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悪役令嬢の父の愛と日常  作者:
第一部

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117/190

117話「まさかの宝物庫から」

 〜 ミルシェラ視点 〜


「前髪で片目が隠れた見習い神官さんにお会いしたいのです、名前は……はおそらくジェダイト様だと思います」

「はぁ、見習い神官に面会申請ですか?」



 神殿の受け付け係の目には私の行動が怪訝に写ったらしい。

 わざわざ見習いに会いに来るのは確かに知り合いでもないと、おかしいかも。祈祷を頼むのなら正式な神官に依頼するはずだから……。



「はい、見習いなら誰でもいいわけではありません、その方に迷っていたところを助けていただいたのでお礼に来ました」



 この言い訳はまるっきり嘘ともいえない。神学クラスの敷地に私が迷いこんだ時に声をかけていただいたから。



「なるほど、ではお名前を台帳に記載願います」


 受け付け係は台帳を出して来たので、ここは素直に書くことにします。



「はい」


「エルシード公爵令嬢!」



 私が書いた台帳の名前を見た神官が声をあげて驚く。



「はい」

「しばしお待ちください、見習い神官で前髪の長いジェダイトですね、今すぐ呼んでまいります」

「はい、よろしくお願いします」



 受け付け係の愛想が急に良くなったのは、やはり私がエルシードの公爵令嬢だからなのでしょう。


 これが権力……あるいは多分家門が神殿に寄付とかしてるのでしょう。



 ◆◆◆



 そして待合室で待機していたら、片目だけ隠れたヒーローが現れました。



「ごきげんよう、ジェダイト神官様」

「まだ見習いです」

「見習いでも神官様でしょう」


「まぁ、いいです。何かご用でしょうか? 公爵令嬢」

「私の名前をご存知でしたよね? 君、もしかしてミルシェラ? と、以前に」


「では、ミルシェラ嬢とお呼びすればいいのですか?」

「そう言う意味ではありません。何故私がミルシェラだと分かったのか知りたいのです。まだデビュタント前なのに」


「……奥様の公爵夫人に似ておられるので……その金髪とかも」

「……」



 イマイチ理由としては弱いような……私が大人になってれば分からないでもない。でも日本的に言うならまだ小学生くらいの年齢なのに……何故かはぐらかされたような?



「父が、夢魔の呪いだか……攻撃にて深い眠りについたまま目覚めません、お力をお貸しください」

「何故正式な神官ではなく、見習いの私に? そして何故私の名前をご存知なのですか?」



 質問を質問で返されるパターン……。

 物語の男性主人公、ヒーローだから……名前はジェダイトと書いてあった……。



「神学クラスの主席は宝石の名前の方だと、先生にうかがいました」



 実は先生には訊いてないけれど、原作でジェダイトが主席をとっていたシーンがあったので。



「宝石の名前なんて多いと思いますが」

「でも神学クラスの主席はあなたでしょう?」

「確かにそうですね、でも神学クラスの主席とはいえ、私はまだ見習いですよ」



「貴方はある意味選ばれし者でしょう?」



 原作のヒーローなんだもの。

 私は彼の目をまっすぐに見た。ジェダイトのように緑色の綺麗な瞳をしている。


 片方の目は前髪で隠れてても、もう片方は出てるから。



「何故、私が選ばれし者だなんて思うのです?」

「あなたがジェダイト様なので……」



 かなり意味深で強引な言い訳。

 彼は真顔で私を注視している。



「「………」」



 私達の視線がしばし絡み合った。



「しばしお待ちを、外出届を出して来ます」



 ジェダイト様は根負けしたように、微笑んでそう言った。



 しばらくして、ジェダイト様が戻って来て、私達は神殿から出て、同じ馬車に乗りこんだ。



「お父様は今公爵家のタウンハウスにいますが、これからそちらへ行けばよろしいですか?」

「いいえ、私では公爵様を起こせません」



 そう言って神官様は懐から小さな缶を取り出した。



「それはなんですか?」

「これは神殿の宝物庫からくすねてきた妖精の花の蜜で作った特別な飴で、このオレンジ色の飴を食べると一時的に大人になります」



 今、さらっと言ったけどくすねたってつまり、物庫から盗んだ!? 神官なのに泥棒を!?

 でも、それって多分私のせいよね……。



「あ、あの、宝物庫からそんな大層な飴を盗んでまで大人になるのは何故…… それで貴方が大人になるんですか?」


「正確には私と貴女がこの飴で大人の姿になります」

「私達が大人になってどうしようというのです?」



「貴女には聖女のフリをしてもらい、エルシード公爵様に呪いをかけた夢魔をおびき寄せていただきます」


「私が聖女のフリをして囮に!?」


「そうです、やつらは聖女縁の地を汚す為にスタンピードを起こしました。だから貴女が聖女になりすまし、囮となる。そして魔族と対面するのでやはり命の危険があります。なので、少しでも生存率を上げる為にも大人の姿になります。幼い体だと相手の魔力をぶつけられただけでもその負荷でやられかねません」



 ええっ!? と、とんでもないことを言い出した……。



「……あの、この私が聖女を騙ったりして、関係各所から怒られませんか?」



 原作ではミルシェラは悪役令嬢なんですよ!?

 それが聖女のフリ!?



「そこは大人に変装してますし、万が一バレてもいざとなったらエルシード公爵を助ける為だったと言えば、誰も文句は言えないのでは? エルシード公爵は英雄ですし」


「そ、そうでしょうか?」

「大人になって、二人で協力して夢魔を倒す、そして父君を助ける、現状この方法しかありません」



 他に無いんだ………。



「選択肢が他にないなら仕方ありませんね、でも大人になっただけで私が戦力になるでしょうか?」

「エルシード公爵令嬢たる貴女の魔力は多いので、私の側にいてくださるだけで、私の魔力も強化されるでしょう」



 つまり私は魔力増幅のブースターみたいな役割?

 実際戦うのは神官ヒーローのジェダイト様ってこと?



「分かりました。お父様の為に、私も出来る限りのことをします」






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― 新着の感想 ―
なるほど、凄い展開ですね。某有名な、ふしぎなメ〇モの飴かな(笑)服装は大丈夫かな?ちょっと叡智なシーンが、、当時どきどきしながら見ていました。
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