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悪役令嬢の父の愛と日常  作者:
第一部

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119/191

119話「アレンシアと涼」

 ~ アレンシア ~


 ────ケーネスト……ただ、あなたと一瞬に町を歩いたり……花や緑の中を歩いたり、食事をしたり、そんな事で、そんなことが鮮やかで美しくて楽しいって…何故世界に色を与えてくれたのかがあなたなのに……



「あなたは何故、目を閉じて眠ったままなの?」



「アレンシア様、そろそろお休みになってください、公爵様のお世話はわたし共がいたします」


 侍女がろくに休まない私を見かねて声をかけてきました。



「ケーネストは眠ったままで水も何も摂れてないから、布に水を吸わせて唇だけでも湿らせているのだけど……」


「アレンシア様、それも代わりにやっておきますので」

「そう、それじゃあ、少しお願いね……ところでミルシェラは神殿から帰って来た?」



「いいえ、坊ちゃまは寝室のベッドでお休みですが、お嬢様はまだ神殿から戻りっておりません」

「随分時間をかけて頑張って祈ってくれてるのかしら……」

「そうかもしれませんね、ミルシェラお嬢様はお優しいので」



 ◆ ◆ ◆


 ~ 主人公視点 ~


 誰が、泣いてる気がする……一体誰が……?



「涼! 涼ったら!」

「……え?」

「どうしたの、ぼーっとして」


 八城涼。それが自分の名前だ。なのに、何故かとでも久しぶりに呼ばれた気がした。


「ああ、綾華か。誰かが……泣いてる気がしてさ……」


「なに? 急にホラーみたいな事を言わないでよ。泣き声なんてなにも聞こえないわ」

「そう……だよな」


「それより日曜日は前から言ってたグランピングよ! 用意はできてる? まぁ、キャンプよりいろいろ揃ってるから、そこまで物はいらないけど、着替えとか」

「ああ、大丈夫」


「海が見えるから、ロケーション最高なんだって友達も言ってたし、とても楽しみ!」

「ああ、海か、いいね」


「チャペルも近くにあるから、ちょっと覗いてみましょうよ」

「それは……海辺のチャペルなんてロマンチックだな」

「ふふ、結婚式場としても人気なんだって」


 綾華がとても弾んだ様子で話す。

 嬉しいはずなのに、なぞの焦燥感が込み上げる。


 この感覚はいったいなんなんだろう。



「なんか……喉が渇いた気がする、何か飲むか? コンビニ行って何か買ってくるよ」

「じゃあ私も、一緒に行く」


「そうか」



 俺は自然に手を出した。

 すると彼女がそっと俺の手を握ってきた。



「? エスコートは手のひらの上に手を乗せるんじゃないのか?」

「はぁ? あはは! どこの貴族マンガのキャラクターよ、ここ日本だからね! 涼ったら、寝ぼけてるの?」

「あ、ああ、そうだったな、寝ぼけてるみたいだ」



 彼女と繋いだ手に違和感を感じながら、俺は不思議に思っていた。



 グランピングは楽しかった。

 海の側で本当に気色がよかった。



「ねぇ、キャンプの管理人さんに聞いたんだけど、近場のお店でね、三千円で真珠の掴み取りがあるんだって! あなたのほうが手が大きいからやってよ」

「すごいな、豪勢だ。キュウリ詰め放題より燃えるかもしれん、やるよ」


「あとで一点のみ、アクセサリーに加工もしてくれるらしいわ」

「自分で掴んだ真珠を……アクセサリーに……」



 ……時おり、何かを思い出しかける。

 でも、頭にモヤがかかったように、上手く思い出せない。


 ◆ ◆ ◆



 彼女と真珠のつかみ取りを楽しんだ。


「すごーい! 沢山取れたわね!」

「綾華はこれをどんなアクセサリーにするんだ?」



 不意に真珠飾りのついたブローチが脳裏に浮かんだ。でも、それは一瞬で消えた。



「んー、イヤリングかな」

「そうか、イヤリングな」


 そのあと、白い真珠は彼女の耳を飾るイヤリングに加工してもらった。



 そして、その後で彼女と一緒にチャペルに来た。

 海辺にある白いチャペルは最高に見栄えがする。


 潮風が頬を撫でていき、とても爽やかだ。



「ねーー、私結婚式ここでしたいかも」

「……そうか、それもいいかもな、でも、お前は本当に俺でいいのか?」



 なんでそんな事を口走ったのか、自分でも分からない。


「は?」

「もっとハイスペックな男の方が良かったりしないか?」

「私がスペックで選ぶ女だって?」

「違うのか?」



 謎の暗い感情が湧き上がる。



「あなたも、なかなか高性能でしょ?」

「そうだっけ?」

「真珠沢山掴んでくれたし」



「そんなことで」



 オレは思わず苦笑した。なんでこんなマジレスしてんだ? 俺は。



「あはは、他の人と比べても仕方ないでしょ、あなたにはあなたの良さがあるから」

「……そう……なのか」



 ────何故、俺はこの今の幸せに浸りきれないのだろうか。

 ボタンをかけ違えたような、この違和感はなんなんだろう?


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― 新着の感想 ―
違和感からの目覚め、、さてさてどうなりますか? 最後は、変身した、、いやぁ~わくわくです!
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