47話 「モンドラへ」
雨の少ない外国へと雨乞いの祭りに招待された王女の付き添いで行くことになった俺。
今日は今からお土産料理を作ることにした。
しかし今回は料理人に大いに頑張ってもらう。
とりあえずじゃがいもの料理を作るので、予め料理人達に沢山皮を剥き、さらに茹でてもらっていた。
「公爵様、こちら茹であがりました」
大量の茹で上がったじゃがいもを指し示す料理長。
「では、これよりそれを潰しつつ裏ごし作業を頑張ってくれ、その後に油で揚げるんだ」
「はい、分かりました」
料理人達がそれぞれ道具を手にした。
それは裏ごし器、またはシーブと呼ばれる取っ手付きの編み目がついたものだ。
「この裏ごし作業がかなり手間なんだか、美味しいおつまみやおやつになるんだよ」
「はい、ところでこの料理名はなんというものですか?」
「料理名はポテトボールだ。カレー粉やチーズを加えて味を変えたものも頼む」
「はい」
カレー粉は日本で仕入れたものを渡してる。
ポテトボールの材料はじゃがいも、そしてお好みではあるが、アレンジ用のチーズ、カレー粉。そして調味料は塩、こしょう、バター、牛乳、小麦粉(衣用)卵(衣用)パン粉(衣用)に揚げ油等だ。
「かしこまりました」
そして下ごしらえが終わって丸く成形されたポテトボール達は次々と油の中に投入され、ジュージュージューといい音をさせつつ、次々と揚げられていく。
ややして外はサクサク、中はホクホクでもちもちな美味しいポテトボールが完成した。
「こちら揚げたてでございます」
早速揚げたてを一つだけ味見する俺。
「……あっ、熱い! でももちで最高に美味い!! あつっ!」
「も、もう少し冷めてからお食べになってください、揚げたてでございます」
「ああ、分かっていたけど、我慢できなかった、すまない、でもやはり美味い」
料理人達はやや苦笑いだったが、自分達も少し味見していたら、やはりこれは美味しいと、絶賛していた。
さもありなん。
揚げられたポテトボールはバットに入れて魔法の袋に温かいまま入れていく。
この中身は時が止まるので傷まないから安心。
◆ ◆ ◆
そして来たる外交の付添いの日、俺は護衛騎士と共にまず転移ゲートのある大神殿と赴いた。
群青色のかっこいい礼服を着た俺が大神殿でしばらく王女を待っていたら、白い服で着飾った王女が護衛達と共に現れた。
彼女の実年齢は十五歳くらいではあるのだが、こちらの子は日本人の同世代より大人っぽい。
十五で成人年齢なのだ。それでも我々からするとやはり若いし、少女だ。
頼りになる大人に付き添って貰いたくて今回、実績のある私に白羽の矢が立ったのだろう。
「今回もよろしく頼むわね、エルシード公爵」
「はい、微力ながら補佐させていただきます」
挨拶が終わると神官から声がかかった。
「転移ゲートに魔力が満ちました。どうぞ皆様方、魔方陣の中に移動されてください」
「ええ、皆、移動しますよ」
皆、王女に声をかけられ、頭を下げ、同じように返事をした。
「かしこまりました」
我々はモンドラの国境にある神殿経由するため、転移魔法を使った。
モンドラ国境の大神殿へ転移したら、出迎えが来ていた。
「フェルデ王国の貴き王女様そして偉大なるエルシード公爵様、並びに騎士、魔法使いの皆様、ようこそ、おいでくださいました。私は第一王子のマハド、コチラが宰相のジャミールと申します」
俺が同行者になることは既に連絡済みだったらしい。華やかな民族衣装の第一王子と宰相達が神殿まで迎えに来てくれた。
神殿から出たら、早速天を見上げ、天気の確認した。
うん、晴れてる、快晴だ。見事なブルースカイ。
そりゃそうだよな、産まれた時にたまたま雨が降っていた王女がモンドラに到着したからといって、いきなり雨が降るとは限らない。
雨乞いの儀式もこれからだ。
まだ焦る段階ではない。




