師は二粒の真珠を握りしめて、とても嬉しそうだった。
俺は満足してから、牛丼屋に入って牛丼を食べて家に帰ることにした。
チキンならどうせ向こう(異世界)で作って貰えるからな。
いや、しかしそんなことより、やはり子作り……するか!? 帰りのバスの中ではその事で頭がいっぱいになってしまった。




