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帰還と口からでまかせ

俺と姉は地元のスーパーで買物を済ませ、また家に帰った。

家に帰ってから蔵の中を覗いて見たが、やはり公爵家の騎士達が俺を追ってこちらに来た形跡はない。



「やはり、来てないな……」



もしやあの門的な壁画から通れるのは俺だけ?

それか警戒して触れてもいないかだ。


俺は蔵から出て母屋に移動し、甚平から貴族服に着替えなおした。



「じゃあ、ほんとにあの古い鏡を通って来たってこと?」



 姉も蔵にある大きな姿見の鏡を見てはいるが、まだ信じられないって顔してる。


「買った物や持って行くものをリュックやトートバッグに詰めたら俺はあちらに帰還を試みるから、見てればいいよ、ほんとに鏡に吸い込まれるように俺が消えるかどうか」



俺はそう言って持ち帰るべきものをリュックに詰めて行く。



「めちゃくちゃ荷物がパンパンだけど大丈夫? あの鏡何故か相撲取り用の姿見かってくらいデカくはあるけど」



登山用リュックの中に冗談みたいにパツパツになるまで荷物を詰め込んだ俺に姉は呆れてる。

リュックは災害の多いこの日本で、もしもの供えの為に買っていたものだ。


「あれもこれも持って行きたくて……肩紐が千切れなければ……あっ!」

「なによ?」

「俺、魔法の袋を持ってたわ! 魔道具のアイテムボックス袋版みたいなやつ!」



 自分が着てきた貴族服の上着の内ポケットに入れてた!


「えっ」

「そうだ、こっから真理姉に銀貨を渡す約束だったんだよ」


「忘れないでよ。てかそんな便利グッズ、日本でも使えるの? 魔法もないのに」


「わからん、試しに銀貨を出してみる……あっ! ちゃんとでたぞ!」

「すご! 便利すぎ!」


「でもあちらはエアコンとか車はないよ、暖炉あるけど」

「魔法の道具でなんとかならないの?」

「車はともかく、エアコンに代わるものは作るしかないな、なんか優秀な錬金術師とかを探して」



「まぁ、いいわ、とにかく無事に行き来できるといいわね」


「うん。あ、はい、今手持ちのありったけの銀貨」



 姉にクレカで買物してくれたお礼も兼ねて、今後ともよろしくと、巾着袋入りの銀貨を渡す。



「ありがとう……凄い……、異世界の銀貨だ……。記念に何枚かはペンダントにしようかな」


 巾着から銀貨を1枚取り出し、しげしげと眺める姉。


「好きにしてくれ。じゃあ、渡すものを渡したし、皆心配してるだろうし、鏡通過を試してみるか!」

「頑張れ」


「あ、例の聖女漫画の作者さん、悪役令嬢救済スピンオフとか描いてたりする?」

「そんなものはないわ」

「そっか、分かった! 悪いけど、父さんと母さんのこともよろしくな!」


「ええ、わかってるわ」


 俺は、魔法の袋に入るサイズのものは袋に入れた。その後にやや減らせた荷物を手にして、鏡に突入してみた!


すると、ずるんと入れた!


通過した先はやはりあの洞窟!!

 そして侵入禁止のようにロープを張り巡らせた先に、うちの騎士達が待機していた!


「閣下!」

「公爵様が戻られたぞ!」

「良かった!! 本当に良かった!」


「その大荷物はなんですか? 中は一体どうなって……?」

「これはお土産というか、俺に必要なものだ、壁の向こうについては、守秘義務がある」

「守秘義務?」

「か、神様との約束的な?」



誰か、こちらの異世界人が侵略を考えて日本に手を出そうとしたら困るから、咄嗟についた嘘だった。



「か、神様?」



面食らう護衛騎士達。

見れば洞窟内でキャンプをしてたみたいに道具やなんかがある。ずっと俺の帰還を待つために待機の備えをしてたっぽい。



「公爵様は神に選ばれて、呼ばれたってことですか?」



 騎士達の驚きの視線が俺に集中してる。



「ま、まぁ、その、私にもよく分かってないんだ。とにかく誰にも言うなよ、この不思議な壁画とか、俺だけ通過できるなんて話は」

「は! はい、承知致しました」


「とにかく奥様が心配されてますから、早めに戻りましょう」

「お荷物、お持ちします」

「妻には、俺がいなくなった事を伝えたのか?」



 たった数時間のことだと思うが。

 買物したりしたので3時間くらい?



「はい、大事な事なので魔法の伝書鳥を使いました」

「じゃあ、急いで帰らないとな」


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― 新着の感想 ―
異世界、物チートというのかな、まぁ色々出来そうですな。どうやって娘を守るのか、宿敵をどう懲らしめられるか、それとも国ごと乗っ取るとか、いやぁ~どうなるんやら(笑)
伝書鳩による先触れを出さずに帰宅も良いかも? 本当に夫人がツンデレなのか立ち位置が分からないからな〜
 すっかり娘想いの料理上手な良き父ですね。何やら複雑な過去のありそうな妻と心通じ合える日も早く来てほしいです。  おもしろくて、第一話から今回の二十一話まで一気読みしてしまいました。続きが楽しみです。
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