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バターコーンご飯

 俺は騎士達と公爵邸に帰宅したら、妻が待ち構えていた。

 いや、出迎えてくれたと思うべきか。



「ケーネスト! 無事だったんですね!」

「アレンシア、心配させたか? すまなかったな」

「詳しく説明してください!」



 妻は凄い剣幕だ。そんなに心配してくれたのか……少し震えているし、なにやら感慨深いな。



「じゃあ詳しく話すから、寝室に」

「何故日中から寝室なんです!? ブルー・ドローイング・ルームでよくないですか?」



 密談なら寝室がいいと思ってな。別にいやらしい事をしようとしてるわけではないのだが。



「……じゃあ人払いしてティールームで」



 そして俺達はブルー・ドローイング・ルームとやらへ移動した。

 ブルー・ドローイング・ルームとは貴族の貴婦人達が邸宅内で茶や菓子などを楽しむ、つまりアフタヌーンティーの会をするような場所のことだ。



「あなたは壁の中に吸いこまれたと聞きました」

「確かに私は壁の中に吸いこまれた」

「騎士達が壁に触れても、同じようにはならなかったらしいです」



 そうなのか、なら侵略の可能性は低いか。

 行きたくても、行ける人間が限られているのなら、少しほっとした。



「実は壁の向こうは異世界につながっていて、別の世界に行って来た」

「べ、別の世界ですって!?」

「物が豊かなところで、親切な方が食べ物や調味料などを分けてくださった」



 実際は姉の金で買物をしてきた。



「親切な方って?」

「別の世界の事は……詳しくは話せない。今はまだ許されていない。でもこの身に恥じることはしていない」



 って、ことにしとこう。


 実はあなたの夫の中身はケーネストではなく、異世界の人間で、その姉に買ってもらいましたとは言えない。

 この家から叩き出されては娘を守れないから。



「何故詳しくは話せないのですか?」


妻がいぶかしみ、不満げだ。


「ほら、王が異世界に興味を持って魔法使いとかの力を借り、異世界の侵略など考えたら困るし、あちらに迷惑をかけたくない訳だ、俺は基本的には平和主義者なんだ」



 俺は 中身が日本人なので、平和主義者です。



「侵略? そんなに魅力的な所なのですか?」

「美味しいものは多い……よ」


 文明も発達してて、便利な物が多いし。


「とにかく、気をつけてください」

「ああ、でも便利な物が多いのは確かなので、また行きたい」

「はあ!?」


「物を少しずつ仕入れたい。通貨も違うし、資金の問題があるからほとんど調味料になるだろうけど、なのであのダンジョン近くに別荘を、別邸を建てたい」


「あなたは何故そこまで調味料に執着するんですか」

「美味しいものは皆、好きなはずだろう? さて、早速持ち帰った素材で料理をしてくるよ」

「ちょっと!」

「食べたくなったら後で私の所へ顔を出してくれ」



俺は呆れる妻を置いて、一旦荷物を取りに戻り、その後で屋敷の庭園の噴水近くでキャンプセットを広げ、土鍋で米を炊くことにした。


ちなみ噴水側を選んだのは夏の今は涼しげだからだ、噴水の縁の大理石に座る事もできるし、風も吹いてて心地よい。


今回作るのはバターコーンの炊き込みご飯。

これに使うのは米、バター、コーン、コンソメの素、醤油、塩、酒等である。

 とうもろこしは粒を外して使うが、芯も入れたらいいみたいなので、芯も入れる。


網の上に土鍋を置き、横で焼きナスも作ってしまう。


しばらくすると土鍋からバターの香ばしい香りがして来て、テンションぶち上がってきた!


では、早速バターコーンご飯と焼きナスのごま醤油を一緒にいただくとしよう。どちらも俺の好物なんだ。


「パパ、何してるの?」


ミルシェラが現れた。娘には心配させないように俺が壁向こうに吸いこまれた事件の話はしてないらしいので平和だ。


「お食事を作ってるんだ、一緒に食べようか」

「はい!」


「よし、炊けた! 美味そう! いや、美味しそうだ」


 俺は土鍋の蓋を開け、器にバターコーンの盛りつけ、娘にはスプーンを握らせてやった。


「いいにおい……」

「バターの香りだな」

「あまくておいちい」


「そうだろう?」

「はい!」


 俺は焼きナスの胡麻醤油かけもいただく。

 子供はナスを嫌う事が多いから、ひとまずコーンご飯のみあげてる。



「あーやっぱりコレも最高、美味い」

「……なぜ、庭なんですか?」

「ママ!」


 妻が白いレースの日傘をさして現れた。俺が庭で料理して、さらにそこで食ってることに呆れていた。


「まいど厨房にお邪魔するのが料理人達に悪くてな」

「公爵は普通厨房などに入りませんんからね」

「だろう?」

「記憶が無いと言うわりに何故料理のレシピなどは知っているのですか?」


「実は……俺、いや私は食いしん坊だったんだ! でも、死にかけてから、我慢するのはやめた」


我ながらなんて酷い言い訳なのか! でも、他にいい言い訳が思いつかん!


「……そ、そうだったんですか、太らない程度にしてくださいね」

「あ、ああ、運動もするよ!」



 せっかく今はイケメンになってるし、マジで運動とか、魔法の特訓はすべきだよな。生存率を上げる為にも!















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― 新着の感想 ―
コーンの炊き込みご飯で「芯」を入れるのは知りませんでした!旬の新鮮な生のとうもろこしでないとできませんよね。コーンって缶詰か、レトルトのやつしか使ったことないし、生は蒸すか、焼くかですから、、
夫人のバスルームにメイドを使って体重計を設置して、使っている事を確認した後にケーキ系の高カロリー、糖分+炭水化物オヤツなどを出しまくったら・・・絶叫が響いた後に説教かな? まぁその前に『数字の対比表』…
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