姉と買い物
「ま、地元のスーパーに行くだけだから甚平でもいいでしょ」
と、姉も今の俺のコーデに納得してくれた。
「うん」
「顔が良すぎる上に甚平を着て浮かれてる外国人に見えて、やや落ち着かないけど」
今の俺が中身は俺なのにイケメン過ぎる上に胡散臭い外国人に見えるんだなと思いながらも、仕方ないしな。
取り敢えず家の戸締りをして、姉の車のある駐車場へ姉と一緒に向かう。
「ケーネストのボディだから色々と仕方ないんだよなー」
姉貴の軽自動車の側に来た。
「まーね。じゃ、車だすから乗りなさい」
「サンキュー!」
そんな訳で俺は助手席側に乗り込み、姉の車で地元のスーパーへ行くことになった。
◆ ◆ ◆
そして俺達は地元のスーパーに到着した。
店内に入るとなじみのスーパーの曲が流れることになんだか俺は感動と安堵を憶えた。
とても平和な日常が、ひと時戻って来たような……。
そして不覚にも少し目頭が熱くなってしまった。
このままではスーパーで涙ぐむ不審者だ。
気を逸らす為にスーパーに陳列してあるものに意識を向けた。
スーパーの入り口付近にはイチオシらしき野菜が並んでいる。夏野菜がある!
「あ、夏だなー! とうもろこしがある。バターコーン醤油炊き込みご飯を久しぶりに食べたいな。あ、ナスも美味そう!」
「そういや、あんたはのんきにご飯とか炊いてる場合なの?」
あ!!
「しまった。護衛騎士達が俺を心配してるかも……どうも俺だけこっちに来てるし」
「どうするの?」
とはいえ、ここまで来てすぐさまUターンも勿体ないなさ過ぎる。
「仕方ない、なる早で買物をすませてご飯を炊いてくのは諦める。代わりに土鍋とか飯盒とか災害用ソーラーパワー充電器とタブレットとかを持っていくか。戻れるとも確定してないけど。あ、ところで俺のスマホはどうなったか姉貴は知ってる?」
「いつ目覚めるか分からないし、あんたの病室の鍵付きの引き出しに一応入れてるわ。保護カバーの硝子がバリバリ割れてたけど、一応本体は無事動くから保護カバーは取り替えた。あ、引き出しの鍵はかけてるけどね」
親切だな! ありがたい!
「ありがとう、じゃあスマホは病室に残してやはりタブレットだけ持っていくか……料理のレシピとか保存してるし」
「……病院にいる自分の体の様子は、見に行かなくていいのね?」
「今、本体に接触するのは怖い。ケーネストの魂が意識不明の俺の身体に入っていた場合、すぐ近くに行ったことで魂が入れ替わったら、将来第二王子に騙されるかもしれない娘を守れなくなる。少なくとも運命をしっかり変えた後でないと。違う男と恋に落ちて結婚までいったならともかく」
まだ何の罪も犯してはいないあの子には光の中にいて欲しい。愛されるべき存在なんだ。
「ふーん、なるほどね」
俺の言い分に納得してくれたようなので、とにかくスーパーで欲しいものを買い込んだ。 買物代金は姉がカードで支払ってくれた。
「真理姉、ありがとう。代わりに金貨や銀貨とかあげようか? それか出どころ聞かれたらちょい困る可能性はあるから、クラバットについてる宝石とかにしとく? 本物だし、眺めるだけでも綺麗かもだ」
「あー、溶かしてもいいなら銀貨で」
「そういや姉貴はシルバーアクセサリー作りが趣味だったか」
「まあね、よく覚えてたわね」
弟だからな。
「あ、今度また来れたらドレスとかもあげようか? それくらいなら持ってこれると思う」
「どこで着るのよそんなの。日本のパンピー主婦は舞踏会とか出ないわよ」
「写真館で娘氏と記念撮影とかさ……娘氏をお姫様みたいに着飾ってさ、喜ぶかもだぞ? 女の子はプリンセスに憧れるものだろ?」
「んー、それなら娘のだけでいいわ、私がドレスなんか着てもお笑い草だし」
ふーん、めちゃくちゃ化粧上手い人が助けてくれたら化けそうではあるけど。
ま、そうだよな、成人女性はウェディングドレス以外は照れるよな、ドレスとかな。多分。
コスプレとかが趣味ならいけるだろうが。
「あ、娘氏の服のサイズ分かる?」
「小学1年生、130センチ、上から62、51、66程度の多分普通体型」
「ちょ、待って、それ今覚えるのキツイからタブレットに送って」
「分かった」




